感謝知らずの男 (小学館文庫 はA 18)

著者 :
  • 小学館
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感想 : 28
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784091912589

作品紹介・あらすじ

不眠症に悩むダンサーのレヴィ。安らぎを求めて引っ越した先の隣人は!? ナイーブな青年の内面を描いた人気傑作シリーズ。

感想・レビュー・書評

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  • 先月のちょうど今頃、池袋の梟書茶房に行ってきました。
    タイトルも著者名もブックカバーで伏せられた1231冊の本が並んでいて、訪れた人たちは番号、紹介文そして直感だけを頼りに選んで購入できるカフェです。
    それで私の誕生日とおなじ番号だったのがこちら。紹介文を読んでも興味を惹かれたので、買っていざカバーをめくってみたら漫画だったのでびっくりもびっくり!
    萩尾望都さんかー、好きな作家さんたちの大好きな一冊としてよく挙げられているのを見るのでもちろんお名前は存じていたけれど、読むのは初めて。

    バレエに打ち込むレヴィ、オリバー、サンドラたちまだ10代の少年少女が主人公の短編で、彼らは天賦の才能に恵まれながらも思い悩み落ち込み、壁にぶつかり、友とすれ違い、大切な人を守れず、派手な舞台の裏ではもがき苦しみながら生きている。
    けれどそれらを乗り越えた先にみえる景色が、みせてくれる景色が、バレエという表現にギュッとよりあつめられて際立つ崇高な美しさをつくりあげているのかもしれない。少年少女の成長のすべてがそこにある。

    いずれにせよこうして偶然(というかこれは必然!)に身を委ねなければ、きっと手に取ることのなかった一冊だと思う。
    久しぶりにこんな珍しくておもしろい本との出会い方をして、なんだかすごくきもちのよい風が吹いた気がする。
    たとえば誰かにその人の誕生日の本をプレゼントして、どんな本だったかいっしょに確認するのもワクワクして楽しい。梟書茶房また行きます。

    • つづきさん
      りまのさん
      はじめまして、フォローありがとうございました。
      そうだったんですね!私はこの感謝知らずの男と、そのあとイグアナの娘という漫画だけ...
      りまのさん
      はじめまして、フォローありがとうございました。
      そうだったんですね!私はこの感謝知らずの男と、そのあとイグアナの娘という漫画だけ読んだのですが、ショッキングながらも繊細ですごく心に深く刺さりました。もしおすすめ等あればぜひ教えてくださると嬉しいです。
      2021/01/16
    • りまのさん
      つづきさん
      コメントありがとうございます。
      萩尾望都さんのは、昔の作品が、結構好きです。ポーの一族、トーマの心臓、などは、やはり名作だと思い...
      つづきさん
      コメントありがとうございます。
      萩尾望都さんのは、昔の作品が、結構好きです。ポーの一族、トーマの心臓、などは、やはり名作だと思います。ポーの一族は、2016年?から、40年ぶりに新作が出て、私などは嬉し泣き、したものです。新作は、
      現在3冊出ています。 あと、 11人いる! は、SFなのですが、出てくるキャラクターが素敵で、ストーリーも、面白く、楽しく読めると思います。
      AーA' というSF作品も、私は好きです。1冊にまとまっているので、内容は濃いのに、読みやすく、おすすめです♪
      望都様の、世界にハマったら、作品全てが素晴らしく思えるのですが、 残酷な神が支配する だけは、あまりにも残酷すぎて、読むのが辛かったです。(でも、全巻持っている)
      いろいろ書きましたが、参考まで…。
      2021/01/16
    • つづきさん
      わーこんなにたくさんありがとうございます!りまのさんのコメントを読んでいるだけでも、萩尾望都さんの作品がどれほど年月が経っても褪せない素晴ら...
      わーこんなにたくさんありがとうございます!りまのさんのコメントを読んでいるだけでも、萩尾望都さんの作品がどれほど年月が経っても褪せない素晴らしさを持っているのか伝わってきます。
      40年ぶりの新作とはすごいですね!未読ばかりなので、これからその世界にたくさん触れていけるのが楽しみです。
      ありがとうございます^^
      2021/01/16
  • バレエ・ダンサーの青年レヴィを中心に、何人かの登場人物たちによって構成される連作短編集です。

    「感謝知らずの男」は、人と容易に打ち解けることのできないレヴィが、隣人になったモリスとミリーのカップルのおせっかいに困惑させられる話です。ほかに、レヴィのバレエを踊るすがたに魅せられて彼をモデルにしたいと申し出た写真家のアーチーと、その恋人だったガブリエラとの関係の変化をえがいた作品や、オリバーとローズマリィの恋をえがいた作品などが収録されています。

    レヴィが主人公の4編にくらべると、あとの2編はややコミカルな雰囲気が強いようにかんじます。どちらもたのしんで読むことができました。

  • 母親からの過干渉が伺える潔癖症のレヴィの成長譚かと思って読み始めたけど案外そんなことなくて、レヴィはひたむきにバレエに取り組むうちに読者そっちのけで大人になってしまった。
    ちょっと拍子抜けした。笑
    レヴィは他の萩尾望都作品にいるような、未成熟で傷つきやすい少年で居続けるにはいい人に囲まれすぎてるんだよね。適切な距離を守って良き友人でいてくれるミツグやシグ、信頼の置ける看護師ドーラ、彼なりに安定していく兄のショーン。みんないい人。
    アーチー、ガブリエラとの切なく儚い友情の物語は「十年目の毬絵」を思い出した。切ない。

  • まだ読んでない萩尾さんの短編だったので、借りて読んでみた。表紙が綺麗。

  • レヴィとアーチーの関係は切なかったな

  • 端麗な線……。

    レヴィがモリスとミリーからお節介を受ける話。
    ミリーが、
    「あたし……もう……好きに……なっちゃう」
    というところ、すごく可愛い洋服!
    それに対する、
    「女の子ってやわらかい。ぬいぐるみみたいだ」
    もすごく素直。

    カメラマンのアーチーとガブリエルに翻弄されるお話も、刺さる。

    ローズマリィとオリバーのお話。
    サンドラとアルノーのお話。
    ちょこっとレヴィが出演して、大人になっていたりして!

