世界の終わりと夜明け前 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)
- 小学館 (2008年10月30日発売)
- Amazon.co.jp ・マンガ (270ページ)
- / ISBN・EAN: 9784091822994
作品紹介・あらすじ
▼無題▼夜明け前▼アルファルファ▼日曜、午後、六時半。(夏の思い出/ア ガール イン ブリリアント ワールド オブ ア ボーイズ デイドリーム/帰宅)▼超妄想A子の日常と憂鬱▼休日の過ごし方▼17▼素晴らしい世界▼東京▼世界の終わり▼時空大戦スネークマン
●あらすじ/彼女との別れ話でもめていた友人・飯田に仲介役を頼まれた「俺」。だが、待ち合わせ場所に飯田が現れず、「俺」は飯田の彼女と2人でオールナイトのボーリング場に行く。いっそのこと飲みに誘おうかも考えたが、朝イチの会議までに企画書を完成させないといけない「俺」は、ただ無駄な時間をどうでもいい会話で費やしていく…(夜明け前)。
●本巻の特徴/デビュー連作の短編「素晴らしい世界」、構想6年の渾身作「東京」を含む、心ざわめかす単行本未収録作品10編+α。描き下ろし、カラーも多数収録!!
感想・レビュー・書評
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今から10年前の、浅野いにおの初の短編集。初出は2005年から2008年まで。08年時点で10年のベテランだったらしいから、2018年は20年のベテランである。実はその期間はスピリッツを読まなくなった期間とほぼ重なっているので、この実力派で誠実で、ちょいスケベで、感傷的な作家の心のウチを見たのはこれが初めてだと思う。
表題はどちらも純文学によく使われるタイトルである。内容的には、決してSF的な「世界の終わり」は描かれていなくて、社会批判的な「夜明け前」も描かれていない。若者のモノローグに近い日常が描かれている。しかし、私はだからこそ、やがて描かれるべき「世界の終わりと夜明け前」の出現する緊張感に満ちていると思う。まだまだ若い。まだまだどうやら描かれていないかもしれないが、見守って行きたいと思った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
子供の頃思い描いた未来には少し足らなくて、かと言って不幸じゃないけど時折、私何してんだろ…?って自問自答しちゃうような大人になっていて閉塞感あり。だからいにお氏の作品を買ってしまうんだろうか。面白いとかスッキリする訳でもないのに。誰もがどこかしら不安定な部分を抱えてるって思いたいのかな…
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浅野いにおの文章、泣きそうになる。「東京」良かった。今の私は私でしかないから。タイムマシンはないから。もう、夢の中に逃げ込むのはやめようと思った。
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同年代だと思う。こういうのわかる。こういうのがおもろいっていう感じ、すごくわかる。わかるから、ちょっとつまらない。つまらないってのはでもなんか刺さるから。自分のダサい部分、やましい部分がそのまま描かれてるから。やだやだ、共感が止められない。
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夜が明けるって良いねと、素直に思える作品。
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2011年のマンガ、4冊目。
ああ、ああ、そうですとも、はまりましたとも。
もうこの空気感がたまらないんだよ、こんにゃろう。
浅野いにおの作品はリアルだ、という意見がある。
リアルな人間の姿・感情がある、と。
それに対して、感傷的すぎる、突拍子もない、といった意見もある。
こんなに人間・状況は中二病の発想だ、と。
僕はどちらも当たっているんだと思う。
混沌とした圧倒的日常の中に生きる
「僕だけは違うはずなんだ」と思っている人が、
夢見る世界にちょっとだけ足を踏み入れて、
世の中の不条理を体感して、
また混沌の日常に戻っていく。
「俺はわかってたぜ。
『自分はお前らとは違う』
って態度で一線引いてたもんな。
今だって本当は
『小さな田舎町で満足できる奴らは幸せだ』
って言いたかったんだろ?
…それを今更
孤独だなんて言われても、
同情できねぇよ。
自分で選んだ道じゃねぇか。」
同情されない孤独が増えていく世の中になったんだ、と、ふと思った。
これは本当に僕たちが選んだ道なのかどうかは、わからないけど。 -
浅野いにおの最高傑作だと思う。ソラニンや他の作品もいいけど、この短編集は比類ないもの。
小説を書き始めて、職業作家の精神の強さや健康な思考がすばらしいものだと思う。漫画家を目指していた友達もいた。漫画家を目指す場合、とにかくネームと呼ばれる下書きをいっぱい書かなくてはならない、らしい。
小説も同じで、やはり量をこなさないといけないのだと思う。僕は小説家になりたいわけじゃないから努力を怠っている。推敲を怠っている。このblogだって、誤字脱字があったりする。けど、僕はそれも含めて残しておきたいと思っている。
浅野いにおという漫画家は僕と大して年も変わらない。1つ上くらいだった記憶がある。水泳の北島康介は同い年だった気がする。何が言いたいかというと、年齢は関係なくそこにはひたすら努力とくり返される地道な練習があるということだ。
表現者にはなりたいと思う。無我夢中でそれを目指してみてもいいのかもしれない。ただ、何が正しく何を信じればいいのか。その自分の自信となる何かを僕は生まれてこのかた持ったためしがない。鬱になったのもそれが起因していると分析している。
僕の中に作りたい確固たる自信となる何か、それが欲しい。週末は久しぶりに下北沢に行きたい。 -
浅野いにお氏の最新短編集。
ボリューム満点、魅力全開!
特に「東京」はマジいい。 -
タイトルのごとき薄闇に明光を見せてくれる
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浅野いにお氏作品は、短編集のが好きだな。
続いてもソラニンくらいの長さが丁度良い。
あまりにも長いといろいろぶっ込み過ぎて、
ドヤ感が出てしまう感じがして。いいけど。