BLUE GIANT (7) (ビッグ コミックス)
- 小学館 (2015年11月30日発売)
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感想 : 36件
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Amazon.co.jp ・マンガ (208ページ) / ISBN・EAN: 9784091874061
作品紹介・あらすじ
3人の音が、強く高く伸びる第7集。
大達、10代のジャズトリオ「JASS」。
その全力の演奏が、客を増やし始める。
初めて受け取ったギャラ、
トリオを羨む中年バンド、
悩み前進しながらライブを行うことで
大達は道を切り拓いてゆく。
そして、ピアニスト雪祈は、
憧れ続ける日本一のジャズクラブに
出演しようと、ある男を招きーーーー?
【編集担当からのおすすめ情報】
巻末にジャズ界のレジェンド、
ハービー・ハンコック&ウェイン・ショーターに
石塚真一がインタビューした特別記事掲載です!!
感想・レビュー・書評
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JAZZ漫画である。少女漫画の中に、POP音楽やクラッシックで成功するまでを描いた作品は多くあったと思う。しかし、青年漫画で、音楽で成功するまでを描いた作品は、すみません、私、音楽映画や音楽漫画が嫌いということもあって寡聞にして聞かない。
宮本大は、高校一年の時にJAZZに出会い、三年間休まずに河原でテナーサックスを吹く。やがて時々の演奏で人々を驚かし唸らせ、半年正式な訓練を積んだあとに、東京に出て来て、「才能ある同年代のピアニスト」沢辺に出会い、友人の玉田をドラムに引き入れてトリオの「JASS」を結成して、ライブで客を集めるようになるのである。
第7巻までやってきて、少女漫画にあるように劇的な展開で一気に人気者になったり、ジェットコースターのような恋物語は出てこない。その代わり、一巻目の最後に出てきて、ずっとそのスタイルを保っているのだが、宮本大はどうやら将来海外のステージで大成功をおさめる大物JAZZメンになるようで、その時点でその巻で登場している登場人物たちがインタビューを受けて、「昔の宮本を批評する」という体を持っている。よって、宮本のJAZZ人生は大成功することは「約束」されている。
それなのに、それだからこそ、読ませる。それは、JAZZをめぐる音楽家たちの世界や人生が「リアル」に描かれているからに他ならない。そういう意味では堂々とした「青年漫画のJAZZ漫画」なのである。
7巻では、JAZZ界の武道館、有名なライブ会場のスタッフから沢辺がボロクソに言われる処で終わる。
読んでいると、久しぶりにJAZZを聴きたくなるだけでなく、真っ直ぐに夢を追いかけることの「愉しさ」と「大変さ」がひしひしと伝わる。漫画大賞の候補になっているけど、大賞を獲るにはまだ早い。
まだ彼らは18歳だけど、早く海外に飛翔させたい。
(2015年12月に7巻まで刊行)
2016年2月7日読了詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
おもしろいー!
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201512/器用にクールにみえる雪祈の不器用さに泣ける…。「N.E.W.」聴きたい。 玉田の真っ直ぐさとそれを見守る客、一人ごはんのところに届く贈り物、今巻も随所でジ~ン…。THE FIVE みたいなバンドは現実でも嫌いだけど、客を下にみることで何とか保ってるプライドがわからんでもないのは齢を経た故やも。これ読んで、JAZZじゃなくても、もっと気軽にハコで音を楽しむ人が増えたらいいなー。
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天才ピアノの「沢辺」に、
初心者ドラムの「玉田」に、
主人公で秀才の「宮元」のトリオは「JASS」でライブなう!
そこに、
ベテラン「川喜田」さんが波風を起こす!?
天才ピアノの「沢辺」は上を目指し失墜する。。。
初心者ドラムの「玉田」は頑張りファンが1人できる!
主人公で秀才の「宮元」はゴールがない世界でゴールを目指している!
ここからが魅せどころよね!
