羣青 (中巻) (IKKI COMIX)

著者 :
  • 小学館
4.18
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本棚登録 : 391
感想 : 24
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (516ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784091885371

作品紹介・あらすじ

限状況下の二人、愛憎の限界を更新する!!

殺した女。殺させた女。“共犯者”となった二人を中心に渦巻く悲しみと苛立ちの嵐に、周囲も否応なく巻き込まれ…。人間の真実の姿を暴き出し、ドラマはさらに深化する。480ページの大ボリュームで贈る、緊張の中巻!

殺人を犯し逃げる女と、共に行動する殺人教唆をした女。どこで間違えたのか、どうしてこうなってしまったのか――自問自答に疲れきり、行き場を見失う二人。愛憎の限界を更新し続けるたった二人のカタストロフ。行き着く先は、一体…?

主な登場人物は、殺させた女(自分の夫を殺すよう友人のレズビアンに頼んだ女。レズビアンの自分に向けた好意を知っていた)、
殺した女(学生時代からひそかに「殺させた女」を慕っていたレズビアン)、
レズビアンの彼女(事件発生後、破局した、「殺した女」の10年来の恋人)。

“犯罪者”であるニ人の周囲の人間も次々登場する本巻。人間の持つ「業」に迫った第11話~第20話を収録!

【編集担当からのおすすめ情報】
あの話題作の待望の続巻がついに登場!物語は、犯罪者となった2人とその周囲の人物の心情にさらに深く迫っていきます。才気煥発な作家による饒舌なドラマ、壮大なフィナーレに向けて深みを増す中巻に、どうぞご期待ください!

感想・レビュー・書評

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  • もともとは、“作家と編集部とのもめごと”がいろいろな媒体、作家さんとの間で相次いで起こったときに、その一例として作者のブログが引用されていたのを見かけたのが最初。

    だから作品を読んだわけではなかったんだけど、ブログの文章を読むだけで、作者の“アウトプット力”の高さは十分にうかがえた。だから、作品を一読もしていなかったけど、きっとおもしろいだろうと期待できた。

    『ちんまん』→『群青(上)』(「群」の字はカンベンしてくだされ…)と読んできて、その期待はまったく裏切られてない。

    この(中)巻のキーワードは、切なさと感じた。最初から最後まで、とにかく切ない。様々な切なさが満載。「あーし」「元彼女」「元彼女の両親」「兄貴とその家族」「父」の切なさが、直接描かれていないものまで含めて、この分厚い一冊に込められていると思いました。ぐじゃぐじゃのホカ弁にすら、いろいろな切なさを想像できる。

    元彼女のご両親は、思えば上巻から切なさの伏線を張りまくってあったよね。それを考えても、作者の構成力はすごいわ。この人、映画撮ってもきっとおもしろいものを作るんじゃないかと思う。やるかどうかはともかくとして。

    さあ、どうやって約束の「日曜」を過ごすのか、(下)巻を楽しみに待ちますよ。

  •  正義の居心地の悪さを感じる。
     うん。明るくて正しくて素晴らしいこと。

     そして理解されるということをくっきりと否定する。ぎくりとした。
     あとは下巻だー。
     最後まで読んで読み返すとまた見方が変わるのかな。
     楽しみである。

  • 二人きりで寒いままがよかった。
    そう言った彼女が寂しかった。
    皆、どこへ行ってしまうのだろうか。

  • なんだかわかんないんだけど、読むの2回目なのに、なんか違う感じ方をする。
    切ないとか、そんな陳腐な言葉じゃダメ。
    全然違う。
    恋とか愛とかそんなんじゃなくって、でもわかんの。
    いいとか嫌じゃなくて。
    グレイゾーンがないあたしに、限りないグレイゾーンを教えてくれる。
    それでもかまへんねんでって。

  • 上巻に続けて中巻のレビューです。

    私この大高千代美の兄(あん)ちゃんね、本当に大っ嫌いなタイプのクズオトコでね。

    本当に、高校時代からここまで、妹の何見とったんだこの糞野郎は!とガチ切れしたくなるよね。歩み寄ると言いながら全然歩み寄ってないじゃないか。はっきり言うが、お前に妹を出頭させる資格はねーよ。

    まぁ、言うても私も男っすから、身内と思ってた女性がレズビアンだって知ったら認めらんないし受け入れられないのは分からんでもないよ?嫁さん持って「幸せな家庭」という名のノンケライフ謳歌しているもんだから尚更「何で?」と問うてしまうよね。罪は確かに償って欲しい。でもそれ以上に、出来れば兄としてこんなになってしまった妹を立ち直らせたい。妹にとっての本当の幸せを取り戻せるのは俺だ!

    分かります。

    でも、その善意から発する思いやりが逆にレズビアンとしての妹に対する理解拒否を示す態度になり、不幸から救うどころか妹と江崎草子の二人にとって最も恐ろしい迫害の鬼にすらなってしまう。

    えげつない。本当にえげつないんです。そこを非常によく描いています。

    「普通の幸せ」「ささやかだけど誰もが必要としてる(であろう)愛の形」という価値観に足の爪先までどっぷり染まっていると、「その幸せとは違う形の幸せ・愛の形を求めている人間」とは共存が難しいんです。赤の他人なら「あっそ」で済ませられるけど、下手に「血の繋がった妹」という関係を持っている以上「家族の一員」として見過ごせない、というところに差別の根深さがあるんです。その意味で、理解を示そうとする兄ちゃんに千代美が「兄ちゃんが全うする人生とは、全く似てない人生の話だから。なんとも思わなくていいよ…。」と返すシーンが大変深く印象に残るのです。

  • 「殺した女」の兄とその家族が登場する2巻

    兄の言動がいちいちやかましく描写されるのだが、
    これが世間一般多数派の感覚なのだろうという皮肉。

    後半、「殺させた女」と「殺した女」の噛み合ないやりとり
    話を転がすためじゃない、正直にただもつれる会話にグッときました。

  • 聴いている曲が中島みゆきばかりなのが、似合いすぎてて怖い。
    元カノが死ぬまでの描写が丁寧すぎる…。元カノの両親の絵柄が違いすぎて逆に怖い。
    とにかく怖い漫画。
    読むのが大変。

  • 彼女さんの話は涙をどんなに流しても足りない・・・。

    この巻の最後は震えた。

  • 殺人を犯した2人の逃避行の物語、中巻。
    逃避行したところで2人に幸せな未来は訪れません。重い。
    分厚いコミックスですが引き込まれます。

  • 痛々しい

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