美味しんぼ: カレー勝負 (24) (ビッグコミックス)

  • 小学館
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (210ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784091820341

作品紹介・あらすじ

「食」ブームを巻き起こし、アニメ、映画化された大人気コミック!

▼第1話/カレー勝負・1~9(インド料理、マッド・クラブのカレー、豚のバラ肉のカレー) ●登場人物/山岡士郎(東西新聞文化部員・膨大な食の知識を持つ。東西新聞の壮大な企画「究極のメニュー」の作成を担当)。栗田ゆう子(東西新聞文化部員・山岡とともに「究極のメニュー」を担当する)。海原雄山(名だたる陶芸家にして、食の探究者。「美食倶楽部」主宰。山岡の実父) ●あらすじ/川遊びに来ていた山岡たちだが、いざ食事のカレーを作る段になって大騒ぎ。みな、それぞれに自分のレシピを持っていて、お互い絶対に譲ろうとしないのだ。翌日、カレーで仲たがいしたら、カレーで仲直りするのが一番、とばかりにカレーショップの「マイダス王」を訪れると、入口に休業の張紙が。中では店主の栃川が落ち込んでいる。実は1週間前に海原雄山が突然現れ、「カレーとは何か?、カレー粉とは何か?、そしてカレーは米の飯と食べるのが正しいのか?」と3つの質問を投げ掛けたというのだ。自分の仕事に関わる根源的なこの質問に、ひとつとして答えられなかった栃川は、それ以来すっかり自信を失ってしまったのだ。そして後日、「次の究極VS至高のテーマは、カレーではどうだ」と雄山から提案がなされた。山岡はそれを受け入れ、日本の様々なカレー屋を訪ね、カレーの研究家なども取材する。だが、雄山が提示した3つの質問の答えは見つからなかった。そこで山岡は、カレーの謎を探るため、インドへの取材旅行を決意する(第1話)。 ●その他の登場キャラクター/京極万太郎、唐山陶人(第1話) ●その他DATA/表紙写真~カレー各種〔調理/インドレストラン「マンダラ」〕

感想・レビュー・書評

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  • カレーの真髄を探る一冊だった。
    雄山という人物の大きさがわかる。士郎もかなり頑張ったようだが、やはり一歩届かないか。カレー勝負、面白かった。
    久しぶりに栃波さん登場、これからも時々は出番があるのだろうか。
    究極のメニュー二人と世界味めぐりの二人の今後の関係も気になるところだ。

  • 海原雄山は聞く
    『これは本物のカレーか』

    マイダス王の店主は言う
    『はい。混じりッけなしの本物のカレーです』

    雄山はいう
    『ほほう。では聞く。本物のカレーとはなんなのだ』

    店主は言う
    『え。うちのカレー粉は私が自分でスパイスを調合したものです』

    雄山はいう
    『ふうむ。カレー粉か。では、そもそもカレー粉とは何なのだ。
    インドでもカレー粉はあるのか。
    この店のカレーが本物と言ったからには答えて貰うぞ。
    まず第一にカレーとは何か』

    店主は言う
    『えっ』

    雄山はいう
    『カレーの定義だ。
    辛ければカレーなのか。
    色が黄色であればカレーなのか。
    スパイスを調合したと言ったが、
    これを欠いたらカレーでなくなるというスパイスはなんだ』

    店主は言う
    『そんなこと言われても』

    雄山はいう
    『では、この店は何を根拠にスパイスを調合しているんだ』

    店主は言う
    『それは私の好みで』

    雄山はいう
    『カレーの定義も出来ない癖に
    自分の好みとはおかしいではないか』

    雄山は続けて聞く
    『第二の質問だ。カレー粉とは何なのだ。
    カレー粉はイギリス人の発明で、
    インド人はカレー粉を使わないという説もあるぞ
    ・・・
    第三の質問。
    カレーはこうして米と食べるのが正しいのか。
    インドではチャパティとかナンとかいった
    パンの種類がいくつかある。
    そんなものと一緒に食べるのが正しいのではないか』

