岡崎に捧ぐ (5) (BIG SUPERIOR COMICS SPECIAL)
- 小学館 (2018年10月30日発売)
- Amazon.co.jp ・マンガ (151ページ)
- / ISBN・EAN: 9784091792624
作品紹介・あらすじ
山本さんの岡崎さんに捧ぐ実録友情譚、完結
あの日の喧嘩を境に、連絡を取り合わなくなってしまった二人・・・ずっと続くと思っていた山本さんと岡崎さんの友情に入ってしまったヒビは、4年間もの空白を生んでしまった。そして運命の電話が鳴り響く・・・!二人の実録友情叙事コメディ、遂に完結!!
【編集担当からのおすすめ情報】
テレビブロス 第8回ブロスコミックアワード2015大賞受賞
フリースタイル 31 特集:THE BEST MANGA 2016 このマンガを読め! 第6位
エンターブレイン 全国3000店の書店員と選んだ 2015 コレ読んで漫画RANKING BEST50 第4位
2016年3月29日 第9回 マンガ大賞2016 第10位
笑いあり涙ありの実録友情譚、万感の最終巻です!!
感想・レビュー・書評
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私は、最新作『きょうも厄日です』で、ようやく山本さほ作品の面白さに気付いた。
それ以前から存在は知ってはいたが、「なんか手抜きみたいな絵を描くマンガ家だな~」という印象しかなく、食わず嫌いをしていたのだ。
で、遅まきながらファンになった者として、代表作と言われる『岡崎に捧ぐ』全5巻をまとめ買いし、一気読みしてみた。
これは傑作だ。山本さほのよいところがすべて発揮されている。
一見ヘタウマ風な絵柄ながら、じつはすごく絵がうまいマンガ家であることもわかる。そのうまさがよく示されているのが、『岡崎に捧ぐ』のコミックス各巻の見事なカバー画である。
笑いと涙の要素が、絶妙のバランスで配合されている点も素晴らしい。
ちりばめられた「あとを引く笑い」と、「コメディだから」と油断していると不意に斬り込んでくる怒涛の切なさ――2つの要素がないまぜになって、豊かな物語世界を構築している。
『岡崎に捧ぐ』は、山本さほの自伝的作品である。
小学4年生のころから、30歳を過ぎてようやくマンガ家としての第一歩を踏み出すまで――約20年間が、親友「岡崎さん」との関係を軸に描かれている。
小4のときの岡崎さんとの出会いから物語は始まり、岡崎さんの結婚式で幕を閉じる。作品の末尾には、「この作品を親友の岡崎さんに捧ぐ」という献辞が掲げられている。
山本さほも岡崎さんもかなり変わったキャラクターの持ち主であるため、ありきたりな友情ストーリーには終わっていない。
ありていに言えば2人とも非リア充側であり、世間のメインストリームから外れており、どこか生きづらさも感じさせる(とくに、岡崎さんの幼少期の家庭環境は、いまから見ればネグレクトに当たる)。
つまり、従来の友情ストーリーならけっして主人公にはならず、脇役/モブキャラに終わるような2人が主人公に据えられているのであり、そのギャップが面白さにつながっている。
山本さほと同世代の読者なら、世代的な懐かしさを感じさせる要素も満載だろう。
だが、同世代でないと楽しめないようなマンガではなく、普遍的な友情物語として優れている。代表作と呼ばれるにふさわしい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
とてもいい漫画でした。
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山本さんの岡崎さんに捧ぐ実録友情譚、完結!
