ソラニン (1) (ヤングサンデーコミックス)

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 6199
感想 : 758
  • Amazon.co.jp ・本 (204ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784091533210

作品紹介・あらすじ

▼第1話~第14話●主な登場人物/井上芽衣子(東京での社会人2年目にして会社を辞めた23歳。秋田出身。種田と同棲中)、種田成男(デザイン事務所で働くフリーター。福岡出身。学生時代の軽音仲間と趣味でバンドを組んでいる)●あらすじ/大学を卒業して1年が過ぎ、OA機器メーカーのOL・井上芽衣子はあることを実感するようになっていた……「わたしは社会人には向いていない」。とはいえ、自分に特別な才能がないと自覚してしまった今となっては、もはや人生のレールを外れる勇気もないというのが現実。多少辛くても、頑張ってつつましく生きていくしかないのだと、彼女は今日も会社へ向かうのだったが…(第1話)。●本巻の特徴/種田の言葉に勇気を与えられ、会社を辞めた芽衣子。そして、そんな芽衣子の言葉に突き動かされ、本気でバント活動を始める種田。空虚だが熱く、悩みながらも前向きに生きようとするふたりの行方にあるものは…!?●その他の登場人物/ビリー(本名・山田二郎。種田のバンド仲間。実家が営む薬局で働く24歳)、加藤(種田のバンド仲間。大学6年生)、アイちゃん(ショップ店員。加藤と付き合っている)

感想・レビュー・書評

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  • 社会に出た若者の、生きにくい、息苦しい焦燥感を、淡々と描く。
    暑苦しくもがかず、しずかに淡々としながら、心の底には深い悲しみと、自分自身を信じられないながら信じたいという揺れ動く気持ちが垣間見れる。

    その淡々とした表現に、実際に世の中とのギャップを感じている同世代はかなり惹きこまれるのだろう。

    インタビューでもいっていたように、いにおさんは読者がどういうものに惹きつけられるかきちんと計算して描いているというのがよく分かる。セリフが男性脳的、論理的。

    また、このソラニンの雰囲気は、彼自身のキャラ(『漫画みたいな恋ください』鳥飼茜 で描かれている)に似ている気がする。
    何事にも冷静でいるように外からは見えて、マイペース。
    でも、中はマグマのようにぐつぐつ創作に燃えている。

    シチュエーション的には、『南瓜とマヨネーズ』魚喃キリコ に似ている。
    『南瓜とマヨネーズ』はダメな男女感のだらしなさ、人間のどうしようもなさがエモーショナルに表現されていて、その人間の業のようなものに惹かれた。
    それを、いにおさんはいったん冷静なムードで包む(登場人物たちのすずしげな眼)。
    このまなざし(登場人物たちの社会との距離の取り方)に共感できるか否かでこの作品に入り込めるかが分かれるのではないか。
    わたしはおじさんになってしまったのか、このまなざしになんとなく惹きこまれなかった。

    『南瓜とマヨネーズ』は「人間って動物なんだよね。」というような、ロジカルではどうにもコントロールできない感情が生々しく、惹かれるのだなと。 

  • ショックなことがあって、度々その光景がフラッシュバックする。そうなるとどうしようもなくて、パソコンの電源ケーブルを引っこ抜くみたいに無理矢理感情をシャットダウンする。
    これは夢ね。ああ悪い夢さ。とかなんとか言って精一杯心を遠くへ飛ばす。

    このやり方がいつまで有効なのか分からない。


    『ソラニン』が嫌いだ。
    あっち側に行ってしまった愚かな種田が嫌いだ。
    何が嫌って、泣きながら赤信号に突っ込んでいった種田の心情が痛いほど理解出来るからだ。
    あの表情が語るものがなんなのか知っているからだ。その痛みと、焦燥と絶望を、私も知っている。
    多くの人が多分知っている。
    心底しんどい時は羨ましいとさえ思う。本当に最悪だ。

    27で死ねなかった甘ったれた凡人は、しみったれた物語を背負ってそれが不幸とは限らないと信じて生きていくしかない。
    それが耐えかねる人生なのかは、生き抜いてみないと分からない。

    『ソラニン』もいにおも好きじゃないけど、もう15年以上、いまだに私は年に数回は種田のことを思い出し、平凡な人生になんとか踏み止まり続けている。

  • ソラニンってジャガイモの芽に含まれてる毒。
    私自身ジャガイモを調理するときは念入りに芽を除く。
    でもジャガイモが成長していくためには必要なもの。

