ゴールデンカムイ 12 (ヤングジャンプコミックス)

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (202ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784088907796

感想・レビュー・書評

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  • ネットでの無料公開の報せを聞き、先日、どうしても我慢できずに12巻以降、最新話までを一気読みしてしまいました。スマホでどこでも読めてしまうのって罪作りですよね…。
    とにかく先へ先へとひたすら筋を追い続ける感じで読んだので、コミックスはしゃぶりつくすように読むつもりです。

    さて、この巻を読んでいたのは、最終回まであと2話となった第312話が公開された頃でした。
    本当にあと2話で終わるの?という声がタイムラインに溢れかえる中、追い討ちをかけたのは実写映画化の発表。
    自分のタイムラインはもちろん、それどころかトレンドに上がった話題を見わたしても、聞こえてくるのは期待ではなく不安と不満の声ばかり。
    アニメからの「劇場版制作決定」なら期待大なところ、「実写映画化」は原作ファンにとっては大抵地雷なんですよね…。キャストも何もわからない状態でアシㇼパさん役は「どうせ橋本環奈」まで話題になっているわけで、恨み骨髄に徹すとはこのことでしょうかw。

    そもそも紹介のされ方が、メディアによっては

    明治時代の北海道を舞台に、アイヌが遺したという大金を手に入れるため、日露戦争の死線を潜り抜けた元軍人の杉元佐一が、アイヌの美少女・アシリパと行動をともにし、一攫千金を夢みる物語

    ってなってますが、コレジャナイ感満載。
    「一攫千金を夢見る物語」の映画を作られたら絶対に失望すること間違いなしです。
    だいたいアシㇼパさんが「アイヌの美少女・アシリパ」なのが違和感たっぷりです。少女に「美」が付いている時点でもうおかしい。

    ということで、やっぱり、こんな紹介がふさわしいと思います。

    「刺青争奪戦。今度の相手は北の最強生物ヒ・グ・マ!!? 軍人囚人奇人変人殺人図鑑! なんでもござれの偉人伝!! ラッコもバッタもフクロウも……第12巻!!!!!!!」

    この12巻、カバーを飾るのはインカラマッ。
    全編に渡って男臭いこの漫画にあって貴重な大人の女性ですが、そんな彼女が表紙に登場した反動であるかのようにこの巻は露出度が高くなっています。もちろん姉畑支遁に始まり、ラッコ鍋、そして露天風呂襲撃と、ムキムキの男の裸体ばかりですがw。
    なお、アニメでは放送できなかった(絶対無理でしょうねえ)エピソードが、後に完全新作OAD「支遁動物記」となって同梱されたコミックス23巻は怖いもの見たさでよく売れたようですw。

    一行は釧路を経由し、今で言えば釧網本線沿いに北上して網走を目指しています。
    …いいところですよね。道東。「釧路町」のキャプションの後ろに描かれている大きな橋は幣舞橋でしょうか。
    杉元達はさすがに知床へは足を踏み入れてはいませんが、谷地眼(ヤチマナコ、初めて知ったのは「釣りキチ三平」のイトウ編でした)、塘路湖、屈斜路湖、そして温泉(川湯のあたりでしょうか)と、道東の魅力を堪能しています。
    食に関しても、ここのところあまりいいものを食べてこなかった反動もあるのか、トノト(雑穀酒)、カムイオハウ(ヒグマ肉のオハウ)、クンネ・エチンケ(アオウミガメ)のオハウ、マゥタチュㇷ゚(ハマナス)、マンボウ、ペカンペ(菱の実)、コタンコㇿカムイ(シマフクロウ)のチタタㇷ゚と旬の食材が次から次へと登場します。

