いたいけな瞳 (1) (小学館文庫 よE 12)

著者 :
  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (339ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784091915320

作品紹介・あらすじ

アブラゼミの鳴き声、進まない宿題、お父さんの本棚とお母さんの赤い口紅、そして路地に潜む怪しい人影…。夏休みを過ごす少女たちの倦怠と混沌を描く「幼女誘拐」ほか、珠玉の短編からなる吉野朔実の世界。

感想・レビュー・書評

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  • むか〜しむかし、学生時代、「吉野朔美のまんがに出てくる感じに似てるね」と、友人に言われたことがある。とはいえ、その頃は読んだことがなかったので、どう思えばいいのかがわからなかったなぁ。「幼女誘拐」いきなりガッツン!いろんなとらえ方がある。読む度ごとに惑う。子供は嫌いだ。そして、自分もそんな子供だった。「愛の名のもとに」「自殺の心得」「愛が怖くてテロが出来るか」「おとうさんといっしょ」 これまた的を得ていて、こわいくらい。妻の出産前夜。思い出のピンポンダッシュ。誰が贈った?10万円の熊のぬいぐるみ。ホールのいちごケーキ、それ、フォークと包丁で食べてみる?ふふふ。「少女漫画家の瞳には三等星の星が光る」星の名は孤独。君の瞳に永遠に輝き続けるのを待っている。締切直前の漫画家うさ子、そうだ、描くしかないのだ!読む度に、唸ってしまう・・・どっぷりだったり、あっさりだったり・・・味付けも、設定も様々、毎回感じ方も変わるのって、不思議だ。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「読む度に、唸ってしまう・・・」
      私には吉野朔実は重くて、最近読んでない。この話も、唸ると言うか咆哮に近いかも、、、
      でも、映画や本について...
      「読む度に、唸ってしまう・・・」
      私には吉野朔実は重くて、最近読んでない。この話も、唸ると言うか咆哮に近いかも、、、
      でも、映画や本について書いたエッセイは、ネジが緩んでいて、とっても好き。
      マンガでは、「HAPPY AGE」かな。。。
      2013/05/20
  • 何も言えない。はじめて真剣に読んだまんが。

  • 以前、購入して読んでいて、まあ、印象が残っているわけですが……。
    今、読んで見るとその時よりも、もっと理解できるなぁと思いました。

    短編集なのですが、最初の「ラブレター」なんかは、とてもよくわかる。それに、熊のぬいぐりみ10万円も、おもちゃのことに興味を持ち始めて、はじめて理解できる部分もあります。

    「いやあ、ああいうことって、よくあるよねぇ」

    と話したくなる子の顔が浮かぶ。

    きっとその子は、この本をそれなりに気に入るだろうということで、貸してあげよう(無理やり)と思って、それなら、カラーの入った文庫じゃない大判のマンガの方がいいだろうと、今、実家の本棚を探して見ましたが、見当たりませんでした。

    ……手放してる??

    うん。この本の価値が、その頃は、わかってなかったんだなぁと、改めて実感。

  • 繊細な子供(体は大人で心が子供、というのも含めて)の精神をこまやかに描く短編集。深くしまいこまれた子供の頃の記憶を呼び覚ますような作品がちりばめられていて、時にハッとさせられます。

  • 1990年~1993年 ぶーけに連載された作品。
    今回、ブログ仲間の「asagiさん」からお借りして読んだ。
    物凄く面白かった。ありがとう~~~。

    ■いたいけな瞳:1巻■

    ○自殺の心得
    「私より好きな人が出来たのなら、それはいいから、それでもいいから
    私2番目でいいから…」
    そこまで言っても拒否をされ、彼の目の前で電車に飛び込み自殺を図ろうとした彼女に
    1人の男性が声をかけた。「背中、押してやろうか?」
    彼女にフラれ、彼女を殺して自分も死のうと思っている男と
    彼氏にフラれ、彼氏の目の前で飛び込み自殺を図ろうとした女が、駅のホームで出会った。
    でも、前向きに歩いて行こうと思い始めた二人には、決定的な違いがあった。
    駅のホームに落ちていた花束が生と死を分ける。

    ※若いころは2番目なんて絶対に嫌!っと思っておったが…。
    最近は妻が大勢いる夫もエエかも? っと思っている自分が居る。
    人の考えなんぞ、変われば変わるもんだとつくづく思う(笑)

    他、ラブレター・幼女誘拐・愛の名のもとに 4収録。

    ■いたいけな瞳:2巻■

    ○おとうさんといっしょ
    「ほんとうは ぬいぐるみが欲しかった。
    百科事典が欲しいといったのは そういえば父が喜ぶと思ったからだ」
    もうすぐ父親になる男は、妻が出産のために実家へ帰っている間、子供になった。
    昔、父親の顔色ばかりをうかがい出来なかったことを、次々と決行していく。
    もうすぐ自分が父親になる。あの怖かった父親に…。
    「いやだなぁ おとうさんになんか なりたくないな」
    なる、ならない。欲しい、欲しくない。
    好きじゃない方でも、それが正しいと感じたなら、人は迷いながらも選ぶ
    そうして人は、大人になっていくのだろうか?

