健康で文化的な最低限度の生活 (6) (ビッグコミックス)

著者 :
  • 小学館
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感想 : 34
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784091897862

作品紹介・あらすじ

大反響!「アルコール依存症編」ついに完結

生活保護に関わるケースワーカーとして
日夜、働く新卒公務員・義経えみる。

アルコール依存症の疑いがあると診断された
えみるの担当受給者・赤嶺さん。
急性膵炎で入院した彼に「禁酒して体を治そう」と提案するえみるだが、
飲酒と荒んだ生活はおさまらない…

赤嶺さんを理解しようと「断酒会」を訪れたえみるは、
アルコール依存症が病気だと分かり始めるが…
その矢先、部屋で倒れる赤嶺さんを発見して!?

雑誌掲載時に大きな話題を呼んだ「アルコール依存症編」完結。
誰もの身近にある、この病の本質に迫る問題作、登場!

【編集担当からのおすすめ情報】
たかが「お酒」で、人生を踏み外してしまう人がいる…
しかし、その「アルコール依存症」という病が一体どんなものなのか、
きちんと理解している方は少ないのではないでしょうか。

【生活保護】の現場を舞台に、一人の人間のドラマを通して描かれる、
「人は変われるのか?」という深いテーマを本章から感じ取って欲しいです。
綿密な取材から構成された専門家も絶賛の本作品、ぜひご一読ください!

感想・レビュー・書評

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  • 「あなたは自分で払っていないからわかっていないかもしれませんが、そこにいくらかかっていると思います?ICU入って入院して…前回の入院も合わせたら、軽く100万は超えてますよ」(アルコール中毒緊急入院時の医者の言葉)
    「今回の入院だっていくらかかってんの?10万、20万じゃきかないでしょ…?あんな奴のためにそんな金をかける意味あんの?」(アルコール医療専門医院への転院手続きを終えた後のケースワーカーの呟き)

    私は、「あんな奴」のためにお金をかける制度が生活保護制度だと思っている。「あんな奴」だからこそ、とも思っている。労働環境を改善して、滑り台社会を改善すれば、かけるお金も減るだろう。むしろ生活保護しか(実際はもう少しあるかもしれないが)、受け止める網がないのが問題だとも思っている。

    アルコール中毒は、病気である。そのことさえ知らない人がまだ多くいる。私はアルコール依存症の人のことはよく知らないが、(対処法は大きく違うけれども)パチンコ依存症の人は2人知っている。その害悪について、毎日の様に「パチンコに問題はない」(第一の否認)と「パチンコ以外には問題はない」(第二の否認)の間を繰り返す人のことを知っている。そういえば、日常的に周りが「いけないよ、いけないよ」と言い、その男もヘラヘラ笑いながらそれを受け止める。そんなこんなが何年も続いても一向に治りそうもないことも知っている。でも最近は安定してきた。そんな「症状」のことを知っている。だから、治療は一般の治療とは違うことも知っている。それでもケースワーカーの中の一部でさえ、お金の使い方に理不尽さを覚えるのが現代日本である(一方では5兆円以上の「防衛費」に不満は言わない)。

    私は生活保護パッシングをする人は、みんな「無知」だと思っている。このマンガが1人でも多くの無知の人に届くことを祈る。

  • 借りたもの。
    この巻で重点を置かれているアルコール依存症問題。
    病識の無い依存症患者と、酒に依存する姿勢の理由を端的にまとめてあった。

    アルコール依存症の問題を良く知らないえみるが手探りで医療につなげようと奮闘する。
    それは理詰めや情に訴えるような手段であることに不安を感じる……効果的とは言い切れないから。
    これはアルコール依存症を知らない人の、医療につなげる方法を知らない、ごく普通の反応。

    ようやく医療と自助グループにつなげることができたが、就業した先が居酒屋で、案の定、結局再飲酒してしまい逃亡する……

    しかし、家族にまで見限られている人間の、その手を掴むえみるの描写が情に訴えるようなものでありながら、ケースワーカーとは何かを端的に表していると思った。
    それが「健康で文化的な最低限度の生活」なのか、色々思うところがある。