    ストーリーは刺青の囚人の一人、姉畑支遁がヒグマとウコチャヌプコロする念願を果たして腹上死し、その刺青人皮を確保、ラッコ鍋を食べた杉元・白石・尾形・谷垣・キロランケが一晩中相撲、と粗筋だけでは内容が全く理解できない展開のドタバタが続きます。抱腹絶倒ぶりは全31巻中の白眉ではないかと思います。それくらい酷い(褒めてます)。
    タイムラインで「ラッコ鍋」がトレンドに上がっていましたけれど、なんだろうと思ったならこの巻だけでも読んでみて欲しい。実写映画化がなまじっかなことではないことが腹に落ちると思います。

    それにしても、作者の画力って大したものだと思います。むくつけき野郎どもの躍動する肉体を本当に魅力的に(いい意味にも悪い意味にもw)描いています。あと、犬とか羆とかの動物も。

    ところで、男どもが呑気に相撲を取っている裏で、アシㇼパさんがインカラマッを呼び出して問い詰めています。もともとインカラマッの男にすり寄って利用する様子を「イカッカㇻ・チロンヌㇷ゚(誑かすキツネ、まあいわゆる「女狐」ですね)」呼ばわりして毛嫌いしていたアシㇼパさんですが、正面から問い詰めるのは初めて。インカラマッは素直に自らの知っていること、目的を話すのでした。
    かつて少女時代に「のっぺら坊」になる前のアシㇼパさんの父ウイルクに思いを寄せていたようで、今アシㇼパさんを心配しているのも嘘ではなさそう。そして、ウイルクを殺したと彼女が名指ししたのがキロランケだったのですが…。

    谷垣と情を通じたのは話すべきことを洗いざらいアシㇼパさんに打ち明けた安心感でしょうか。かつての想い人の面影をようやく振り切ったからでしょうか。

    その後、一行は誤解により都丹庵士の襲撃を受けますが、これがまた露天風呂w。
    実はこの巻から先は話がだんだんしんどくなっていきます。尾形を含め彼らがキャッキャウフフ(とはちょっと違うけどw)しているのを今後見ることはおそらく叶いません。心して彼らの裸体を目に焼き付けるべきだと思います。

    一方で、とうとう出てきたラストダンジョン、網走監獄。
    典獄犬童四郎助、看守部長で土方勢の内通者門倉利運、新人看守で鶴見勢の内通者宇佐美時重と、Hell味たっぷりに監獄のキャラクターが紹介されて次巻に続きます。



    第111話 忘れ形見
    第112話 ウコチャヌプコロ
    第113話 さよなら姉畑先生
    第114話 エチンケ
    第115話 蝗害
    第116話 青い目
    第117話 網走へ
    第118話 尻拭い
    第119話 コタンコロカムイ
    第120話 奇襲の音

  • 昨年の今頃​9巻まで読んで​「おそらくあと5-8巻は続くだろう。終わった時に、もう一度論じたい」と感想を書いたばかりなのに、あれから3巻しか出ていないのに、なぜまた取り上げるかというと、マンガ大賞を獲ったのに、今年は「このマンガがすごいオトコ編」並びに手塚治虫文化賞候補等々に選ばれていて、全然勢いを失っていないこと。それからラジオや好きな雑誌で、ずっと話題にされっ放しだったからである。

    8巻ぐらいから、メンバーが単純な三つ巴ではなく時々シャッフルするようになった。お宝に向かって、当時の小樽、岩見沢、月形、旭川、夕張、釧路、屈斜路湖等々、正に北海道をすべて踏破する大パラノマを見せ、更には豊富な(縄文人に最も近い遺伝子を持つという)アイヌの文化を豊富に見せながら、物語を紡いでいて、とっても面白い。

    クンネエチレンケ(海亀)の鍋の美味しそうなこと。

    10巻の最後、「日露戦争で、人の心を殺していた」ことを杉元はアシリパに告白する。

    11巻目でアシリパは「人間を含め、全ての者はカムイと呼ぶことができる。しかしいつもカムイと呼ぶ者は限られている。人間ができない事、役立つものや、厄災をもたらすものなどがカムイと呼ばれる。」「でも決して人間よりもものすごく偉い存在ではなくて、私たちと対等と考えている。」「私たちはカムイを丁重に送りかえし、人間の世界はいいところだと他のカムイにも伝えてもらわなきゃならない。ひどい扱いをすれば、そのカムイは下りてこなくなる」と言う。

