黄昏流星群 (28) (ビッグコミックス)

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  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784091810045

作品紹介・あらすじ

▼第1~3話/輝ける晩星●主な登場人物/井川美智子(未婚のベテラン看護師。41歳)、和歌山純一(サンダー製薬部長、既婚。美智子と不倫をしている。48歳)、曽根康三(美智子の勤める病院に移ってきたがん患者。84歳)●あらすじ/仕事に忙殺され、漫然と毎日を過ごしていたベテラン看護師・井川美智子。そんなある日、彼女の勤める病院に、がん患者の老人・曽根康三が入院してきた。財界の大物だったという経歴だが、少しも偉ぶることなく紳士的に振る舞う曽根と接するうち、美智子にある感情が芽生えはじめ…(第1話)。▼第4~5話/薔薇の刺星●主な登場人物/松井麗(高校を中退して上京してきた少女。19歳)、真田満(医学部に通う学生活動家。21歳)●あらすじ/1969年、松井麗と真田満は、学生運動で騒がしい新宿西口広場で出会った。リルケを愛し、薔薇の刺青を入れた医学生の真田と同じ世界を生きるため、薔薇の刺青を太ももに入れた麗だったが、真田の帰郷によりふたりの同棲生活も終わりを告げてしまった。その37年後…(第4話)。▼第6~9話/再会流れ星●主な登場人物/西本真理(夫殺害で懲役7年の刑を終えて出所した女性)、水田健介(ラジオ番組『再会流れ星』に西本真理との再会を願い投稿した)、吹田邦夫(ラジオ番組『再会流れ星』のパーソナリティ)●あらすじ/夫殺害の罪で懲役7年の刑に服していた西本真理は、出所間際に偶然聞いたラジオで、かつて駆け落ちした男・水田健介が自分との再会を望んでいることを知る。出所後、彼女がはやる気持ちを抑えつつ、その番組を放送したラジオ局を訪れると…(第6話)。 ●本巻の特徴/看護師の密かな恋を描いた『輝ける晩星』のほか、37年の時を隔てて再会した男女の物語『薔薇の刺星』、ラジオ番組が結んだ恋模様を綴った『再会流れ星』の3編9話を収録。冬の寒空に熱くきらめく星のような一冊をあなたに!!

感想・レビュー・書評

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  • 「輝ける晩星」41歳になって未婚のまま17年間も不倫を続けてきた看護師の井川美智子だったがここへ来て自分は今のままで良いのだろうかと疑問に思うようになっていた。ちょうどその頃、病院に一人の患者が入院し井川はその患者の看護を担当することになる。財界の大物だったらしい患者の曽根はしかし尊大に振る舞う訳でもなく常に上品で紳士的な対応でとても優しく接してくれる。そんな人柄にだんだんと惹かれ出した井川はある日自分が曽根に恋をしていると気づく。そこから曽根の奥さんとの奇妙で静かで(また手前勝手な)三角関係に陥る井川であったがある日曽根の病状が悪化し意識が混濁し物言わぬ人となってしまう。それからあっという間に還らぬ人となってしまったがあの時に反応した「あれ」は何だったんだろうか?と不思議に思う。(写真①黒い影越しの井川美智子)人生はほんとにあっちゅう間、あゝ無情。「薔薇の刺星」若い頃左翼運動に情熱を燃やした男と自ら書いた詩を路上で売っていた女は共に薔薇の刺青を入れる。世間体、地位、欺瞞そういう世界から逃れるために、この刺青が不都合と思われるような世界には生きたくないと男は言い、そんな男に惹かれた女はいつまでも一緒に居たいと願ったがいつの日か男は家を出たきり帰って来なかった。37年ぶりに偶然再会した男と女。リルケの詩と共に薔薇の刺青を見せ合う二人。THE「若気の至り」多かれ少なかれみんながこんな青くさい失敗したことだろう。あの頃歳を取るなんて思いもしなかった。本を読むとバカになるあるいは本を読むとアカになるは本当だと思う。あとはそれを徹底するか否かだ。(写真②若い時の男)(写真③37年後の男)「再会流れ星」度重なる暴力に耐えきれず夫を刺し殺した罪で服役した西本真理はたまたま出所前に聞いたラジオ番組で昔付き合っていた男がもう一度自分と会いたがっていることを知る。あの頃必ず連絡すると言っていたが返事が出来なかったことを後悔していた西本は勇気を出してラジオ局へと赴く。その話を聞いたラジオDJは興味を示し話の相談に乗ってくれた。そのおかげで再会を果たし一時期は順調に行くのかと思ったが女の前科を知るや男は一方的に別れを告げてきた。こんな事ならいっそ初めから出会わなければ良かったと悲しみにくれる西本真理であったが、その話をラジオDJ吹田邦夫に伝えると「今度オレにビーフストロガノフを作ってくれないか?」と誘われた。人生どこでどうなるか分からない、思わぬことがきっかけで良い方に変わることもあるのがまた人生。(写真④吹田邦夫の大ボラワイド)月〜金の午前中の帯番組かな?

  • 自分を投影して涙するのにもってこいに短編漫画集
    心のヒダに入り込みジンワリと緊張をゆるめてくれる
    恥ずかしくて人前にさらけ出せない誰もが隠し持った優しさを
    身代わりとなって表現してくれる大衆漫画
    目標を見失った大衆は世の中がシビアに冷たくなればなるほど
    癒されるために涙を流したい
    共通の価値観の中であこがれを作っていらだちを吐き出したい

    そんな時代を先読みした所を感じた

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著者プロフィール

1947年山口県岩国市生まれ。早稲田大学卒業。松下電器産業に勤務の後、74年漫画家デビュー。
85年『人間交差点』(原作 矢島正雄)で第30回小学館漫画賞青年一般部門、91年『課長 島耕作』 で第15回講談社漫画賞一般部門、2000年『黄昏流星群』 で第4回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞、03年同作で第32回日本漫画家協会賞大賞を受賞。07年には紫綬褒章を受章している。
主な作品はほかに、『ハロー張りネズミ』 『加治隆介の議』 など多数。現在は『社外取締役 島耕作』(「モーニング」)、『黄昏流星群』(「ビッグコミックオリジナル」)を連載中。

「2023年 『逢いたくて、島耕作(1)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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