あの日の喧嘩を境に、連絡を取り合わなくなってしまった二人・・・ずっと続くと思っていた山本さんと岡崎さんの友情に入ってしまったヒビは、4年間もの空白を生んでしまった。そして運命の電話が鳴り響く・・・!二人の実録友情叙事コメディ、遂に完結!!(Amazon紹介より)
年甲斐もなく「友達っていいな」と素直に思ってしまいました…。
子どもの頃の根拠もなく感じていた万能感、それが幻だったと気づき、あの頃の自分は消えて無くなってしまったんだと無力さを噛みしめる…そんな作者の感じたこと、私も似たような経験が沢山あり、とても共感できました。そんなときでも損得勘定なしにいつもそばにいてくれる友達はすごく貴重だと思います。毎日似たような日々を送り、つまらない人生だと思うことが多くなった今だからこそ、あの頃の友達に会いたい! -
誰かのヒーローになるということ。
幼いときは何か得意なことがあれば、誰かのヒーローになるのは難しいことではなかった。
山本さんは岡崎さんにとってのヒーローでいられた。
でも大人になるにつれ、自分の得意なことだってもっと得意な人がたくさんいることを知る。楽しいことや好きなものだけでは、生きていけないことを知る。
そうして自信をなくしていく。ヒーローではいられなくなる。ヒーローでいられない自分が辛くて、山本さんは岡崎さんとの親交を絶ってしまう。それが4巻までの話だ。
この最終巻では、山本さんをヒーローとして信じ続けた幼なじみ・岡崎さんが山本さんを救う(もう一人の幼なじみ・杉ちゃんもだけど)。
救われた山本さんが書いたマンガが本作だったのだ。
だから「岡崎に捧ぐ」だったのか。
タイトルから岡崎さんは死んでしまったのだろうかと思ってたんだけど、予想を裏切るラストで良かった。
4年ぶりに会ってもすぐに時間を埋めて親しくなれる存在。結婚報告を聞かされて思わず寂しくなってしまう存在。
大人になると「友だち」っていう言葉がこそばゆく、そして儚さを知っているから少し切なく響く。
山本さんと岡崎さん、すてきな友情を見せてくれた。2人がこれからも笑い合っていけますようにと願わずにはいられない。 -
笑って泣いた作品です。最後は岡崎さんが死ぬのかと思っていたので、違う展開でホッとしました。懐かしさや、くだらないギャグで笑いながらも、変わらない女の友情もあるのだと希望が持てます。
きっとありのままを描いているのだろうけど、稀少な人間関係が描かれています。
岡崎さんの生まれ育った家庭は、今なら虐待だし下手したらひどい人生になっていた可能性がある。でも外部からの友情(山本さん)がいて、本当に救われてるんじゃないかな。 -
後半は泣きながら読んでた…。
悩んでる友だちが居たら、ぼくも「大丈夫!!」って伝えられる人になりたい。あのタメのコマ割りが泣ける。
読者も岡崎さんが何て言うかわかってるからこそだよね。素敵な漫画でした!
「私には宝物があってね…」って、昔から大事にしているおもちゃ箱の中身を見せてもらったような感覚。
当時の思い出や、おもちゃたちが刻んできた時の流れまで、話を懐かしく聞いている内に自分の思い出を振り返って切なくもなったりして。
ぼくのおもちゃ箱には何が詰まっているのだろうか。 -
読者の内に尊敬と信頼のおける友人をもっている方は一体どれだけ居るのだろうか?青春時代のノスタルジーもあるけど社会に出て大人になって環境の変化による寂寥感もなかなかの破壊力で両方追憶し、そして、揺さぶる漫画であった。
背中を押してくれた杉ちゃん、題材として漫画の中でヒーローであり続けた岡崎さん、本作を描き、最後まで届けてくれた作者に感謝。
この漫画は親友の岡崎に捧ぐものでもあるが、なにものにもなれなかった著者が何ものかに成る為のものであり、それはみんなの支えに寄って成るものであり、それは繋がりであり、絆でものあり、思い出でもあり、人生そのものである。人の生きし生ける中で出会う友情を描いた素晴らしい漫画であった。 -
私はもう岡崎さんの1番じゃないんだなあ…
って気持ちがすごく分かる。私は岡崎さんみたいな友達がいたら、男に取られたくないもんなあ。
岡崎さんも山本さんも尊い。こんな人間関係ってあるんだなって不思議。山本さんの人柄が集めるんだろうと思う。
私も岡崎さんに大丈夫だよ!って言われてえ〜 -
読み終えてからの数日間さみしい気持ちになった。
山本さんも岡崎さんも最高だよ。杉ちゃんも。 -
勇気をもらえる一冊。人の人生というのは30年とっても重いなぁと実感。幼い頃の友人や才能が未来に繋がっていく様はしみじみ来た。一巻の時点では、小学生時代を懐かしむ漫画かと思っていたが、結局30年間完走で、こんな長距離を面白く描いた漫画がほかにあったのかなぁと思う。万人にオススメできる良作