8巻も楽しみです! -
くすぶったベテランバンドとの出会い、デビューを急ぐ雪祈が若さゆえのいたらなさを指摘されるなど、見どころが満載でした。
巻末に収録されたハービー・ハンコック、ウェイン・ショーターのインタビューも痺れました。 -
雪祈に手厳しいアドバイス。素直に聞ける雪祈はすごい。
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平さん、かっこいい!
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巻末にハンコックとショーターへのインタビューあり。興味深かった。
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かっこいいの一言
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記録
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初版:2015年12月5日
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「インプレッションズ」ジョン・コルトレーン その「ジャス」の意味だが、大本は「性行為」。つまりセックスの隠語だという説が最も広く知られている。 思い切り思い切って、毎日毎日出し切らないと。 内臓をひっくり返すくらい自分を曝け出すのがソロだろ 横柄な叫びの頼み方 沢山の武器を持てば、沢山の視点からストーリーを語ることが出来る。 乳母うば 音楽は歌うように演奏しろ ハービー・ハンコック&ウェイン・ショーター
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待ちに待ってた展開、ここからの巻き返しが楽しみですね
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「成長する君のドラムを聴きに来ているんだ」
今の店に異動してきた時に毎回売り場にダメ出ししていた年配のお客さんを思い出した。郊外店しか知らなかったから数とか見せ方とか色んな所が駅の店としてダメダメだったんだと今ならわかる。今でもダメダメだけれど。反発して試行錯誤して苦しんで。
ある時「うん、いいねこのフェア。成長してるよ」
時代物が好きで発売日は午後便に合わせて来店してくれていた。
「入院前に何冊か君が選んでくれよ」
そう言ってからもう何年も来てくれていない。
他のお店を成長させに行っているんだと思う。
いつか来た時に「成長したね」
そう言ってもらえるようにまた試行錯誤して苦しもう -
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石塚真一『BLUE GIANT』(ビッグコミックス)の既刊1~7巻を、仕事上の必要があってkindle電子書籍で購入し、一気読み。
本格ジャズ・コミックであると同時に、昔ながらの少年マンガのような匂いもあって(連載誌はオジサン・マンガ誌の『ビッグコミック』だが)、じつによくできた作品。
宮谷一彦の初期作品に、ジャズ・ミュージシャンを主人公にしたいくつかの短編がある。中でも「ラストステージ」(1970年)という短編はまことに素晴らしく、ジャズ劇画の最高峰だと私は思っている。
その気持ちはいまも変わらないが、時代の変遷もあり、ジャズをマンガで表現するための技法という点では、この『BLUE GIANT』のほうが数段進化している。
「少年マンガっぽい」と感じさせるのは、「世界一のサックスプレーヤー」を目指して奮闘するまだ10代の主人公・宮本大の天真爛漫なキャラ設定が、まるで昔のスポ根マンガのヒーローのようだから。
1巻から7巻までを一気に読むと、内容が尻上がりにどんどん深みを増してきたことがわかる。
4巻途中までの仙台編(高校時代編)もまあまあ面白いし、大にサックスを教える師匠・由井との絆は胸を打つが、大が上京してからのほうが俄然面白い。
とくに、天才肌でワンマンなピアニスト・沢辺雪祈(ゆきのり)との出会い以降は、彼と大のキャラのぶつかり合いがスリリングだ。
メモしておきたいようなセリフも多い。
「全力で自分をさらけ出す、それがソロだろ? 内蔵をひっくり返すくらい自分をさらけ出すのがソロだろ。君はソロができないのか?」(7巻)とか。
コミックス各巻の巻末に、主人公・大が世界的プレーヤーになった近未来を舞台に、登場人物1人ひとりに大との「思い出」をインタビューしていくという体裁の「BONUS TRACK」が収録されている。これは、大変気の利いた好企画だと思う。
著者プロフィール
石塚真一の作品