    その中で、以前担当した生活保護受給者が受給を打ち切り、再び就業し明るい表情で働いている姿に、希望を見る。

  • 仕事で依存症者の担当をしていたので
    全く他人事に思えなかった。
    スリップした後から疑心暗鬼になって、うちを辞めていった。
    救おうなんて大それたこと考えてなかったけど、
    居場所になれなかったことが悔しくて泣いた。

    アルコール依存症は人間関係の病というが、なるほど。
    "疲れた時、頭にきた時、辛くなった時、嫌な気持ちを吹き飛ばす時に飲む。酒以外考えられない。酒は何も言い返してこない。人の苦しさをただ淡々と受け入れてくれる"
    "本来の人に頼って生きる方法を何とか見つけない限り、いつでも簡単に元の生活に戻ってしまう"

    だから自助グループで助け合って生きてこうって治療なんだけど、
    うちの人たち皆さん自助グループ嫌いなんだよな。
    それも否認てことなのか。
    自助グループでなくとも、何かしら帰属できる場所が見つかるといんだけど...

  • 726.1||Ka77

  • アルコール依存症は、「否認の病」ですからね…「自分にはアルコールの問題はない」が、第一の否認。そして、第二の否認。「自分にはアルコール以外の問題がない」 神様、私にお与えください_自分に変えられないものを受け入れる落ち着きを_変えられるものは変えてゆく勇気を_そして、二つのものを見分ける賢さを

  • 前巻から続くアル中の話。真の酒好きは依存症などならない。ビール、焼酎、日本酒、洋酒、ワイン…彼らはそのものの価値が分かっている。一杯一滴を大切に味わう。無闇に飲み過ぎることなどない。本当は酒など好きではない人が中毒になる。得てして彼らは真面目である。味わう以外の目的を大事にする。「酒と泪と男と女」ーー酒で苦しみを忘れることなどできない。前後不覚に陥るだけだ。それでもやめられないのは、悩みを吹き飛ばしてでも、やらねばならぬことがあるからだ。律儀である。同じ轍に嵌った人こそが分かりあえる。助けねばならない。
    ーーーーーーーーーーーーー
    ●酒と泪と男と女[https://www.youtube.com/watch?v=Uxy9Keo_KVc] ーーーー酒を飲んでも、嫌なことを忘れることや寂しさを紛らわすことはできない。酔うとはそういうことではない。男はこうで、女はああだ、なんて決めつけられるものでもない。だが、物語や歌詞はとある架空の世界への憧憬を語るもの。この世界はこれで大事にしたい。

  • 2018年2月4日発売。
    第46話ㅤここから
    第47話ㅤ兄弟
    第48話ㅤ否認の病
    第49話ㅤ日々の暮らし
    第50話ㅤ帰れる家にしよう
    第51話ㅤ働く男
    第52話ㅤよりによって
    第53話ㅤ真夏日
    第54話ㅤ雷注意報
    第55話ㅤ自助グループ
    第56話ㅤこれから

  • アルコール依存症の赤嶺さんの話がメインの第6巻。

    前巻から続いて、アルコール依存症とは本人の意志の力ではどうにもならない病気であること、まず本人がアルコールの前で自分が無力であることを認めなければいけないこと、という点がしみじみと伝わるストーリー。

    それだけにつかず離れず、でも心配の気持ちは伝えるのがベターであるというケースワーカーという仕事の難しさも伝わる。

    特にアルコール依存症の治療法が1935年に初めて発見、確立されてきたというのも驚きというか、人類にとって大きな病だったのだなと感じる。

    この巻にはドラマティックな展開はないけれど、一貫してためになる漫画です。

  • アルコール編完結。面白いなぁ。

  • 二週目してしまった

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著者プロフィール

柏木 ハルコ(かしわぎ はるこ)
1969年、千葉県生まれの漫画家。千葉県立東葛飾高等学校卒業、千葉大学園芸学部卒業。1995年『いぬ』でデビュー。
代表作に、2008年映画化された『ブラブラバンバン』、そして2018年7月からドラマ化された『健康で文化的な最低限度の生活』。

柏木ハルコの作品

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