さよならミニスカート 3 (りぼんマスコットコミックス)

  • 集英社 (2024年9月25日発売)
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本 ・マンガ (208ページ) / ISBN・EAN: 9784088675565

作品紹介・あらすじ

「私たちだけは私たちを許すの」
消えたアイドル・雨宮花恋。名も姿も変えても、その過去は彼女に新たな試練を──!?

感想・レビュー・書評

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  • ああ、再開されてよかった。5年の中断は確かに「りぼん」を読む女の子たちにとっては長すぎる。しかし、コロナ禍のはさんでのこの年月で、わずかながらでも「女の子」たちをめぐる諸々の事柄や彼女たち自身の意識は変わり始めていることを感じる。「女の子」でアイドルである故に搾取され傷を負った仁那、「女の子」としてやはり大きく傷ついたが、アイドルの花恋(=仁那)に救われた六花、「女の子」であることをとことん利用する未玖、その行動には是非があれども、女の子としての苦しみが浮かび上がるし、かつての女の子だった身としても頷けるところが大きい。有害な男らしさについて触れられているのにもよい。
    ようやく前を向き始めた仁那だけど、まだまだ過酷な試練はありそう。でもこの巻を読む限り、作者も安易な展開にさせずにしっかりと描き通す決意をしたと思えるので、次巻も、そして完結まで見守りたい。

  •  握手会での傷害事件で消えたアイドル・雨宮花恋。神山仁那と名も姿も変えても、その過去は彼女に新たな試練を――!?
    ストーカー被害に遭ったクラスメイトの長栖未久が、花恋と光の仲をかき乱す。
    花恋が、脱退したアイドルグループ「PURE CLUB」のメンバーが青年誌のグラビアに挑戦したことを知り、自分がアイドルとして有名になりたかった理由そして「PURE CLUB」が最初にグラビアに挑戦したきっかけが自分にあったことを思い出す。
    さらに、花恋のクラスに未久の兄が、教育実習生として登場する。
    衝撃の学園サスペンス漫画、待望の3巻。
    過去の傷害事件をきっかけにアイドルを引退し、その後別の街でひっそりと一人の女子高生として暮らす主人公の神山仁那。
    黒いストレートのロングヘアはばっさりと切られ、高校では女子の中で唯一のスラックス。握手会で見せていた笑顔も封印し、あらゆる過去を隠しながら生活している。
    そんな彼女を通して見た、「女の子」をとりまく偏見や差別、暴力性などを描いた作品『さよならミニスカート』(牧野あおい/集英社)は、その内容はもちろん、掲載されたのが少女漫画誌「りぼん」ということも含めて連載開始当初大きな話題を呼んだ。
    その後、著者牧野あおい氏の体調不良により休載となり、今年4月に5年ぶりに連載が再開。9月に最新刊の3巻が発売された。
    今回は、神山仁那がアイドルグループのセンターだった頃の過去に肉迫して、神山仁那がなぜアイドルとして有名になりたかったのかの理由、何故日本のアイドルグループがダンスや歌の上手さより可愛いルックスを売る方向が多いのか、学園内のミスコンや青年誌のグラビアの目的と性的搾取、自ら売る為と自主的に可愛いルックスを売っていると仕向けられるアイドル業界など男尊女卑的な歪な構造が掘り下げられ、神山仁那自身が自分のアイドルをやってきたことに罪悪感を抱いてしまう苦悩が、アクチュアルでリアリティがあるゆえに痛切。
    神山仁那のファンで妹がセクハラの被害者である光が、自らが性的搾取の当事者であることを自覚して、周りを変え神山仁那やセクハラなどの被害者の同級生を守ろうとして奮闘するくだりは、自分たち男子が男子特有のミソジニーに向き合うお手本で希望を提示してくれたので、この漫画は男子も必読とますます確信した。
    一方で、クラスメイトにセクハラ混じりの扱いを笑顔で受け流す未久の男子に媚びている言動の中にある弱さや苦しみも掘り下げられていて、ますます盛り上がる3巻。
    神山仁那が、3巻のラストでした決意の結果が、気に入り続巻が楽しみ。
    「私たちだけは私たちを許すの」

  • 再開はないかもと思っていたので、再開が嬉しい!
    何が正しくて、何が間違っているのか、私の感覚は正しいのか、間違っているのか、分からなくなる作品。
    性の表現はどのようなものであるべきか。
    答えがなくて、正直苦しくなるような作品だけれど、今の世界に必要な作品だと思います。

  • 当時、内容が衝撃すぎて、これを『りぼん』でやるのか!と思ったし、『りぼん』でやることに意味がある!