    といった具合に カレーについて 質問する。
    切っ先は するどい・・・・
    この 『カレーの定義』 なるものが 面白い。

    カレーは 確かに インドで始まり・・・・
    そして 日本では 日本的なカレーが 花開いた。
    そういうなかで カレー を考えるのは 楽しい。
    カレー屋の店主が たじたじなのは やむをえない。
    そこまで、考えて カレーを作っていない。
    おいしいカレーを お客さんに喜んでもらえばいいわけだ。

    私にとっては 海原雄山の カレーとはなにか?
    が とても気になる。 
    それが 私の『美味しんぼ現象』 である。

    マイダス王の店主は 山岡に相談する。

    日本のカレーの状況を さらりと 勉強して・・・
    インド料理研究家のアロラさんに会う。

    アロラさんは言う
    『あら、インドにはカレー粉はありませんよ。
    ・・・
    ガラン・マササというものはありますけど
    ・・・
    唐辛子、ターメリック、ブラックペーパー、
    ガルダモン、クミン、コリアンダー、ジンジャー、シナモン。
    そんなスパイスを調合したものです。
    ・・・
    ガラン・マラサはカレー粉と違います』

    インドには ガランマサラはあっても カレー粉がない!!

    そして アロラさんの ナスカレーをいただく
    山岡は言う
    『(日本のカレー屋でたべたカレー)さっき食べたものは
    香りの一つ一つ存在が渾然として別れずに
    全体として一つの色調に溶け込んでいた。
    しかしこのカレーの風味は、香りの一つ一つが
    その姿をクッキリと別々に現しながら調和している』

    そして 山岡たちは インド史の 辛島教授をたずねる。

    辛島教授は言う
    『カレーというのは日本語で本当はカリだね。
    昔から言われているのはタミル語でソースを意味する
    カリが語源で、それをポルトガル人が使ったとされる。
    ・・・
    ところが実際にタミル語の辞書を見るとそんな言葉はない。
    そこで私は新説を立てることにした。
    タミル語で野菜という意味をあらわすカリという言葉があった。

    これを私は料理、特にスープの具と解釈することにした。
    スープをかけたごはんのことをポルトガル人はなにか?
    と質問した。
    インド人はスープの中身のことを聞かれたと思って。
    カリと答えたわけだ。

    従って、スパイスを混ぜ合わせた粉を
    カリと呼ぶのは本来インド語ではない。

    スパイスを混ぜ合わせた物を総称する語はインドにない。

    今ではインド人も英国から逆輸入した形で
    スパイスを混ぜ合わせた粉をカリと呼ぶ。
    あるいはマサラという語を使う。
    ガランは辛いという意味だよ』

    カレーの 謎とき が実にうまいなぁ。
    感心するよ。

  • 数ある「美味しんぼ」の中でも、多くの日本人が誤解しているインドカレーを一定の確かな知識でもって取り上げたこの一冊を紹介したい。これぞ日本の料理漫画の金字塔。

  • カレーにかつぶし入れてみよ。

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著者プロフィール

本名、戸塚哲也。1941年、中国・北京生まれ。東京大学教養学部基礎科学科で量子力学を専攻。卒業後、電通入社。3年9カ月で退社後、劇画原作者として活躍。1983年より『美味しんぼ』(画、花咲アキラ)連載開始(第32回小学館漫画賞受賞)。1988年より「教育難民」として、オーストラリア・シドニー在住。
原作担当漫画に『まさかの福沢諭吉』『マンガ日本人と天皇』(画、シュガー佐藤)、『男組』(画、池上遼一)、『野望の王国』(画、由起賢二)ほか多数。著書に『美味しんぼの食卓』(角川書店)、『雁屋哲の美味しんぼ列島』(日本放送出版協会)、『日本人の誇り』(飛鳥新社)、『美味しんぼ塾』『同 II』(小学館)、『美味しんぼ食談』(岸朝子と共著)、『シドニー子育て記』、『頭痛、肩コリ、心のコリに美味しんぼ』、『美味しんぼ「鼻血問題」に答える』(遊幻舎)など。

「2017年 『さようなら!福沢諭吉 Part2』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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