- 本 ・マンガ (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784088933610
作品紹介・あらすじ
歌舞伎町の路上に集う少年少女の間で流行する、市販薬の過剰摂取。父親からの虐待から逃げ出した少女・雫も危険な夜の街に身を寄せていた。一方、違法薬物使用で逮捕された狐島唯人は、刑務所での厳しい生活を始める。社会から隔離・遮断され、犯罪者というレッテルにより厚くなる心の鎧。仮釈放後、回復支援施設「ダルク」で仲間と出会った唯人は新たな支えを得て社会復帰を試みる。しかし、これまで重ねてきた嘘に自分自身が苦しめられることになり…。
「回復するためには、本当の自分のままでいられる場所を見つけることが必要です」
過去のトラウマに苦しむ唯人に、弱井が示す真の自立への道とは?
行き場のない寂しさを募らせながら進行する孤独の病「薬物依存症」編、完結!!
感想・レビュー・書評
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薬物は意外と身近にある物かもしれないことに少しびっくりしました。
ヨワイ先生のような方がいらっしゃると、少し生きづらさが緩和されるのかなと思いました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
前巻から続く「薬物依存症」編を完結まで収録! 歌舞伎町の路上に集う少年少女の間で流行する、市販薬の過剰摂取から意識を失った少女・雫。また、違法薬物使用で逮捕された狐島唯人は、刑務所での厳しい生活を経て、回復支援施設「ダルク」で仲間たちとともに自立を目指すが──。
衝撃的な幕開けをした13巻。ぼくも狐島と一緒に驚いたし、これは絶望に打ちのめされるよね。薬物使用は「甘え」とか「意志」の問題ではないし、厳罰化しても真の解決には至らない。覚せい剤がもたらすドーパミンの分泌レベルは平常時の10倍以上! 個人の意志でコントロールなんて無理な話で、医療機関や支援者と結びつかなければ回復は難しい。
ここで問題なのは、薬物の話が社会でタブー視されていること。その欲求を素直に打ち明けていい場所があってこそ、病気や自分の過去と向き合える安全基地となる。犯した罪は償わなければならないが、薬物依存は治療が必要な病気であると分けて考えなければならない。
「僕ら薬物依存症者は社会の外にいる『いつまでも治らない恐ろしい人たち』でなくてはいけないんでしょうね…」
ダルクの代表・鉄尾の言葉が重い。世間への私見だと「違法な薬物を買って幸せになっている人たちは厳罰に処されるべき」という風潮があると感じる。ぼく自身は「違法な薬物を買わないと幸せを感じることができない孤独な人々」じゃないかと思っている。そもそも幸せならば、違法薬物にもアルコールにも依存する必要がないからね。そして、これはぼくのように精神疾患を抱える人間にも言えること──。ぼくは抑うつと全般性不安障害がある。その病は自分を孤立させる病だ。他人も自分も心から信じられず、明日に希望もなく、自己犠牲的に誰かへ依存しては罪悪感で関係を断つことの繰り返し。
「薬物がなんだろうと根っこにあるのは圧倒的な寂しさ──違法薬物を取り締まるだけではこの『孤独の病』を治すことはできません 彼らを受け入れる場所を作らなくては──」
「社会の中で生まれた病だからこそ 社会と関わりながら治さなくては 真の回復も…そして成長も得られない──」
「人のためじゃない 自分のために生きたいと思わないと この病は治せないんだ」
これらの言葉は、自分にも繋がるものだなと。ぼくは自分が何をしたいかがわからない。自分のために生きることがわからない。だから毎日、なんでこんなつらい思いをして生きているんだろうと、希死念慮と隣り合わせで生きている。自分のことを考えようとすると、他人や社会のことを考えてしまう。でも、他人のために生きるなんて大義名分は依存の言い訳でしかない。自己犠牲ではなく、自己実現としての生き方は、自分のために生きたいと思うことからでしか生まれない。
大層なことを書いているけど、ぼくはまだスタート地点でうろうろしている感じなんだよね(苦笑)
ぼくみたいな生きづらさを抱えている人間が、生きづらいんだと素直に言える社会になればいいなと思う。 -
バスの中で読んでいて泣いてしまいました。
ここに書かれているような社会が本当に実現出来るようにしたいです。 -
今回のShirinkは薬物依存の話
依存addictionの反対語は回復recoveryではありません。人との繋がりconnectionがあって初めて回復に向かうことができるのです
というヨワイ先生の言葉、涙が出る -
いま読んでる医療ドラマまんがの中でいちばんよくできている。エンタメ、物語としての結構を付けすぎない、ドキュメンタリに近い(でも演出はある)、その按配が優れていることが理由であろう。
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医学部分館マンガコー : WM075/NAN/13 : https://opac.lib.kagawa-u.ac.jp/opac/search?barcode=3410172004
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アディクション編の続き。単なる病気に落とし込まず、社会的弱者としてのレッテル貼りへの抵抗、みたいな画一的な描かれ方もしていないのが、本書の素敵さだわな。
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薬物依存症も人それぞれにいろんなことを抱えてて、一律に同じように解決にはつながらないと思うんだけど… 本当の自分で入れる場所を見つけることが大事なんだなーと理解した。 そう感じることができない人もいるんだよね。 薬はやっぱり、いいイメージがないな…
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726.1||N48
著者プロフィール
月子の作品





