ZERO 下  BIG SPIRITS COMICS SPECIAL

著者 :
  • 小学館
3.66
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本棚登録 : 401
感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (217ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784091847355

作品紹介・あらすじ

拳だけを頼りに、ひとりで生きてきた孤独な天才ボクサー・五島雅の物語。

▼第12話/開戦▼第13話/望郷▼第14話/開放▼第15話/同調▼第16話/崩落▼第17話/種子▼第18話/交配▼第19話/感傷▼第20話/狂気▼第21話/危局▼第22話/花 ●主な登場人物/五島雅(ゼロと呼ばれ、世界中から恐れられている天才ボクサー、世界チャンピオン)、荒木(五島のトレーナー。五島が唯一信頼しているパートナー)、トラビス・バル(五島の挑戦者。メキシコからやってきた19歳。スパークリング中に相手を殺したという噂がある)高田秋夫(五島の後輩。東洋チャンピオン) ●あらすじ/いよいよ、五島とトラビスの試合が始まった。挑戦的な五島の態度に、トラビスは1ラウンド目から飛ばしてゆく。心配するトラビス陣営だったが……(第12話)。▼5ラウンド目が終わっても、五島は1ラウンドもとれない。連打を繰り返しても、空を切るばかり。五島ピンチ! 一方、トラビスは、確実に五島にパンチを入れていた。にも関わらず、五島はひたすら踏み込んでくる。トラビスは、五島は自分に何かを伝えようとしているのでは? と考え始める(第14話)。 ●その他の登場キャラクター/ペコ(第12、15~17話)、金さん(第14、16、22話)

感想・レビュー・書評

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  • 迸る狂気の頂点で終わる。
    なんという読後感!これまでにない壮絶。

  • まあ、何しろ素晴らしいので読んでほしい、という感じでしょうか。上下巻で、見事に長すぎず短すぎずで見事に終わる感じ、ホンマに凄い。書きすぎないし書きたらないこともないし、いやまあ、お見事すぎる感じですね。

    余りにも傑出した才能は、どうしたらエエねん?

    という事実の、悲劇面を、ボクシングを通して描こうとした漫画?という感じでございます。悲劇なんだろうなあ、とは思いうのですが、うむ。悲劇もこう、バンバンに突き詰めたら美しい。ということを知らしめる、スゲエ作品だと思いますね、うん。

    いやしかし、いっちゃんヤバいのは五島やろう、と思わせておいて、実は。実は、、、トレーナーの荒木が実はいっちゃんヤバかった?という流れになる展開。恐るべし。

    ボクシングに置いて、リングで実際に戦う存在のボクサーと、そのボクサーという存在を、いうならば「全て管理する」という意味でのトレーナーという存在との関係性。いやあ。凄いこう、凄い関係性だなあ、と。あしたのジョーでいうと、ジョーと段平のおっちゃん、はじめの一歩でいうと、一歩と鴨川源二会長、そういった関係性ね。凄いなあ、ボクシングというものは。ボクサーとトレーナーの関係性。うむ。凄い。

    でもやっぱ、この作品の後に、松本大洋が、卓球マンガの「ピンポン」で、
    「究極の場所というものに、新たな意味を見出した」
    という風に、自分はね、勝手に解釈した流れ、が、好きです。ここでいったん、こういう結論を付けたうえで、ピンポンで、ああなった、っていうね。その流れが、とにかくもう、好きなんだなあ。

    この「ZERO」での、五島VSトラビスの流れが、
    「ピンポン」での、ペコVSドラゴンに、繋がっている、ってね、勝手に自分では、思っている次第なんですよ。勝手に。

    とても哀しい話なのですが、有無を言わせない美しさを、見事に纏め上げた作品、だと思います。いやもうホンマに素晴らしい。「書き切ってるなあ、、、」という感慨をシミジミと受けますね。素晴らしい作品です。こういう作品に出会うと、生きてて良かった、って思いますね。大袈裟ですけれども、そういう作品です。自分にとっては。

  • 格闘漫画かと思ってたけど、強いって事は孤独って事を具現化してみましたってお話でした
    ボクシングしてるけど何だかボクシングじゃない
    何とも言えないこの感じ

  • 狂気をもってこその人生だ。その狂気の度合いによって、勝負が決まる。世界征服も。

  • ☆☆☆☆

  • 参った。

  • 松本大洋の作品の中では、若干、異質かな、と、この作品に関してはそう捉えている。けれども、いい作家っていうのは、必ずと言ってもいいくらいに、ボクシングを描くなぁ。ボクシングってのは、そんなにもそんなにも、なのかしらね。(12/3/20)

  • 読み始めてから読み終わるまで時を忘れてその世界に引き込まれた。

    テーマ的にはピンポンに近いのだけれど卓球とボクシングの違いだろうか、賭ける物、失う物が大きいからか話の緊迫感はピンポンよりもある。
    ピンポンのアクマが卓球を諦めるシーンはとても好きだけれど。

    素晴らしい場所にはピンポンだとペコとドラゴンは行く。
    zeroでも一応、ゴジマもトラビスも行けるけどトラビスはそこに恐怖を感じてしまう。
    やっぱりボクシングだからこその孤高の境地なんだろう。

    ペコとドラゴンとの比較を考えた時、そういえば松本大洋作品の一貫したテーマって人との出会いなのかもなあと思った。
    今作で言われる異能者の様な人や鉄コンのクロみたいなある種の孤独の様なものを抱えた人など。
    「高み」なのか「闇みたいなもの」という違いはあるのだけれど。

    松本大洋を読むと創作意欲が湧くと言っていた知人がいるが、読んだ人はどうしても素晴らしい場所への憧憬を感じずにはいられないからではないだろうか。
    そして実は多くの人は子供の頃にそれを感じたことがあって、だからこそ、その憧憬は強いのではないだろうかと思う。

  • 最後に噴出する狂気は見事。時たま挿入される例えば道端の主婦たちの会話が、その狂気をいい意味でちっぽけというか、あくまでリングの中だけという当事者性を再確認させてくれて(うまく言えないが)、松本大洋はこういうのがとてもうまい。狂気欲を言えば、対戦相手がもう少し魅力的だとより良かった。

  • これも愛の形の1つなのか。

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著者プロフィール

漫画家。代表作に『花男』『鉄コン筋クリート』『ピンポン』『GOGOモンスター』『竹光侍』『Sunny』『ルーヴルの猫』(すべて小学館)などがある。現在「東京ヒゴロ」、シリーズ「むかしのはなし」連載中。

「2022年 『劇場アニメーション「犬王」誕生の巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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