    と思っていたけど……。
    衝撃的すぎたせいか、作者がメンタル?を病んで休載……。
    5年ぶりに復活したけど、当時のまま続けられるのかは心配だった。

    5年ですっかり内容も忘れたので、改めて1巻と2巻を買い、読み返してからの3巻。

    まっっっったく、2巻からの勢いのまま話が進んでて驚いた。
    というか、1巻を読んでから3巻のラストを読むと、当初のプロットどおりに進んでいると分かる。
    このままいってほしい。
    『推しの子』ブームが一段落して、似たようなテーマでこれもぜひ話題になってほしい。

    とても残念なのは、当時小学生だった子どもたちも、中学生や高校生になってしまったこと。

    この作品は『りぼん』で、小学生女子にぜひ読んでほしい。
    大人も面白いし読むべき作品ではあるけど、自分に小学生の子供がいたら絶対読ませたい。
    すべての女子に「搾取される前」に読んでほしい。

    一方で、5年という歳月がやはり長いと感じたのは、「今どきこれほどのセクハラが、学校で、生徒同士でありえるのか?」ということ。
    今のJK・DKの実情は分からないけど、教室であんなあからさまなセクハラ男子が普通に存在するだろうか?
    5年前はそこは疑問に思わなかった。
    少しずつではあるが、確かに時代は進んでいると感じた。

  • 間違いなく近年の少女漫画の中では傑作、大傑作。
    5年ぶりの新刊らしいが、待ったかいがあった!
    女の子が性の対象として見られる/扱われることがどういうことかを、時にシビアな描写も交えながら描いていく。
    深刻なのは、そのことを疑問に思わなかったり、むしろ自覚の上で性を商品にする女の子がいるということ…それに気づかせてくれる3巻。
    続きが早く読みたい!次はいつ出るんだろうか…。

  • 帯に五年ぶりの新刊、とあって、もはや前の話なんぞ覚えていなかったので、引っぱり出して読んでから読みました。

    なんかこう、いやらしい話だよね……。こういうクソな男はいっぱいいるし、生々しい。今後はどうなるのかわからないけど、五年は空けないで欲しい。また忘れてしまう。

  • 休載が長かったのでこのまま終わってしまうのかな……と思っていたら3巻が出ていた。1巻2巻の再読とともに3巻を読む。

    長栖未玖、と堀内光の妹・六花。この2人の問題が大きくなってきた。その背景に「嫌だけど断れない」恐怖や「望んではいないが目標や野心のため」の必死さ、そしてそれを「その子の意思であるかのように受け入れる側」という構図があり、この問題はどう考えても現実にあるもので、読み進めるのに気が重かった。
    ラスボス感のある未玖の兄の登場、仁那はピュアクラに戻るのか、というところで終わり。

    正暉はやはり頼もしいし、沖田の改心っぷりがかわいい。

  • という訳で、これは読み続けないとと思い、最近、5年ぶりに出た本巻を早速入手・読了。体調不良による休養の影響か、5年という年月がさせたものか、若干、これまでと受ける印象が違った気がする。マチズモへのアンチテーゼ、という根っこの部分は勿論揺るがない訳だけど、両極端に振れ過ぎる場面が増えたのかな。少なからぬミステリの要素との兼ね合いで、今回はそういう描写が多くなった、ってことかもしれないな。とはいえ、やっぱり続きは読みたいけど。

  • 高校生の頃出会い、打ち切りになったことを悲しんでた漫画。5年ぶり(!)の単行本発売!!嬉しいな〜

    女性のコンテンツ化、利用価値などに切り込んだ少女漫画

    光の、「女の子に価値を与えているフリをする」という言葉がとても良かった。
    消費者がいなければ商品化されないし、価値もない。そこを拠り所にする女の子も減るはずなのに。

  • 生物として、社会的役割などのジェンダーとして、男女違っているのだが、「みんな違ってみんないい」とは決してならない。その弱さ。それを暴こうとしている漫画だ。
    男性性/女性性、どちらも互いに憧れ合いつ受け入れ難い事柄であるという矛盾、人間の生き物としての。そういうものが何故あるのだろう?そして、人間はどうしてそれを守ったり損ねたり失ったりすることにかように敏感なんだろう?
    ありとあらゆる劇薬のような問いかけが連続する少女漫画。今まさにTwitterやInstagramなどのインフラ化により、「メディア」→「大衆女性」から「大衆女性」→「メディア」へとイメージ戦略の逆襲を試みる時代に即している。

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著者プロフィール

2008年『青のツバサ』が『りぼんスペシャル』春の大増刊号に掲載されデビュー。

牧野あおいの作品

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