- Amazon.co.jp ・マンガ (484ページ)
- / ISBN・EAN: 9784091885098
作品紹介・あらすじ
殺した女、殺させた女。傷つけ合い求め合う魂の物語。
日常的に夫から暴力を受けていた女と、その女を慕い、請われるままに彼女の夫を殺したレズビアンの友人。
殺害現場に証拠を残したまま二人の女はともに逃亡を謀る。明日をも知れぬ逃走生活の先に二人は果たして何を
見るのか、それぞれどう落とし前をつけるのか――?極限状況下で震える魂の物語、開幕!●主な登場人物/殺させた女
(自分の夫を殺すよう友人のレズビアンに頼んだ女。レズビアンの自分に向けた好意を知っていた)、殺した女
(学生時代からひそかに「殺させた女」を慕っていたレズビアン。生家はかなり裕福な“お嬢様”)●本巻の特徴/連載開始時は
弱冠22歳だった著者が放つ、渾身の460ページ!第1話~第10話に、番外編も収録。
感想・レビュー・書評
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女優:真木よう子さんが、美しい顔で絶賛していたのでついフラフラと手にとってしまいました。
真木さんは映画化したら絶対主演を演りたいと仰っていましたが、二人のうちどちらを演じたいのかしら...?
レズビアンの女性に自分の夫を殺害させ、さてそれから....というお話。こんな時、本当にこんな感じで物事は運ぶのかも。リアリティのある丁寧な話。そして、描写力に拍手。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
上巻の序盤で先を読んだり読まなかったり、
ウロウロしてたけど
中・下巻に入ってからの
「あぁ、そういうことか」と気づいた後
物語の読ませる力は異常。
ショックがデカすぎるのか、
単純に内容が分からなかったの、
”男”であることが悔しくすらあるというか、
作者の中村珍さんが27歳で(連載当時は22?)
こんな「化け物」を描けるという事実を受け止めきん。
荒みきった人生を歩んだ末に、
ようやく掴んだ幸せをも奪われた女性が、
自分に好意を寄せるレズビアンに夫の殺人を”おねだり”する。
そこから始まる2人の道行きは地獄行き確定。
その逃避行に希望の光が差す事はない。
これは、2人が真実の愛を見つける話ではなく
それは、まして、お互いの理解を深める、という類の話でもない。
それは始まる前から終わっていて、
終わる前に始まっていない、完璧な(愛の)物語。
すれ違うだけ歩み寄って、誤解するだけ理解して、閉ざすだけ開く。
初めから恨んでおいて、いつも全てを許す。
その覚悟がある者だけが語れる愛。
こんなこと出来る漫画があるんだな。
ラストシーンに向かって、読者は「願い」を一つにしていく。
1コマで、その願いを叶えてくれる≪中村珍≫という女性に
我々は深く感謝し、尊敬し、そして次回作を期待せねばならない。
息抜きにデスクで読んですいません、ほしよっつ -
なんかちょっとすごい漫画すぎて……。自分の夫を殺させた女と彼女を愛するゆえに殺人かました女の愛と憎しみの逃避行。中と下もあるけどゆっくり買う。一気に読めない。。
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何度もは読めない
つらすぎるから
自分からは遠く離れた人物像なのに
心情が心に流れ込んでくるというよりは 武力を持って突入する勢いで
いたい心が自分に迫って来てつらい -
連載が始まったときに、最初数ページだけ読んで心臓がバクバクしたのを今でも覚えています。とんでもない漫画だ!と思った第一印象、コミックスになるとより印象が鮮明でおそろしい。
すごいよねえ。はじめからずっと一貫して救いも希望も無いし、誰一人として満たされてないのに、そんな中でも人間て刻一刻と変化して小さなことに一喜一憂できるんだから。この血の通いっぷりは逃げられない。
また装丁がとてもよいお仕事だと思います。手に取った瞬間最終警告をされているようで。 -
最初の連載誌『モーニング・ツー』での打ち切りに至る経緯を本人が赤裸々にブログに綴ったことで、ずいぶん話題になった作品。
私もその騒動で初めてこの作品を知り、興味を抱いた。そういう読者はほかにもたくさんいるだろうから、結果的にはトラブルが宣伝になったわけだ。人間万事塞翁が馬ですな。
『モーニング・ツー』での打ち切り後、単行本化も宙に浮いていたこの作品を『IKKI』が拾い上げ、コミックスも小学館から出た。この上巻は正味460ページのボリューム。上・中・下の三巻構成になるそうだ。
