水木しげるの遠野物語 (ビッグコミックススペシャル)

著者 :
  • 小学館
3.78
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本棚登録 : 467
レビュー : 61
  • Amazon.co.jp ・マンガ (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784091828798

作品紹介・あらすじ

妖怪コミックの聖典誕生。遠野物語を水木氏が漫画化!

ザシキワラシ、河童、鬼……岩手県遠野市の厳しい自然の中で、人々の想像力が生み出した妖怪たちが、今動き始める! 柳田國男氏の名著『遠野物語』は、100年前のベストセラーにして日本民俗学の原点ともなった名著です。これを水木しげる氏がコミック化。格調高い文語体で書かれた原書の魅力を、水木氏ならではの想像力・描写力で完全にビジュアル化し、新たな魅力を作りあげています。ザワザワと心騒ぐ、日本の風土から生まれた怪異の世界。さらに『遠野物語』と『水木しげるの遠野物語』、百年を隔てたこのふたつの本を生み出す母胎・揺籃となった遠野地方の、現在まで残る豊穣な風土をレポートするコラム「2010年遠野の風景」も併録。

【編集担当からのおすすめ情報】
民俗学ファン、妖怪ファンはもちろんですが、古き良き日本の田舎のひなびた風情がお好きな方、さらに岩手県や遠野への旅行をお考えの方にも絶対のおすすめです。旅行で見る風景や空気感まで変わって見えてくると思います。

感想・レビュー・書評

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  • 柳田國男の遠野物語からいくつかの編を水木しげるが漫画にしたもの。
    オシラサマ、河童、座敷童、山男に攫われた女たちの物語、栄えた家が没落するさま…。
    攫われた女が、30年ぶりに家の戸口まで来てそのまま山に帰る様子などなんとも物悲しい。

    現実的には事故死や誘拐、口減らしといった哀しい話が妖怪譚として伝わっているのだろうと考察されています。

  • 再読。
    遠野には毎年行っていて『遠野物語』も読んでいるが、遠野関係の本を読んでいるついでに借りてみた。コミックと言ううこともあり2日で読み終えた。
    『遠野物語』を初めて読む、読もうとしている方の入門編のつもりで読まれるのが良いと思う。

  • 落ちの無い不思議な話が沢山

  • 原文ではとっつきにくそうで回避していた遠野物語。
    水木先生の手にかかればハードルがぐんと下がって読みやすく楽しめました。
    ここまでバラエティーに富んだ伝承話だとは思っていませんでした。
    笑える妖怪もいれば、なんだかもの悲しくなる妖怪も。

    時々でてくる台詞「オカチイナ」が妙に癖になります。

  •  柳田國男の説話集『遠野物語』を水木しげるがマンガ化した、『水木しげるの遠野物語』(小学館/1300円)を読んだ。『ビッグコミック』に、一昨年から昨年にかけて連載されたもの。今年2010年は『遠野物語』発刊100周年の佳節にあたり、本書もそれを記念しての刊行だという。

     水木しげるはむろん妖怪マンガの第一人者であり、『遠野物語』には天狗や河童、座敷童子や山姥(やまんば)などの妖怪が多数登場する。作風から見ても絵柄から見ても、水木と『遠野物語』のマッチングは最高であり、これまでこの企画が実現しなかったのがむしろ不思議なくらいだ。
     というより、そもそも『遠野物語』のマンガ化がこれまでなかったこと自体が不思議だ。

     かつて『コミックトム』で、著名マンガ家たちが宮沢賢治の童話をマンガ化する競作シリーズがあった(『宮沢賢治・漫画館』として全5巻の単行本になっている)。これがじつに素晴らしいシリーズで、水木はこのシリーズにも作品を寄せているが、本作はその流れを汲むものといえそうだ。

     柳田國男の『遠野物語』は私も好きで、少年時代から何度となく読み返しているが、本書は原作ファンにも十分愉しめるものに仕上がっている。

     アマゾンのカスタマー・レビューを見てみたら、「これはあくまで『水木プロ作品』であって、水木しげるの作品とはとても言えない」(趣意)と酷評しているレビューがあった。
     水木が本作でどの程度ペンを入れているのかは、私にはわからない。まあたしかに、若い女性キャラ(といっても大半は妖怪)の絵柄を見ると、妙にアニメチックな美人顔に描かれていて、水木しげるらしくない。このへんはアシスタントが描いたのかも。
     とはいえ、全体的には、水木しげる作品としての魅力を十分具えていると私は思う。

     とくに、『遠野物語』を読んでも脳内でヴィジュアルとして像を結びにくい場面の数々が、魅力的な絵で明確にヴィジュアル化されている点が素晴らしい。たとえば――。

     三島由紀夫は「小説とは何か」の中で『遠野物語』のワンシーンを取り上げ、“ここにこそ小説を小説たらしめる秘密がある”と絶賛している。
     それは「裾にて炭取にさわりしに、丸き炭取なればくるくると回りたり」との一行で、老婆の幽霊が現れた際、その着物の裾が触れた「炭取」が回ったというシーンである。

