- 小学館 (2016年6月24日発売)
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感想 : 7件
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Amazon.co.jp ・マンガ (200ページ) / ISBN・EAN: 9784091386724
作品紹介・あらすじ
私の人生、いつから乙女ゲームになった!?
桐生ふたば(32)はアニメ化もされるラブコメ漫画の作者であるが、
自分自身は”恋愛感情”がわからない人間である。
「そもそも女性が恋愛を好きだって、誰が決めた!?」
かなり拗らせたふたばだが、そんな彼女に対して、
職場の寡黙な年下アシスタント、通称アサシン、
そして年上のアニメの脚本家、通称軍師が突如として
アプローチを始める…!!!
「私の人生、いつから乙女ゲームになった!?」
”恋愛感情”がわからないアラサー女子による新感覚ラブコメ、スタート!!
【編集担当からのおすすめ情報】
”恋愛感情”がわからない女子をめぐる新感覚ラブコメ、
『桐生先生は恋愛がわからない。』1,2巻同時発売です!!
作者の小野ハルカ先生に、恋愛漫画を描いてもらう様に交渉した際、
一度は「恋愛漫画、苦手なんです」と断られましたが、
「恋愛漫画が苦手な方だからこそ描ける恋愛漫画を!」と粘った所
生まれた為、かなり新感覚な作品になっていると思います!
”恋愛感情”がわかならいのに、何故かとてもキュンキュンする当作品を、騙されたと思って是非読んでみてください!
宜しくお願いいたします!
感想・レビュー・書評
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自分はアセクシャルで、本書が「アセクシャルの漫画」らしいので読んでみた。
1巻のみの感想だけど、実際には「アセクシャルの漫画」じゃなかった。
「ノンセクシャル、クエスチョニング、アセクシャル、といったセクシャリティと自分が結びつくのかどうか模索している漫画」といった方が良いとおもう。
というわけで、アセクシャル「かもしれない」人が出てるな、ぐらいの印象。
にもかかわらず、本書とアセクシャルを強く結びつけている読者がどうも多いみたいだ。
↑感想はここまで
↓アセクシャルについて
本書とアセクシャルを強く結びつけている読者がどうも多いようだ。
アセクシャルに対する先入観や思い込みが、そこには紛れ込んでいるんじゃないかと言いたくなるような人もいたりいなかったりで、なんだかな~という感じ。
よくある誤解Q&A
Q:
「セックスしない異性愛者」がアセクシャルなんでしょ?
A:
違います。
ちなみに、
性的な交渉をしない人や楽しめない人は、ヘテロセクシャルの人の中にも、レズビアンの人の中にも、ゲイ男性の人の中にも、バイセクシャルの人の中にもいる。
性的な接触をしない/避けるのは、アセクシャルの(全員じゃない)人だけが当てはまるわけじゃない。
なので、性的な接触をするのが嫌じゃないアセクシャルの人だっている。
Q:
性欲があったら、それってアセクシャルじゃないでしょ。
A:
そんなことないです。アセクシャルかもしれないし、アセクシャルじゃないかもしれないとしか言えません。
× 性欲がない=アセクシャル
〇 他者に性的に惹かれない=アセクシャル
性欲がない人は、ヘテロセクシャルの人の中にも、レズビアンの人の中にも、ゲイ男性の人の中にも、バイセクシャルの人の中にもいる。
性欲があるアセクシャルの人もいる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
マンガ
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まさかの!王道ハーレムに疑義を呈するAセク漫画!
まったく読む気のおこらないラノベ風タイトルのせいで萌え系恋愛漫画かと思ってた。
主人公は生れてこのかた恋愛感情を抱いたことも恋にあこがれたこともない人。
アセクシャルかもしれないけどそうともいいきれるほどの確信もない。
この辺の迷いがリアルにアセクシャルっぽい。
同性愛者かとも思ったけど違うみたいだしもしかするとアセクシャルやノンセクシャルとかXジェンダーも近いかもしれない、と自己を分析する主人公がでてくる漫画を出版社が出す時代がこんなに早くくるなんて数年前には想像もできなかった。
どうなるのかなこれ、完結してるっぽいけどネタバレはさけたいからレビューも読めないわ。
追記、少しずつ読み進めてる。
うーん。ちょっと頭でっかちかなぁ。
今の私にとってアセクシャルであることはさほど重要な問題ではないから、この話はあまりにもすべての問題を「恋愛しないこと」に帰結していると感じてしまう。
多分、私の中のアセクシャル性の比重と、この漫画のマイノリティ性の比重があってないんだと思う。
主人公がわかってほしい部分、セリフやモノローグで一所懸命説明している内容は、わかるけど説明過多で共感のまえに食傷してしまう。
この話はお仕事漫画というよりセクマイ漫画で、あくまでアセクシャルであることがすごく重要な意味をもつ。もちすぎてる。
主人公は漫画家という「表現する仕事」をする上で自分がマイノリティであることはすごく不利なんじゃないかみたいな悩みをかかえている。
でも、本当は主人公だって「恋愛しない人」というだけの存在じゃない。
他のマジョリティ性もマイノリティ性もかかえているはずなんだ。
たとえば主人公はたぶん身体障害も知的障害も精神障害もないし右利きだし日本人外見の日本国籍だろうし両親そろった一般家庭の出身で虐待されたこともなさそうだし教育も受けているし女子会できる友達もいるしセクシュアリティをオープンにできるし仕事上のコミュニケーションがそれなりにとれるくらいマジョリティだ。
だけど主人公には(もしかすると作者にも)それが見えてない。
自分がマジョリティな部分に無自覚だから、ジェンダー規範や恋愛至上主義の不条理やそこから外れることの生きづらさを訴えても、自分の傷にだけ敏感な人に見えてしまう。
自分の漫画を読む人たちや一緒に仕事をする人たちのマイノリティ性にも鈍感だから、自分だけ孤立してる気分になっちゃうんだと思う。
恋愛マジョリティとも、別の部分のマイノリティ性でならつながれるはずなのに、そういう発想にならないのがすごくもったいない。
とはいえ、アセクシャルの話を恋愛漫画の文脈で描くってこと自体が難しいんだろうと思う。
だってアセクシャルって恋愛しない人だから。
恋愛しない人が恋愛について考える話なんてどうしたって頭でっかちな考えの羅列にならざるを得ない。
ただ、恋愛しないとか性愛に興味がないというありかたは、「こんな部分で嫌な思いをします」「こういうことでじわじわ生きづらくなってます」「こういう人もいるんです」といちいち主張しなきゃ気づかれない程度にはマイナーなセクシュアリティだから、こういう本も必要だ。
あんまりマジョリティの理解を啓発する書き方ではないと思うけど。
でも、書き方は不器用でめんどうくさいけど嫌いではない。
こうやって声をあげてくれる人がいることをありがたいと思う。
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「本質的に(社会の価値観から外れている)異質な自分」への戸惑い、葛藤、諦め、達観...表現しにくいニュアンス的なものを掬い上げるだけでなく、コミカルに描き、漫画としての娯楽性も成立させているところがすごい。
小野ハルカの作品