    12巻目でアシリパは杉元に向かって、「魂が抜けるのは、この世で役目を終えたから」「杉元が傷を負っても死なないのは、この世での役目がまだ残っているということだ」と「喝破」した。

    私は、意図的に台詞を継いだけど、案外このマンガのテーマを当てたのかもしれない。もうすぐ網走にたどり着く。クライマックスまであと数巻だ。

    2018年3月読了

  • 12巻の前回までのおさらいが分かりやすかった~

    ヒグマに恋する姉畑~
    ヒグマとウコチャヌポコロする前に刺青ごと食べられちゃうよ~~!!それを阻止しようと杉元たちは姉畑を追う~。

    さてさてそのあとはラッコ汁
    もう~ラッコったら…
    そんなに杉元たちを惑わせてどう~するの!?
    笑った!!

    で、インカラマッの言うにはキロちゃんがアシリパさんのお父さんを殺したらしいんだけど…
    さてさてどうなる~?

    13巻へ続く~

  • この巻から「前巻までのおさらい」が載るようになり最初の1ページにぎゅっとマンガで説明されているのが良かった。
    変態姉畑がヒグマとウコチャヌプコロする前に捕まえようとする主人公たち。
    ラッコ鍋の威力。温泉でのハダカ祭り。
    クンネ・エチンケを採る際のしきたり。
    バッタの大軍が押し寄せる「飛蝗(ひこう)」←マダガスカルで遭遇したことあり。
    今回も盛りだくさんで面白い!

  • ラッコ鍋の魔力に爆笑です(ノ´∀`*)

  • 想像を超える偏執狂の姉畑支遁の話から始まり、海を司る翁クンネ・エチンケが登場します。
    細かい体皮の書き込みに感動しましたが、後半に登場するコタンコロカムイには、背景も含めて絵画として見入ってしまうほど生命力があり、本巻は絵力に注目でした。
    他にもオンネ・シペシペッキの大群の通過に巻き込まれて、番屋に逃げ込んだ男衆が閉めきった中でラッコ鍋を始めてからの展開で一笑いきます。
    本巻もますます怪しく思える人がピックアップされ、後半では新たな入れ墨持ちが登場します。
    どんな特技があるのかは読んでからのお楽しみにしてください。

  • メスの羆の糞を体になすりつけオスをおびき出し、獣姦の夢を果たす支遁はもはやネタ。羆の尻にしがみつき恍惚状態の支遁のドアップには失笑したが、さらに腹上死(正確には腹の上ではないが)という結末には呆れつつも感心してしまった。

    中盤はラッコの肉を食った杉元たちが発情し、互いに互いがかっこよく見えてしまう、という話。ここらへんは絵柄の変化も合わせて、もはらギャグマンガの域に達している。

    インカマッラが鶴見と通じていることを尾形が暴く。インカマッラの目的は何かといぶかる谷垣に、彼女はアイヌの女として金塊を守りたいと答える。

    杉元一行は網走に向かう途中の湖で、盲目の盗賊の話を聞く。その長・都丹庵士には体に奇妙な入れ墨があるというのだ。杉元たちは夜、露天風呂に入浴しているところを、都丹の一味に襲われる。

  • 自分達の生死に直結してるからこそきちんと彼らなりの理論があってそれを守っているというのが巻数重ねてもちゃんと描かれてるのが好きなんだよな。
    アシリパさんたちのは動物への優しさというより敬意だ。
    相変わらずテンポよくて読みやすいし、でも訳がわからないことだらけ、飽きない。
    ミステリーでサスペンスでロマンスとか色々。
    あと肌色多かった。

  • いよいよ網走に向かうようです。今後の展開が楽しみ

  • 作者に愛されている谷垣。

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