    《ここがこの短い怪異譚の焦点であり、日常性と怪異との疑いようのない接点である。この一行のおかげで、わずか一ページの物語が、百枚二百枚の似非小説よりも、はるかに見事な小説になっており、人の心に永久に忘れがたい印象を残すのである(「小説とは何か」)》

     三島のこの絶賛が印象に残っていた私だが、「炭取」なるものがどんなものかわからないので、ヴィジュアルが浮かんでこなかった。それが、本書に描かれたのを見て、「ああ、こういう場面だったのか」ともやもやがスッキリする感覚を味わったのである。

     ほかにも、「ゴンゲサマ」がバクバクと火を喰う場面など、本書で初めて「こういう場面だったのか」と腑に落ちた点がたくさんある。

     一点だけ難を言えば、『遠野物語』の大きな魅力であるところの哀切さ・物悲しさは、本書には皆無に等しい。水木しげるらしく、ユーモア色の濃い飄々とした『遠野物語』になっているのだ。
     姫神せんせいしょんが名盤『遠野』で展開したような切なさあふれる世界を期待すると、肩透かしを食う。なにせ「ギョギョッ!」「フハーッ!」の世界だから。
     
     とはいえ、怪異とユーモアが織りなす水木しげる流の『遠野物語』として、再読・三読に堪える味わい深い一冊となっており、原作が好きな人なら一読の価値はあろう。

     ところで、いまのマンガ界で『遠野物語』の世界にいちばん近い作風をもつ描き手といえば、なんといっても五十嵐大介である。
     五十嵐にもぜひ『遠野物語』をマンガ化してほしい。実現すれば、それは本書とは異なる魅力をもつ作品となるに違いない。

  • 柳田國男の遠野物語を原作に、時折水木しげる本人がぼそっと一言つぶやいたりしながら、起承転結のない遠野の伝説、口伝を語る。
    一話一ページもない、時には三コマぐらいで終わってしまう話もある。途中にいくつか、現在の様子を観光案内的に教えてくれるページも。
    江戸時代260年間の中で南部藩による稲作の強制などもあって80回以上も大飢饉に見舞われた東北、間引きも多く、山深く水豊かな地の伝説は赤い顔のカッパや座敷童子、おしらさま、山姥や山の神、馬を飼っていたことから馬との異類婚譚などベースも伺えて、興味深い。
    あっけない話が多いけれど、拾遺された話はどれもどこか不思議で全体を見ると遠野という土地に住んでいた人々の生活が見えてくる、それに水木しげるの絵が加わって想像が広がりとても行ってみたくなった。

  • 「『遠野物語』ではあまり妖怪の名は出てこないが……」「みんな妖怪ですよッ!!」(最終話より)。2008年,ビッグコミック誌上で水木しげるが齢86歳にして開始した話題の連載の単行本。日本民俗学の名著「遠野物語(柳田國男)」を独特のタッチでマンガ化している。

    ときどき,ストーリーテラーとしての水木先生自身と思われるキャラクタが登場し,コマ運びに緩急をつけている。このキャラクタは「すごいもんだねえ」とか,「…物悲しい話だね…」「保護色というもんかねえ」など,簡単な感想を述べるばかりで大した重要性はないのだが(まれに冒頭のセリフのように激昂することはあるけど),これがために単なる「遠野物語」の翻案マンガを読んでいるだけではなく,水木しげると遠野の里を探訪し,二人で古老の話に耳を傾けているような雰囲気が生まれている。

    原作「遠野物語」の多くは語らず,淡々と怪異を綴る筆致と,水木しげるの派手さは無いが黒と白の多彩な表情を描き分ける絵はよくマッチしている。原作本を読みながら頭に思い浮かんでいた風景とあまりにも似ていて既視感を覚えるほどだった。どのコマも1枚の絵画として成り立つような美しさがあり,絵を楽しむマンガとしてもオススメ(本)

  • さわや書店で購入。
    思えば、水木しげるがコミック化した遠野物語をさわや書店で買う、ってのはサイコーの買い物だったな。
    いつか、行こう。遠野へ。河童に会いに。

  • 遠野物語のコミック版✨
    岩手でお世話になった「遠野」
    独特の雰囲気が印象的で、生まれも育ちも九州の私からすると遠野はいい意味で、すごく異文化だった!
    その原点には昔ばなしがあって、今まで聞いたことのない話もたくさんあった。今度はコミックじゃなくて、文庫の遠野物語にチャレンジしたい\(^o^)/

  • これはオモチロイね

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著者プロフィール

水木しげる(みずき しげる)
1922年3月8日 - 2015年11月30日
大阪で生まれ、鳥取県境港市で育つ。従軍経験で左腕を失いながらも生還。終戦後より紙芝居、貸本漫画などを執筆。1964年に『ガロ』にて商業誌デビュー。2007年、『のんのんばあとオレ』によりフランス・アングレーム国際漫画祭で日本人初の最優秀作品賞を受賞。2010年、文化功労者に選出される。代表作に『ゲゲゲの鬼太郎』『河童の三平』『悪魔くん』『劇画ヒットラー』『総員玉砕せよ!』『のんのんばあとオレ』『日本妖怪大全』など。

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