健康で文化的な最低限度の生活 (3) (ビッグコミックス)

著者 :
  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784091874351

作品紹介・あらすじ

新人ケースワーカーが生活保護に向き合う!

福祉事務所に配属された新人公務員・義経えみるは、
ケースワーカーという、【生活保護】に関わる仕事に就くことに。

そこでえみるは、生活に困窮している人々を支援することの難しさに直面。
悩みながらも、「ちゃんと人の相談に乗れる人間になりたい」と感じ、日々奮闘している。

そんな中、日下部さんという4人世帯の担当となったえみるだっだが、なんとそこで、高校生の欣也君が母に内緒でアルバイトをしていることが発覚。
アルバイトの収入申告がなされていなかったため、生活保護の「不正受給」となり、欣也君のアルバイト代を役所に返さなければならないことになり!?

果たして、緊迫の【不正受給編】の行方は!?



【編集担当からのおすすめ情報】
各メディアから絶賛の声ゾクゾク!
さらに現役のケースワーカーも感嘆の、「新人ケースワーカー奮闘劇」、待望の最新刊です!

3集では、「不正受給」のほかに、「扶養照会」が描かれます。
ぜひ、お手に取ってみてください!

感想・レビュー・書評

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  • 生活保護マンガの第三弾。不正受給(になってしまう)実態のパートから、今度は扶養義務者問題に移る。今回も、新しいパートに移る時に、一話完結の週があった。優秀で堅物のえみるの同期、栗橋千奈が主人公になっている。これがなかなか、秀逸だった。

    栗橋にとっては、主人公えみるは「社会人になっても遅刻」「机の上ごちゃごちゃ」「ぬるま湯につかったようなフワフワした脳みそ」に見えて許せない。しかし、そのえみるが何度聞いても病院を受診しない理由をいわないで保護打ち切り一歩手前の受給者をたまたま応対して、その真の理由を世間話で聞いてしまう。たぶん受給者にとっては、こっぱ恥ずかしい自分の事情を「怖い」栗橋にはどうしても話せなかったのだろうし、えみるは話しやすかったのだろう。こういうのは、福祉の現場ではよくあることだと思う。ミスばかりしている職員なのに、なぜか利用者の受けがいいのである。

    生活保護は、たとえどんな生活破綻者でも「健康で文化的な最低限度の生活」をする権利があることをうたった憲法により保障されている制度である。それはえみるのような役割の人物が社会に必要だから存在する制度なのではないかと私は思う。きちんとした生活をする人間しか生きていけない、存在を許されない社会だったのだとしたら、やがては社会が摩耗し壊れてしまう。というようなことに納得がいかない人は、いつまでたっても生活保護費をパチンコに使って最後の一週間は水ばかり飲んでいるような受給者を一人たりとも許さないだろうし、生活保護パッシングを続けるのだろうな。

    ところで、栗橋の最後の怖いほどの怒り顔。たぶん自分に対しての怒りだと私は思う。

  • 福祉事務所に配属された新人公務員・義経えみるは、
    ケースワーカーという、【生活保護】に関わる仕事に就くことに。
    そこでえみるは、生活に困窮している人々を支援することの難しさに直面。
    悩みながらも、「ちゃんと人の相談に乗れる人間になりたい」と感じ、日々奮闘している。
    そんな中、日下部さんという4人世帯の担当となったえみるだっだが、なんとそこで、高校生の欣也君が母に内緒でアルバイトをしていることが発覚。
    アルバイトの収入申告がなされていなかったため、生活保護の「不正受給」となり、欣也君のアルバイト代を役所に返さなければならないことになり!?
    果たして、緊迫の【不正受給編】の行方は!?

