家栽の人: コスモス (4) (ビッグコミックス)

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 76
感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784091816740

作品紹介・あらすじ

植物を愛し、人を愛する“家裁判事”桑田のヒューマンストーリー

▼第1話/クリスマスローズ▼第2話/コスモス▼第3話/アジサイ▼第4話/ハエジゴク▼第5話/ガジュマル▼第6話/冬虫夏草▼第7話/ホウセンカ▼第8話/ホオノキ▼第9話/スイセン ●登場人物/桑田義雄(岩崎家庭裁判所春河支部判事) ●あらすじ/新しい勤務地の春河で、着任早々、桑田はある少年の窃盗事件に関わることになる。担当の調査官の渋谷は熱血漢だが、事務的に仕事をしがちな裁判官に不信感を持つ男だった。しかし桑田は違っていた。バイクを盗んだという少年の、それは自分の意志ではなく脅かされてやったことだったという真実を導き出す桑田に、驚きを隠せない渋谷だった(第2話)。 ●その他の登場キャラクター/岩崎家庭裁判所春河支部調査官・大滝信(第1話)、岩崎家庭裁判所春河支部書記官・高崎又二(第1話)、岩崎家庭裁判所春河支部調査官・渋谷直正(第1話)、岩崎家庭裁判所春河支部判事・鳥海和友(第1話)、岩崎家庭裁判所春河支部、支部長判事・丸山功(第2話)、岩崎家庭裁判所春河支部、未特例判事補・戸井隆三(第2話)、岩崎家庭裁判所春河支部、特例判事補・倉本哲(第2話)、岩崎家庭裁判所春河支部調査官・今西恭子(第6話) ●その他のデータ/桑田が扱う事件・問題~少年の窃盗事件(第2・4話)、淫行罪(第3話)、離婚調停(第6話)、少年の傷害事件(第7話)、相続問題(第9話)

感想・レビュー・書評

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  • じわじわいい話になってきた気がする。面白いです。

  • 子どもたちの声にならない叫び、また、心の闇を見事に描ききっている。一話完結なのだが、実に深い。

  •  家裁、すなわち家庭裁判所では少年犯罪が審理される。この作品は家裁判事である桑田義雄という人物を主人公にして家庭裁判所という舞台に登場するさまざまな少年たちと桑田判事との出会いを綴った作品である。「おっ、題名にある家裁のサイの字がまちがっとるばい。」というご指摘もあろうかと思うが、これでいいのだ。主人公の桑田判事はいつも植物の世話ばかりしている何となくぼーっとした判事である。そして彼の少年の非行に対する取り組みも植物の世話とよく似ている。「育てなければ…毎日愛して、そこから始めませんか」と言う桑田判事の語りかけは家裁は裁くところではなく栽(そだ)てるところだというこの作品の底流に流れている。だから〈栽〉の字でいいのである。
     扱われている素材は少年の非行である。教育の現場(学校やら家庭)が切り捨ててしまった少年少女たちの傷をそのまま受け入れ、自分の力で育っていけるように桑田判事は彼らに接していくのである。
     東京第二弁護士会の山崎司平氏が監修しているので、事例はおおむね実際の事件に基づいているのかもしれない。それだけのリアリティがあるし、法律的なバックグラウンドも確かである。きびしい状態に置かれた子どもたちを我々はどう理解しているのか、を具体的な事件を素材に見つめてみることは必要ではないだろうか。特に法律の世界は無視し、教育の理念も省みずに子どもを切り捨てている教育現場の人間にはぜひとも読んでほしい作品である。また、第十三巻から十五巻はあの福岡でおきた生き埋め体罰事件をモチーフとして描かれている。全十五巻のうち三巻を費やして語らなければならないほど、あの事件は桑田判事にとっても重たい事件であったのだろう。それに対して福岡の教員は答えを出したのだろうか。三越三郎というどこかで聞いたような名前の博多弁をしゃべる弁護士も登場する。さあ、あなたも姿と名前を変えて出ているかもしれないよ。


    ◎実は荒れている少年たちに読ませたい。
       ★★★★★(これは特上五つ星)

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著者プロフィール

毛利甚八(もうり・じんぱち)
1958年長崎県佐世保市生まれ。
日本大学芸術学部文芸学科を卒業後、ライターとして活動。
1987年より漫画『家栽の人』(画・魚戸おさむ、小学館)の原作を担当する。
1994年より1998年にかけて民俗学者・宮本常一の足跡を追う旅を行い、『宮本常一を歩く』(上・下、小学館)を上梓。
2001年より大分県に住まいを移し、地元の少年院で月に1回ウクレレを教えている。
著書に、『九州独立計画 玄海原発と九州のしあわせ』(講談社)、『少年院のかたち』(現代人文社)、『白土三平伝』(小学館)などがある。

「2015年 『「家栽の人」から君への遺言 佐世保高一同級生殺害事件と少年法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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