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Amazon.co.jp ・マンガ (192ページ) / ISBN・EAN: 9784091320285
作品紹介・あらすじ
~映画「犬と私の10の約束」公開記念作品~
犬が私たちにしてほしい10の約束をまとめた短編詩「犬の10戒」。世界中を感動させた、その短編詩からうまれたオリジナルストーリーのよみきり集です。この本のために新たに描きおろされた2作品を含む5作品を収録。「ちゃお」でも読者の大反響を呼んだ感動の1冊です。
みやまあかね「キミと歩く道」
姫川きらら「GO!GO!プリンス」
柏ぽち「きみが教えてくれたこと」
みづほ梨乃「ずっと、いっしょに、いるよ。」
環方このみ「あしたは大吉」
感想・レビュー・書評
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<映画・イヌミチ>
何とも奇妙な映画である。性交をせずに、男女がつながりあるのは飼い主と犬という主従関係を演じるというのだ。
しかし、万田監督のショット展開が絶妙だ。まず、男の土下座というひょんなことから、男の自宅で飲むことになった2人が、缶ビールがいくつも置かれたちゃぶ台の上で、男が催眠術をかけるためコインを爪ではじく。そして、コインが音をたててぐるぐる回る。倒れかけるコインを男がバンと手でとめる。この一連のショットの連鎖はすばらしい。
そして、まだ自分が飼い主と自覚していない男をじっと見つめていた女性編集者は、気負いなく「ワン」とほえてみせる。この瞬間をとらえたショットは、室内という制限された空間にもかかわらず、である。
しかし、女は笑ってしまい、もう一度コインを回す。こんどは、コインを映さず、コインの音と男の表情だけを映す。そしてコインが倒れたと思われる瞬間、俯瞰気味のキャメラはソファの上で寝ている女を映す。男が毛布をかけると、キャメラは低い位置に移動し、手前に暖色の明かりをともしたランプの置かれたテーブル越しに、女の寝顔を真正面からフレームにおさめる。その鈍い明るさが寝顔をぼんやりと闇に浮かび上がらせる。うまい。
男の寝間着をきて四つん這いになって部屋の中をかけまわる演出もすこぶるよかったが、女のトイレのシーンやエサを食べる時の動きなど、いささか演出が甘いところがあり、気になったが、それを上回るショット展開があり、文句を言うこともあるまい。
イヌになる前の出版社で働く女のフレームへのおさめかたは良かったし、何らかの心の痛みをかかえた女たちに向ける万田監督のまなざしは、溝口健二から増村保造をへて日本映画の健在ぶりを誇示している。主演の永山由里恵は、饒舌にならない的確な視線、寡黙な横顔、そして艶を帯びた表情をみせる。
ただし、着地は難あり。
【ストーリー】
目の前の物に満足し、信じて待つ「イヌ」。その目をみつめて可愛がり、惜しみなく与える「飼い主」。男女がセックスを介在させず肉体関係を結べるもの、それは「イヌ」「飼い主」の関係になる事だけかもしれない。
仕事や恋人との生活において、選択する事に疲れている編集者の響子はある日、クレーマーや上司に簡単に土下座をする男・西森と出会う。プライドもやる気もない西森の、無欲な「イヌ」の目に興味を持つ響子。出来心から訪れた西森の家で、二人はおかしな「イヌ」と「飼い主」という遊びを始める。「イヌ」としての盲目な生活に浸る響子と、その姿に安らぎ「飼い主」になる西森。ほの暗い家の中で、決して交わることのない身勝手な愛を垂れ流す二人の遊びはどこへ向かうのだろうか。
入籍を考えなくてはならない恋人との関係や日々の仕事に倦んだ、30歳まぢかの主人公のOLが、見ず知らずの男の家に転がり込み、どういうわけか四つん這いになって犬の真似をし始める。男も男で、そういう女を素直に受け入れる。しかし二人の間に性的な関係は一切ない。これが『イヌミチ』の物語だ。私は、最初不思議な話だと思った。新しい話だとも思った。「今」のひとたちの話なのだとも思った。一方、撮影現場に参集したスタッフ・キャストの学生たちはみな若く、そこにも「今」があった。さあ、困った。「若さ」にも「今」にも弾かれている年寄りは、それに迎合するのは業腹だし、ただ逆らって頑固になるのも大人げないし。ジレンマ。今こそ「わん!」と鳴いて四つん這いになるべきか。もちろんそんなことはできなかったけれど、それをやるのにもそれなりの勇気と覚悟が必要なのだということには気づかされた。そうして、そんな勇気と覚悟をおくびにも出さず犬になった主人公が、いよいよ奇妙に思えたのである。ーー万田邦敏
次代を担う若き才能×孤高の映画作家 運命を変貌させる異世代の邂逅!
『UNLOVED』(02)、『接吻』(08)で国内外に衝撃を与えた映画作家・万田邦敏監督が5年の沈黙を破り放つ最新作『イヌミチ』は、個性的で精力的に活動を続ける映画監督を輩出する映画美学校の、フィクション、アクターズ、脚本の3コースによるコラボレーション作品である。
第一線で活躍する高橋洋、三宅隆太、村井さだゆき三人の講師陣が揃って太鼓判を押した伊藤理絵によるリアルな女性心理が描かれた独創的なシナリオに、響子役の永山由里恵、西森役の矢野昌幸らがみずみずしくも大胆で躍動する演技と表情で挑み、そして映画に対し熱い血潮をたぎらせるフィクション・コース15期生がスタッフとして現場を支える。これからの映画を担う若い世代の感性と万田監督の鋭い演出が混じり合うことにより、『イヌミチ』は現代の若者の孤独と倒錯した愛を描いた、新しい万田邦敏作品としてここに誕生した。
首輪をはめたら、「自由」になれた。向き合うことを知らない若い男女の孤独と異形の愛を描いた、進化し続ける映画監督、万田邦敏5年ぶりの最新作。
監督・編集:万田邦敏/脚本:伊藤理絵/撮影:山田達也/照明:玉川直人/録音・整音・効果:臼井勝/音楽:斎藤浩太、下社敦郎/音楽監修:長嶌寛幸/美術:萩原周平、赤松直明、鈴木知史/衣装:松岡智子/助監督:菊地健雄/制作:大野敦子/カラリスト:田巻源太/Bカメラ撮影:星野洋行/撮影助手:高嶋正人、中村太紀、木村玄、光田力哉/照明助手:茂木俊幸、迫田遼亮、若栗有吾/録音助手:下社敦郎、栗山道太/演出助手:松本大志、三野航、花山奈津/制作進行:鈴木英生、阿部瑶子、太田英介、清原悠矢、今野友裕、立花麻衣/製作・配給・宣伝:映画美学校詳細をみるコメント0件をすべて表示
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