- Amazon.co.jp ・マンガ (295ページ)
- / ISBN・EAN: 9784091910158
作品紹介・あらすじ
萩尾望都、魅惑の初期短編集。
ヒュールリン・ギムナジウムの転入生エーリク。そこで彼は自分の分身トーマに出会った。2人を結ぶ罪と愛の秘密とは…。名作「トーマの心臓」の原型となる「11月のギムナジウム」、12年の後にめぐりあった双子の兄妹の歌声がイブの夜に流れる「セーラ・ヒルの聖夜」、少女と3人の妖精のメルヘン「塔のある家」など7編を収めた魅惑の初期短編集。
感想・レビュー・書評
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11月になったら読もうと決めていた7編を収めた萩尾望都さんの初期短編集。
表題作は、あの「トーマの心臓」の原型となった作品。50ページ足らずの短編だけどとても魅了させられました。
最後の「セーラ・ヒルの聖夜」には涙。偶然に自分たちが双子と知ってしまった兄妹のお話。子どもの方が断然大人で冷静なのが印象深い。
かつての憧れの中の外国(ヨーロッパ)の雰囲気(お城、妖精、薔薇)が溢れててうっとり。
同年代の羽仁未央さんのあとがきも良かった。
「トーマ」を読んでまた、読み返そうと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
収録作品全て、発表が1971年。こんなにクォリティの高い短編を量産していたとは、萩尾先生恐るべし。全て海外が舞台で、十代の少年少女達が生き生きと描かれている。
十代の頃、1976年刊行版を古本で手に入れて読んだ。当時は「トーマの心臓」を読んだ直後ということもあり、同じ名前のトーマとエーリク、そしてオスカーが登場するけど「トーマ…」とは別物の表題作に、イマイチのめり込めなかった記憶がある。
最近になって萩尾さんの初期作品が妙に読みたくなり、95年刊の新版を購入(76年版とは収録作品が若干異なる)。ウン十年振りの再読だが、今読むと逆に「トーマ…」より「11月の…」の方がわかりやすいかも?と思えるから不思議。トーマとエーリクががっつり絡んでいるから新鮮である。
表題作を始め、本書は萩尾さんお得意モチーフの「双子」が何組か登場する。男女の双子があるトラブルに巻き込まれる「もうひとつの恋」はテンポのよいコメディ!そして、やはり男女双子ものの「セーラ・ヒルの聖夜」この作品だけ初読みだが、何で今まで読まなかったかな~と悔やむほど素敵なストーリーだった!海外の児童文学みたい。クリスマスの頃に読み返したい珠玉の作品だ。
「かわいそうなママ」十代で読んだときはその怖さにドン引きしたのだが、今読むと萩尾さんらしい作風のホラー短編。歳を重ねると、その分受け取り方も変わってくるなと改めて思うのである。再読するたび物語の様々な側面が見えてくるということは、名作の証だよな…そして、その名作が今も買えるということにありがたさを感じております。
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初期短編7作を収録しています。
「11月のギムナジウム」は、『トーマの心臓』の別一つのヴァージョンというべきストーリーで、ヒュールリンのギムナジウムに、トーマ・シューベルとそっくりのエーリク・ニーリッツという少年が転入してくる話です。生き別れになったきょうだいという、著者が繰り返し描くテーマに沿って構成されており、『トーマの心臓』に比べると登場人物たちの心情の描写が若干粗い印象もありますが、短編らしくぴりっとまとまった作品です。
「秋の旅」は、ヨハン・シェスターという少年が、両親の離婚によって離れ離れになってしまった父親のモリッツ・クラインの家を訪ねる話。「塔のある家」は、マチルダという少女が、塔のある家でフォーラ、ビビ、デデという3人の妖精に出会う話。
「もうひとつの恋」は、本書の中ではもっともコミカルなストーリーです。明日結婚式をあげるはずのジョゼフィン・ニースは、交通事故で死んでしまいます。しかし、どうしても結婚式に出たいという思いを断ち切れない彼女は、弟のジョンバインの身体に入り込み、結婚式を強行しますが、やがてジョンバインが意識を取り戻し、大騒動となってしまいます。
「かわいそうなママ」は、別れてしまったかつての恋人のことを思い続けていたエスタ・ボストンが死亡し、報せを受けて恋人だったマーティン・シーフレイクが訪ねてきます。そこで彼は、エスタの息子のティモシーから、エスタがどんな毎日を送っていたのかを聞かされることになります。
「白き森白木少年の笛」は、11年前に森の中の井戸に落ちて命を落としたエドワード・フォスターという少年の幽霊が、マリアという少女の前に現われる話です。「セーラ・ヒルの聖夜」は、幼い頃に互いに離れ離れになって育ったキャロン・ダーリングとクリス・ライバーの双子のきょうだいが、セーラ・ヒルで再会する話です。
いずれも短編なので、ストーリーの展開の中で登場人物の心が揺れ動いていくというよりも、初めからキャラクターが設定されているという印象はありますが、それだけにかえって著者の描こうとしているテーマが明確になっているように感じました。 -
表題作は『トーマの心臓』の原型になった作品を含む初期短編集。時代背景や当時の少女漫画の傾向もあるのだろうけど死別や養子になってるパターンが多い……
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セーラ・ヒルの聖夜がかわいくてすきです
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塔のある家は、ファンタジックで、エリナー・ファージョンを連想した。かわいそうなママは、衝撃。この男の子は大人になったら何を思うだろう。セーラ・ヒルの聖夜は、敬虔な気持ちを引き寄せる。
11月のギムナジウムは、トーマについての形容詞と印象にギャップを感じた。トーマの心臓とは別物。 -
ロマンチック。静かな晩秋の日に読みたい。
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萩尾望都を読み進めているが、今の所一番良いかも
トーマで気付かなかった部分がしっかり描かれていた。
11月のギムナジウム
秋の旅
塔のある家
もうひとつの恋
かわいそうなママ
白き森白き少年の笛
セーラ・ヒルの聖夜 -
かわいそうなママが良い。
著者プロフィール
萩尾望都の作品






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