ヨルムンガンド (11) (サンデーGXコミックス)

著者 :
  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784091573056

作品紹介・あらすじ

武器商人は、善か悪か!? 堂々の完結!!

「全世界の空を制圧する」―――恐るべきココのヨルムンガンド計画!
「たった70万人の犠牲でもたらされる、強制的世界平和だ」とうそぶくココに、ヨナは激昂し、銃を向けるが…!? 
だが、そんなヨナを嘲笑うかのように、世界各地で火の手が上がる。
ココの計画は本当に世界平和をもたらすのか!?
そしてヨナが出した結論は!?
武器商人ココは、本当に悪徳なのか!? 
2012年4月からTVアニメ放映も決定したミリタリー・ピカレスク、衝撃の最終第11集、ついに登場!!!

感想・レビュー・書評

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  •  賛否両論あるかと思われる、この結末。私は「アリ」だと思う。
     戦争を嫌い、武器を嫌い、殺し合いを続ける人間を嫌い、武器商人である自分を嫌うココ。全てにおいて嫌悪感を抱いたままだったならその内に壊れていたかもしれない彼女が閃いた、自分を救う方法が「世界平和の実現」という、途方もない【理想】だった。だが武器商人として世界各地の戦地を渡り歩いてきた彼女にとって、「世界平和」など生半可な手段では実現しない、という【現実】も十分すぎるほどに理解していた。
     世界を平和にするには、世界全てを敵に回しても抑え込めるほどに圧倒的かつ現実的な「力」が必要。そう考える彼女が南という友を得た。そして自分は南の研究を進められるだけの資金を獲得できる。そして生まれた「ヨルムンガンド」計画。尾を銜えて円状になった姿で描かれる「ヨルムンガンド」は錬金術の「ウロボロス」同様、「旧世界の破壊と新世界の創造」のシンボルでもある。
     旧世界を破壊し、新世界を創造する「ヨルムンガンド」。だが発動したとして、兄であるキャスパーは言う。

    「この世から武器がなくなると、本当に思うか?」

     自分を恥じず、己の周囲や空を封鎖した者に責任を求める厚顔無恥な恥知らずは戦いをやめないかもしれない。能動的受動的に関わらず、その者に従う者も少なからずいるだろう。キャスパーが言うように、空、海、陸の順に行動を制限されても、武器は売ることも買うことも作ることもできる。ウィルス、マルウェア、ハッキング、クラッキングなど、コンピュータ技術も武器になるし、格闘術を身につければ己の肉体が武器になる。
     また、ヨルムンガンドの最期は自然死ではなく、頭を砕かれて殺される。例えば隕石やデブリで打ち上げた頭脳が破壊されたら? 新世界はどうなるだろうか?
     だが、リアリストでありながらも「世界平和」を実現しようとするロマンチストという矛盾した人間であるココは言う。

    「私は戦わないと思う」

     そんなココを信じ、ついていくことに決めたヨナ。旧い世界は終わり、新しい世界が始まる。物語は終わるが、人がいる限り、世界は続く。

     以上が、全体を通しての私の感想です。駄文、失礼致しました。

  • ココの野望ヨルムンガンドが明らかに。これが正しい選択なのかどうかは別にして、この戦場における武器商人という壮大でリアルな物語を完成させた作者に感謝します。凄い緊迫感だったしそれぞれのキャラクターの描き方が素晴らしかった。惜しむらくはラストにアールがいないこと(泣)ヨナは正しい選択をしたのだろうか?結局その後のストーリーは語られていないので個々に想像するしかないのだけれど。ただ最後ヨナの笑顔が見られてよかった…そこに光を見た。

  • 何処かで「ヘクマティアル兄妹は免罪体質っぽい」と見たけどその通りだなと(笑)
    ココの人間が嫌いなくせに「身内」には異常に執着する、武器商人である自分が全てと判っていながらそれを引っ繰り返す事を選び取る…正に「悪霊を弄ぶならば自分もまた悪霊となる」みたいな生き方の結末は一体どうなるのだろう。私はキャスパーが好きで彼の「どうやっても人間は戦争をするよ」の考え方に一番共感が持てるので、アインシュタインの「石と棒で戦争をする」んだろうなと思っているが。
    そして彼らもまた「正義」だった。

