ここではない★どこか 山へ行く: ここではない・どこか 1 (flowers comicsシリーズここではない・どこか 1)
- 小学館 (2007年6月26日発売)
- Amazon.co.jp ・マンガ (191ページ)
- / ISBN・EAN: 9784091670274
作品紹介・あらすじ
「そうだ、今日は山へ行こう」小説家の生方(うぶかた)さんは、目ざめと同時に浮かんだ思いつきを即実行に移そうと試みるのだが…。日常と非日常とのひずみにある不思議を、イマジネーション豊かにすくい上げた名手の傑作短編集。
●収録作品/山へ行く/宇宙船運転免許証/駅までムゲン/メッセージ/あなたは誰ですか/ゆれる世界/くろいひつじ/貴婦人/ビブラート/柳の木
感想・レビュー・書評
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再読。読めば読むほどに味わいが深まる。表題作が一番好きだなあ。今日は山へ行こうと思ったオジサンが結局行けずに一日終わるという、まったくもって何でもない(いやほんと)お話なのに、どうしてこんなに心にしみるのか。ほんの何コマかでいろんな人の人生をありありと想像させる、実にこれは熟練の技であると思う。
「まんがキッチン」で福田里香さんが、萩尾先生が初めて大人の視点から描いたのが「バルバラ異界」だと書いていて、これには膝を打ちまくりだった。この「ここではないどこか」シリーズは、大人視点と子供視点のものが混在していて、やはりわたしは前者に惹きつけられるのだ。「ポーの一族」で初めてその名を胸に焼き付けてから幾星霜。子供の頃も若かった頃も、中高年の仲間入りをした今も、ずーっとそのときの心に響くものを届けてもらっている。あらためて素晴らしいと思う。
最後の「柳の木」。泣かずには読めない。ギャグ漫画なんかでよくある目からダーッと涙を流す人のようになってしまうのだった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
萩尾さん、素晴らしいです!!
表題作のみ雑誌で立ち読みしたときはそれほどインパクトを感じなかったのだが、こうして一冊にまとまったのを読むと、それぞれの作品のよさが引き立ち、完成度の高さに思わず唸ってしまった。
「日常と非日常とのひずみにある不思議」。萩尾さんだから描ける世界だ。
この「ここではないどこか」シリーズ、個人的にとても気に入った!次巻が楽しみである。 -
どの短編もいい。音楽一家の中で、一人馴染めなかった長男が、母親のピアノを捨てる話、好き。
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(2007.06.30読了)
「ここではない☆どこか」Anywhere But Hereというシリーズの第1巻です。
読みきり短編集ですが、最初の3話は、作家の生方正臣先生の話です。発表順の編集にはなっていませんので、連続してかかれたわけではなさそうです。
「山へ行く」は、作家の生方正臣先生は朝起きたとき「今日は山へ行こう」と思い立ち自転車で出かけるのですが、次々と知り合いとであって、山へたどり着けず戻ってくるという話です。どたばた喜劇というところでしょうか。
「宇宙船運転免許証」は、30年前にもらった免許証の更新案内が来た話です。
小学生のころ200円切手を送って、発行してもらった宇宙船運転免許証の有効期限が30年たった今年切れてしまうので、更新しませんかという案内が届きます。
更新には、30年前に発行した免許証と3000円が必要です。
「駅まで∞」は、ホラーというところでしょうか。階段から落ちて気絶してる間にあの世へ行きかけていた義母を救う話です。
萩尾さんは、心理学を勉強中とかいう話がいつかありましたが、そのあたりに題材をとった話が「あなたは誰ですか」(記憶喪失の話)、「くろいひつじ」(仲間はずれの話)、「ビブラート」(もう一人の自分、パラレルワールド)、といったところです。
異人の話が「ゆれる世界」です。背中に羽が生えて生まれてくる人たちの話です。
羽は昆虫のような羽根薄くて折り畳みができます。したがって服を着ていれば普通の人間と変わりません。バタフライ効果というのがこの物語のキーワードです。
萩尾望都の今までの作品のいろんな面が見れるので、結構楽しめると思います。
漫画家 萩尾望都
1949年5月12日 福岡県大牟田市生まれ
1967年 福岡市内の日本デザイナー学院ファッションデザイン科に入学
1969年 『ルルとミミ』でデビュー
1976年 『11人いる!』『ポーの一族』で第21回小学館漫画賞を受賞
1997年 『残酷な神が支配する』で第1回手塚治虫文化賞優秀賞を受賞
2006年 『バルバラ異界』で第27回日本SF大賞を受賞
(2007年7月2日・記) -
日本の日常が舞台の短編連作。ほんのり切なさの残る読後感。この人の語り口はどこか文学を思わせやっぱり心地よい。いつか再読しても良い本だと思った
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個人的には「ビブラート」の五十嵐君がよい。不穏な空気を打ち破る心強い存在だ!「くろいひつじ」も共感できるわ…
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今
ここにいる
自分から
内覧 -
これは素晴らしい短編集。好きだなあ。