- Amazon.co.jp ・マンガ (234ページ)
- / ISBN・EAN: 9784091818508
作品紹介・あらすじ
京都の織物問屋に就職したものの、社長の一人娘の駆け落ち事件に巻き込まれ、会社に居づらくなった若者は“東京”を目指す。憧れの“マンガの世界”へ飛び込むべく…! 谷口ジロー自伝風、愛の連作!!
▼第1章/冬の動物園▼第2章/始まりの春▼第3章/裸婦を描く▼第4章/兄が来た▼第5章/長い休日▼第6章/星に願いを▼第7章/冬の陽だまり
●主な登場人物/浜口(京都から漫画家を目指して上京した青年)
●あらすじ/昭和41年12月。高卒後、鳥取から京都の織物問屋に就職した浜口は、休日となると動物園へスケッチに行く日々。社長宅にある蔵を改築した建物に下宿している彼が、ある日スケッチから帰宅すると、先輩社員たちが社長の娘・綾子の噂をしていた。2年前に結婚したものの、自らの浮気が原因で出戻ってきたという彼女。その翌日から社長の言いつけで、綾子の外出時には社員の誰かが監視のため付き添うことになり…(第1話)。
●本巻の特徴/今、ヨーロッパで最も注目を集める“マンガ家”谷口ジローが、自らの青春の日々と重ねあわせて描く自伝風・愛の連作。
●その他の登場人物/近藤史郎(浜口がアシスタントに入った漫画家)、森脇(近藤のチーフアシスタント)、藤田(近藤のアシスタント。人見知りで大人しい)、東野(「少年ホリデー」の近藤担当編集者。女性)、田村(浜口の元同級生で友人。仕事の新聞配達先の縁で、浜口を近藤に紹介した)
感想・レビュー・書評
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織物問屋に勤める青年、浜口はある出来事がきっかけで東京のマンガ家のアシスタントとして働くことになる。自身もマンガ家を目指し、作品を制作する中で、様々な出会いと思いが交錯する。
谷口ジローの原画展(世田谷文学館)を見に行って、あまりに素晴らしかったのでそのまま気分が上がって物販で購入してしまった、自叙伝的一冊です。谷口ジローは自身の自叙伝的なお話を、短編を中心に多く描いていますが、時折「父の暦」など、ある程度まとめて自伝的に作品にしています。これはそのひとつで、自分が就職した京都から東京に出てきてアシスタントとして働き、初掲載になる作品を作るまでを作品にしたようです。谷口作品らしく、静謐に、情熱的に、赤裸々に、過ぎし日の邂逅を緻密なタッチで描いていて読み応えがありました。本当はもう1,2話続けたかったのではないかと思いますが、しっとりとした余韻があって静かに読める良作でした。
谷口作品に触れるたびにもう10年ほど生きていただいて、もっと様々な作品を世に出して欲しかったと惜しむ気持ちが湧いてきます。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
谷口ジロー氏の作品『冬の動物園(2008)』を読了。
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最初の勤め先が呉服屋とは渋い。
夢を追った少年(自伝っぽい)の恋路も良いが仕事を辞めたがってるアシスタントなどリアルな人間模様が描かれている。 -
「ふらり」と一緒に購入。自伝風の作品。谷口ジロー版「夜の魚」かな。
じっくり読むべき漫画。
その頃の新宿ってこういう感じなのかとか、色々思うところがあり、面白かった。青春だな~。
井の頭公園でデートすると、弁天様に焼餅やかれて、その後巧く行かないって云うんだけどね。
この後、二人はどうなるんだろう。幸せを祈りたくなる作品でした。 -
あの10代後半から20代前半の、これからなにかが始まりそうな、むず痒いような、うわついた、楽しくて悩み多き時代を思い出します。
居場所をみつけ、夢をみつけ、恋をみつけ、それらに悩み、明日のことを考えはじめる。子どもから大人になっていく時代。
良い漫画です。 -
画的に新しさなんて、微塵もない。むしろ古くさい。けど、何でこの人の漫画はこうも惹き付けて離さないんだろう。名作だわ、これ。ほとんど自伝的な作品なふうに感じる。若さと、そして、透明さと。「神々の山嶺」よりも響いた。他の作品もちょいちょい読もう。この人の作品て、読んでいる最中には「あー、そういうこそばゆい部分を描いてくるか」ってなるし、読んだ後は読んだ後で「よし、頑張ろう!」って謎の後押ししてくれる。これは根本の「話」がしっかりしているからこそだと思う。(08/4/27)