    生活保護や申告もれのための徴収金の仕組みの説明をミスし、日下部さん一家の信頼を傷つけてしまったえみるが、どのように傷つけてしまった欣也くんや日下部さんの感情に寄り添って、信頼関係を立て直すかを、同僚や上司の手助けをしてもらいながら葛藤しながら苦闘するかは、ケースワーカーと生活保護受給者の信頼関係をどう作っていくかが、しっかりした生活保護制度などの知識と受給者の感情に寄り添ってしっかり制度について説明したり受給者が困っていることにどう対応するか、しっかりとした専門性と人間力がケースワーカーに必要であることがよく分かったケース。
    後半は、2組の親子と扶養照会が、テーマ。
    感情的に確執がある肉親と受給希望者の関係をしっかり調査した上で、生活保護受給申請を受理するか決めなければいけない難しさ、扶養照会の為に調査する為に受給者の肉親に聞き取りするやり方次第では受給希望者との信頼関係にひびが入り受給希望者のメンタルを傷つけてしまう難しさが描かれた3巻。

  • 「あなたを知ってしまったから」 - こころの時代〜宗教・人生〜 - NHK
    https://www.nhk.jp/p/ts/X83KJR6973/episode/te/8PJ7P5R73M/

    生活保護申請の“壁” 親族への「扶養照会」はなぜ問題なのか | 文春オンライン
    https://bunshun.jp/articles/-/44330

    健康で文化的な最低限度の生活 3 | 小学館
    https://www.shogakukan.co.jp/books/09187435

  • 社会から取り残されてしまった人々を丁寧に描いていて好感が持てるものの、内容は重たい。モデルとなったであろう方々の「幸福」を祈りたい。

  • 借りたもの。
    前回の続きで、不正受給扱いの母子家庭のケース決着篇。
    不正受給に相当する額の返還を求められて「これは何の『罰』なのか」と激情し、自分の大切なものを壊してしまった日下部欣也少年。えみるは説明不足を補い、生活給付金の本来の目的と、何故返還を求めるのか丁寧に説明する。
    説明をするためにも信頼というか「関係」を気づくことの重要さを意識させられる。
    「言った」「聞いてない」の話になっていた日下部親子も、確認書のサインの現物をみて、母親は自らの説明不足にもあることを納得するところも興味深い……
    後半には親子関係――毒親や虐待親――の問題を垣間見る。

  • 親子には扶養の義務がある。普段は当然のことと受け入れていることが、法でも縛られているのを知ると恐ろしくも感じる。親子の縁は切れない。何があっても、憎みあっても、恨みあっても。改めて受け止める。そうはいってもいろいろな親子がいる。生活保護を申請するほど困っても助けない関係もある。拒否するのは扶養する側の時もされる側の時もある。実態上縁が切れていても行わなければいけない手続き「扶養照会」。そのとき突き付けられる情と法と現実。親子とは?家族とは?福祉とは?…などと考えることなく自然に過ごせているのがよい。

  • 苦しい中徴収金を払っていかねばなりません 扶養照会はしないでほしい 労多くて益少なし 費用対効果の薄い作業 あずま雷 扶養義務に於ける感情問題 長年疎遠で関係性が悪いなどの事情があって回避する場合もあります

  • 2016年2月3日発売。
    第18話ㅤ関係
    第19話ㅤこれから
    第20話ㅤ夏の終わり
    第21話ㅤミス実施要領
    第22話ㅤ家族というもの
    第23話ㅤ扶養照会
    第24話ㅤ迷える青年
    第25話ㅤ重点的扶養能力調査対象者
    第26話ㅤ父親登場

  • 父親から追い込まれて精神的にも病んできている(らしい)島岡さん。

    その胸が詰まる感じがコマからよく伝わる。

    第4巻がとても気になる終わり方。

    その手前に差し込まれる、えみるの同期の女子・栗橋が引き出せなかったラブレターの話をえみるが聞けていた、というエピソードもよい。

    この栗橋も、同じく同期の七条と同じで、イラッとするよりも「こういう考え方をしちゃうのも分かるよな〜」となるのがうまい。

  • 本巻は扶養照会の問題を取り扱っている。生活保持義務は、夫婦と親から未成年の子への義務。生活扶助義務は兄弟など。

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著者プロフィール

柏木 ハルコ(かしわぎ はるこ)
1969年、千葉県生まれの漫画家。千葉県立東葛飾高等学校卒業、千葉大学園芸学部卒業。1995年『いぬ』でデビュー。
代表作に、2008年映画化された『ブラブラバンバン』、そして2018年7月からドラマ化された『健康で文化的な最低限度の生活』。

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