カバー画からして、尋常ならざる迫力がみなぎっている。そして、帯には作家・本谷有希子の「魂と引き換えに描いてるとしか思えない。」という強烈な推薦の辞。思わず手が伸びる。
カバー裏の紹介文を引用する。
《日常的に続く夫の暴力。そんな日々に耐えかねた女は、友人のレズビアンに夫を殺すように持ちかける。
想い人からの頼みを断りきれず、レズビアンは彼女の夫を殺し、そして――。》
2人の絶望的な逃避行が、過去をフラッシュバックさせつつ描かれていく。
いわば、舞台を日本に置き換えた“暗色の『テルマ&ルイーズ』”、もしくは、『モンスター』をもっと耽美的にした物語……そんな印象がある。
『モンスター』は、私のお気に入り映画の一つ。実在の殺人者アイリーン・ウォーノスと、そのレズビアンの恋人の逃避行を描いたデスペレートなラブストーリーである。
この『羣青』も、デスペレートなラブストーリーとして胸に迫る。
絵は私の好みではないし、ストーリーもわりと強引だ。しかし、そんなことはどうでもいいと思わせるパワーが、この作品にはある。この物語を書かずにはいられないという強い意志と、「伝えたいことさえ読者に伝われば、細かいことなどどうでもいい」とでも言いたげな荒々しいエネルギーが、全編にみなぎっているのだ。
連載開始時、作者が22歳の若さだったということが信じられないほど、心の深みにまで届く異形のラブストーリーである。 -
重い。痛い。
本書で扱われるテーマはシビア。けっして報われない絶望的な恋、同性愛、そして殺人。
私が好きなら夫を殺してという懇願を受けてそれを実行した女と、それを教唆した女の出口の見えない逃避行。生身の感情を剥き出す表情にがつんと胸を打たれる。好きな人を守りたいと願うのは誰もが抱く普遍的な感情だが、その見返りを求めてしまうのもまた人の哀しさ。
逃避行を続けるヒロインたちが出会う人々が背負った人生やドラマにも感情移入。特に印象に残ったのは誤って子供を死なせてしまった母親の話。
最後まで母親であった彼女の哀しくも強い決意に涙が零れました。
と本編はシリアスで読んでるとどっと疲れるんですが、第10話はホームドラマ風の心温まる話。
「よその男とつくった孫よりオレとかーちゃんでつくったお前のほうが可愛いからよ!」
この台詞に出会えただけでああ、得したなあと思えました。
総括するとあれです、尽くす女ってなんて愛しくて哀しい生き物……ってかんじです。二人の行く末が気になります。
それにしてもこれを22歳が描いたなんて凄いなあ……凄い才能だ。 -
衝撃的。レズビアンだとか殺人だとかは単なる小道具とか状況なのでその点ではなくて、主人公ふたりの心の通わせかた、通ったと思ったら拒絶したり、惚れていたはずなのに心底見損なったり、という心の動きをここまで書き上げられる人がいるんだ…ということに。
肉筆、ということばがぴったりな作者の画力やタッチもすごい。
ここまで絵に惹かれたのは、立松和平の絵本『海のいのち』以来。 -
ブッコフで表カバーの濃い顔を何度かお見かけしておりましたが、その「重たそうな感じ」と「入魂の作品」みたいな雰囲気に怯んでなかなか手に取るのを躊躇ってました。
まぁ、そう感じた通りだったんですがね。
重たいです。
とにかく重い。
最初っから重い。
ギリっと張り詰めた力強い筆圧を読みながら感じる程、魂が込もっています。だから、感覚としては460ページの分厚い純文学を読んでいるような感じ。
内容がレズビアンの話ですから、性差別も絡んできて重たい上になかなか難しい話でもあります。私は読む上で差別という問題を考える下準備が多少は必要だとも思いました。でなければ単なる「共感出来ない上に重たいだけ」の作品になるかと思います。
私自身は差別の問題に関しては、性的な被差別体験もあったと言えばあったし、差別関係でお勧めの書籍を紹介出来る程度には読んでいるので、多少共感出来るところはありました。
レズビアンの話なら間違いなく断トツでオススメです。
まぁ、身体に血が残っていたらコートで隠したって歩きながら血の匂いバンバン振りまいてるだろとか、ニュースにまでなっておきながらよくもまぁすぐに捕まらないもんだなぁとか、話の展開に突っ込みどころはありますがね。 -
痛い、重い、救いが無い上巻。
最後、「殺させた女」が走る1ページが、どろどろした空気のなかで際立って美しく爽快で、
それが周りを魅了したのだということが腑に落ちます。
一気に全3巻読みきりましたが、再び読むには気力が要ります。