  • ばんばん人が死ぬのに後味悪くない不思議。
    ラストは賛否両論だと思うけど私は好きです。ヨナの選択なら正しいでしょう。

  • アニメで先に見てしまっているが、原作を読んでもやはりココが人類に問う世界平和を見たい、と思わない不思議な読後感。

  • 第65話 NEW WORLD phase.12
    第66話 ウォーモンガー phase.1
    第67話 ウォーモンガー phase.2
    第68話 ウォーモンガー phase.3
    第69話 ウォーモンガー phase.4
    最終話 恥の世紀


    【全11巻読んでの感想まとめ】
    ずっと昔、若かりし頃、私も「平和」というものを夢想した時期がありました。
    戦後日本というぬるま湯のなか、戦争は過去、もしくは海外のもので、そんななかで空想できる戦争も平和もたかが知れていたかもしれません。
    戦後、戦勝国から賜った「平和憲法」を後生大事に抱えて奉り、お題目のように第9条を唱えていれば平和になれる? それは違うと思っていたのですが、では何があれば平和なのか、平和というものはどうすれば実現できるのか、若い脳みそで、ない知恵を絞って、考えていました。

    少なくとも、誰かに与えられるものは平和ではない。

    平和なんて、血まみれになって犠牲を払って、その屍の山を血の河を、二度と見たくないと決意することからしか生まれない。
    それが私のそのときの結論でしたが、犠牲を払っても屍の山血の河を越えても――戦争をどうにか終えた国々が地域が、平和になったという話はあまり聞こえないので、その結論もどうやら間違っていたようだと、思うのです。

    でも、誰かが天上から下賜するものではない。
    争いを味わい尽くしたひとたちが、戒めとして求める。それはいまでも「平和」が「平和」でありつづけるために必要なものだと思ってはいます。
    上からではなく、下から。
    希望ではなく戒め。
    平和というものはそこにありつづけるものではなく、常に風雨に曝された砂の城。求めつづけ創りつづけなければ崩れてしまう、覚悟。そんなものだとは思っています。

    理想的な世界というものは、何かしら条件をクリアできれば付与されるものではなく、理想を常に刷新していくことでしか維持できない。

    自分語りが長くなってしまいました。
    ココが世界にもたらそうとした平和は、いったい実現できるのでしょうか。
    空という舞台を奪い、人間から手足、翼をもいで、そこで平和になるのでしょうか。
    私はキャスパーの予測のほうが恐らく当たってしまうのだろうと思っています。けれどココはそんな人間の性根にうんざりしながら世界に絶望しながら、それでも次の一手を探ろうと模索するでしょう。そのあがきがいつか平和という理想郷を切り拓く、かもしれない。

    そのとき、ココだけが理想郷をもたらす力を手にしただけであればココの死、ないし舞台からの退場と共に世界に争いは復活する。でもココならその対策もしっかり打てそうですけどね。
    ココが存在する、漫画「ヨルムンガンド」の世界は幸運です。
    11巻を読み終えてページを閉じながらココの理性に敬意を表します。

    さて。明日、私たちの世界は平和でしょうか。

  • 調べればすぐにこの世の中では自明です。
    親父が死んだ場所、香港の領事館に問い合わせてみたら
    わかるはずだろう。
    その瞬間から俺は全ての関係者を問責出来るだろう。
    中途半端に「生かさず殺さず」しつつ、人生を失いました。
    それに対してあいつ等は、お金をそっくりと懐に入れています。
    遺産として頂き、お涙頂戴と胡散臭さを残しながら。
    次男の俺には教えることもなく、その身を他人様に
    「売られ」て、就職を失い、今に至っております。
    悔しいよな。本当に。

  • 完結

  • 11巻(完)まで読んだ
    4巻あたりから各メンバーの過去の話とか馴れ初め的なものができてきたんだけど、展開はびっくりな方向に……
    武器商人が世界平和とかびっくりだ。
    でもテンションがおかしいから面白かった

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