覚の駒 4 (少年サンデーコミックス)

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  • 小学館
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感想 : 1
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (168ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784091255693

感想・レビュー・書評

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  • うん、この四巻も面白いっっ
    やっぱり、前巻より、少年漫画家としても、一人の人間としても成長しているな、内富先生、と感じられる点が多かった
    私の中では、将棋系の漫画として、この『覚の駒』は『ハチワンダイバー』(柴田ヨクサル)、『3月のライオン』(羽海野チカ)に並びつつある(ちなみに、今、私が注目かつ一推したく、コミックスの発売を心待ちにしている作品は、現在、YAで熱く連載中の『3月のライオン昭和異聞 灼熱の時代』(原案・監修:羽海野チカ/作画:西川秀明)である)
    有名でなくとも、その時代を力強く生きていた人間たちが抱えている各々だけの悩み、それを乗り越える人間らしい強さを、一手ごとに個人の本質から皮を剥いでいく将棋と人非ざるからこそ人に憧れる覚の目を通して視るストーリーは力強い
    先に挙げた二作品のように、ガチの対局を詳細に描いている訳ではないので、私のように将棋が下手で、どちらが有利なのかもサッパリだが、人間ドラマ感が鮮やかな将棋漫画は好きって読み手には助かる
    覚が、将棋を媒体にし、多くの人間の心の中、本人ですら気付いていなかった「要の一手」を覗き、当人に自覚させ、その中で人を知っていく事で、元より強い人間臭さがますます際立っていく点も面白い。出会いは人生において、プラスに働くってコトか
    この四巻に収録されている話は、どれも面白いが、あえて一つに絞るなら、第十五局『江戸の大火とお七の恋』だろう。強い恋慕の念に狂ってしまったが故に絶望し、人の道から逸れてしまった女と、そんな女に手を届かせられなかった男の、悲しい心を力強くも、儚げに語っている
    この話を読んで、私は内富先生の成長をしみじみと感じ、師匠である藤田和日郎先生に近づいたな、と思った。けど、藤田先生自身がまだ、成長を止めていないので、そう簡単にゃ追い越せなさそうだ。もっとも、師匠がそうでなければ、育ててもらった弟子は、追いかける甲斐もないだろうけど
    この巻では、ついに巻跨ぎまでした。話がイイとこで次の巻に繋がると、イラッと来ちゃう人と、ますます楽しみになれる読み手がいるが、私は後者だな。ある意味、その思わせぶりな引っ張り方で、漫画家の実力の一端が見えるので
    果心居士、中々に好いキャラだ
    この台詞を引用に選んだのは、成長したからこその内富イズムを感じ取れたからだ。こんな幸せなカタチに辿り着けた家族が増えていけば、これからの日本は今よりもっと良くなりそうだな、と思う。本当の家族の温かさを、最期に知る事ができ、最高の笑顔で逝ったグレイは、誰が何て言おうと、イイ去り方だ。人間ならば、自分が守りたいものを守って、偽りなき満足を抱けてから死にたいもんだ

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