    @@@@@

    2011年1月に初読?、2016年7月に再読?で、今回三度目?。
    2016年7月のレビューをコピペしておく。



    端麗な線……。

    レヴィがモリスとミリーからお節介を受ける話。
    ミリーが、
    「あたし……もう……好きに……なっちゃう」
    というところ、すごく可愛い洋服!
    それに対する、
    「女の子ってやわらかい。ぬいぐるみみたいだ」
    もすごく素直。

    カメラマンのアーチーとガブリエルに翻弄されるお話も、刺さる。

    ローズマリィとオリバーのお話。
    サンドラとアルノーのお話。
    ちょこっとレヴィが出演して、大人になっていたりして!



    以下2021年10月に書く。

    ■感謝知らずの男 part1 32p
    ■感謝知らずの男 part2 32p
    ■オオカミと三匹の子ブタ 40p
    ■狂おしい月星 86p
    「ローマへの道」のサブキャラだったレヴィに焦点を当てたスピンオフ三部作。
    本編より先に読んでいたからかもしれないが、こっちのほうが好ましい。
    というか、本編がトラウマやらDVの繰り返しやらを描いているので息苦しいのに対し、こちらはいい空気を深呼吸したときのように染みわたる心地よさ。
    「ほっといてくれ!」と全身で訴えているレヴィを描いているのにこの読後感、すごい。
    もはや萩尾メソッドだと思うが、シグという「関わらない男」(おおむね目が細い)の安心毛布っぷりよ(「メッシュ」のミロンとか)。
    潔癖症の兄の存在感も、いい。
    「オオカミと三匹の子ブタ」でガラパゴスのイグアナに言及されるのでファンサービスかと思いきや、こっち(1991)のほうが先なんだとか(「イグアナの娘」は1992)。
    「狂おしい男」は第3弾だが時系列としては最初で、本書の中では最も切実。
    写真家アーチーの空虚と、それでもあのとき撮影を通じてテレパシーがあったんだと愛惜するレヴィは、ともに痛ましく好ましい。
    ここまでギリギリの感情の高ぶりは、なかなか得られるものではない。

    ■海賊と姫君 50p
    以下2編は独立。
    マッチョっぽいオリバーが実は……という。
    男が、女の引きずる過去を、更新する、という結構どうなんという話ではあるが、なかなかいい読後感。

    ■ジュリエットの恋人 52p
    過去の因縁があるのだが……まあそういう話よね、という。
    ロミジュリにはやはり取り組みたかったんだろうな萩尾先生。

    ◇エッセイ―レヴィのリアルな身体:篠田節子(作家) 4p

  • 萩尾望都さん、竹宮恵子さん、名香智子さん、木原敏江さん、山岸凉子さん、森脇真末味さん、花とゆめ、LaLa、プチフラワーを踏まえてから、いわゆるオリジナルJUNE漫画系を手に取り、現在のリアルBLで舞い戻る、と言う段階を踏んでいる私ら世代は恵まれてるんじゃなかろうか。悶々としている思春期に、ど真ん中ド直球描写ではなく、匂い立つもので悶々さに拍車をかけて想像力を豊かにして貰い、割と肝が座ってくる大人になってからBLを与えられると言うのは。思春期でいきなりBLが目の前にあるのは幸運のようでそうじゃないかもなぁ、見えそうで見えない、判りそうで判らない所を想像力爆発させる、と言う経験はさせて貰えてないかもしれんね。豊潤に与えられると感覚は鈍麻する、それは自分の肉体に欲するがままにジャンクフードを与え続けて肥え太るのに似ている。溜まってしまう脂肪は「余分」でしかない。人は飢えているくらいが丁度いいと思う。摂取しても捨てる選択肢を持つ、食べたら食べ多分運動すればいい、と言うのに似てはいまいか。
    主人公のレヴィの存在感そのものが今で言うところのBLなのである。カップリングの塩梅や、シチュエーションではなく、人物そのものが…

  • 海賊と姫君がすき~ローズマリィかわいい

  • 萩尾望都の主人公は綺麗で抽象的なイメージが強かったけどレヴィは何だかリアルだったな。「現代っ子」って感じ。
    バレエを題材にした話。面白かった!

  • ぼくは
    まだ持ってる
    あんたが
    くれたものを

    ハイド・パークの
    会話

    ばかばかしい
    ニースの別荘の
    ワナに はまった夏

    レンズの
    向こうの
    テレパシー

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著者プロフィール

漫画家。1976年『ポーの一族』『11人いる!』で小学館漫画賞、2006年『バルバラ異界』で日本SF大賞、2012年に少女漫画家として初の紫綬褒章、2017年朝日賞など受賞歴多数。

「2022年 『百億の昼と千億の夜 完全版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

萩尾望都の作品

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