    人間もそんなもんだよなーて思う。

  • 同棲している種田成男と井上芽衣子の生活ぶりを丹念に描く。若い人の心情というのが実に的確に捉えられている。これだけ心情を描写しきれるのって小説でも映画でも少ないのではと思う。
    内容で気の利いたフレーズがあればメモしておくのだが、これはもうほとんどがうまい表現ばかりでメモしきれない。

    例えば、テキトーにページを開いてみると
    「あたしが仕事を辞めたのは、仕事に不満というよりは、疲弊してくたびれてゆく自分が嫌だったから。」
    「今のゆる-い幸せな感じは気持ちいいけど、時折、自分が社会にまるで貢献していないのを思い出して、まるでこの世に存在しない、死人のような気分になって、すごく怖くなる。実はそんな夜もあるんだ。おかしいな。死んだように生きるのがヤで会社を辞めたハズなのに。・・・くそっ。むずかしいもんだ。人生ってのは。」

    繊細で生真面目で、テキトーで、力強くて気が弱い井上芽衣子のキャラのリアリティが抜群だけど、種田成男のキャラも素晴らしい。若い男性をこれほど平凡だけど深く、繊細って描くのって初めてだ。すごく普通なのだが、作品には出てこなかった。
    「こなに好きなはずなのに、ずっと一緒にいたいのに、ホントは、あたしは心のどこかで種田との生活を終わらせて楽になりたいと思ってたんだ。」
    といった恋愛の心情の複雑さの描写もうまい。

    「カレーのトッピングに焼き魚・・・芽衣子さん、これは新たしいいやがらせかい?」といった軽いコミカルさもいにおさくひんの良いところ。

    絵のうまさは写真をコピーしたような画風を批判されるほどにうまい。

    これだけの作品なので映画にしてもいいのではと思ったら映画になってました。チラッと予告編を見ると同じセリフを喋ってる。しかしここまでドラマ的に完成度が高いと実写に移す意味ってないような気がする。

  • 5本の指に入る好きな作品。
    透明感が凄い。

  • 結構前に読みましたが、読み返すとあの頃の自分を思い出します。当時は主人公と同じ境遇で、仕事を辞めようかどうか悩んでいた時にこの漫画に出会ったので、ものすごい共感しました。
    特に後半に登場する主人公のセリフや心情には、心に響きました。自分も会社を辞めようと思ったときから毎日が怖く、色々な思いが駆け巡っていき、どうしていいのかもがいていました。漫画でこんなにズシンと来たのは、初めてでした。
    リンクするところがあったからだと思いますが、こういう思いをしているのは、多くいるのではないかと思います。
    映画化されましたが、個人的には漫画がオススメです。映画には触れなかった部分もあるので、響く人には響きますが、そうでない人には、日常のありふれた生活を描いているため、刺激がないかと思います。今は新装版も出ていることをこれを書いているときに知ったので、1巻完結ですし、あという間に読めるかと思います。
    個人的に物語の場所が知っているところなので、親近感があり、どこかにいるんじゃないかと勝手に想像しながら、読んでいました。

  • 若者が、いずれ「何かを決めなきゃいけない」という、人生の分岐点みたいなところに差し掛かるまでの「間」。いろいろな読み取りかたはできると思うが、ダラっとした日常の描写の中に、自分が一番感じたのは、ヒタヒタとせまってくる「その時」への恐怖感。映画のために作られたアジカンの「ソラニン」はすごくこの歌(詩)にあっている。

  • 残念感!
    これ系かぁ~
    もうちょっと深いのを期待してしまってましたわ
    でもこの青々しさこそが人気のヒミツなのか?
    だとしたら単に私が適正年齢過ぎちゃったってだけかも

  • 種田みたいな生活がしたい...

  • 日本の若者のリアル。
    それをここまで描ける作家は本当に少ないと思う。

    一つの恋人同士(あえてカップルでなく、恋人)を巡る、一つの物語。


    映画版もよかったですが
    浅野さんの描くこの雰囲気が、私はとても好きです。

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著者プロフィール

1980年生まれ、漫画家。1998年、デビュー。日本の青年誌漫画を牽引してきた作家のひとり。主な作品に、『ソラニン』『おやすみプンプン』『うみべの女の子』『零落』など多数。『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』を連載中。

「2019年 『漫画家入門』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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