    ※子供の頃、親に言われた言葉
    「迷っている2つがあったら、嫌いな方を選べ。それがお前の身になるから」と。
    塾へ行きたくない、塾へ行く。嫌いな方は塾へ行く。
    選ぶ能力が劣っている子供に対しては有効な方法かも。
    でも…付き合う人は、私しゃ好きな方を選んだがの(笑)

    他、愛が怖くてテロが出来るか・少女漫画家の瞳には、三等星の星が光る・橡(ツルバミ)4収録

    ■いたいけな瞳:3巻■

    ○ささやかな不幸
    「不幸によって人格は形成される
    好き嫌いはいけないという脅迫観念から、ついつい嫌いなものばかり取ってしまう」
    そんな新郎が選んだ嫁は誰もが羨む美人。
    結婚式場に見え隠れする終わった恋に続いている恋、はたまた秘めた恋。
    嫌いなものを選ぶことも必要だけれども、好きなものを選んだ時に感じる…
    あの至福を諦めてはいけない。皆が幸せになるために。

    ※好き嫌いはいけないと言われて育ったので、
    嫌いなものを先に食べ、好きなものを最後に食べる癖がある。
    だもんでよく夫に「嫌いなの?」っといわれ奪われる。私の好きなものは、体に悪い。
    ヘラっと奪い続ける夫の体が心配だ。

    他、ギブニーシェルター・ローズフレークス・本物の贋物 4収録

    ■いたいけな瞳:4巻■

    ○恐怖のおともだち
    「おとうさんも嫌がるゴキブリを瞬き一つせず一撃で叩き殺す
    怖いもの知らずの独眼竜」そんな家政婦の白玉が
    人一倍怖がりで常備薬を手放せないほど弱虫のボクの家に居る。
    家政婦の白玉がボクに教えてくれたこと。
    恐怖を受け入れた時、恐怖と仲良くなった時、いじめっ子を撃退する力が付いた。
    あの家政婦のミタを彷彿させるが…こちらの方が古いし好き。
    今でも常備薬を手放せない私だから(笑)

    ※子供の頃に、我が家にも家政婦が居た。小太りな弱々しい人だった。
    突然辞めたのでどうしたのかと思ったら、父に手籠めにされたとか…。。。
    ん~。他人を家に入れる事の難しさを痛感した小学5年生の私であった。

    ■いたいけな瞳:5巻■

    ○犬
    よく晴れた冬の朝、父はいつものように出かけて行った。
    そしてそのまま会社に行かず、誰にも会わず、家に帰ってこなかった。
    父に捨てられた母と息子とそして犬の元へ、1人の男が現れる。
    「その犬とお父さんの情報を交換しよう」と言う彼に、息子は強い違和感を感じる。
    犬とお父さんを天秤にかけた時、どちらが大事だろう?
    ずっと一緒に居てくれた犬と、自分を捨てた父と。

    ※犬が居た。セントバーナードで名前はエルザ。食事も掃除も世話は全部私がやった。
    でも、父と私が同時に呼ぶとエルザは真っ直ぐに父の元へ飛んで行く。
    理不尽だ。いつも一緒の私より、群れのリーダーを選ぶなんて。
    それとも、自分がこの家でノホホンと暮らしていけるのは、父の稼ぎのお蔭っと解っていたのか
    私も犬のエルザを見習うべきだったかな~?(笑)

    他、いつも心にスキップを・天使の祝福・夢喰い 4収録

    ■いたいけな瞳:6巻■

    ○嘘をつかずに男を騙す方法について
    同時に5人の男と付き合い、同じ指輪のプレゼントを5個もらった女は、
    内4個を質屋へ持って行った。が、質屋の主の言うことにゃ1個だけ贋物があると言う。
    自分に贋物を贈った男は誰なのか? 贋物を手元に置き、本物を売りさばき真実を追う。

    ※同時に付き合ったことは皆無。そんな面倒なことは私には出来ない。
    彼にデートに誘われて、女友達との約束の方を優先し、別れたことがあるくらいだもの。
    本当の愛は一つでいい。本当に愛せるという確信は、重ねたデートの数では決まらない。
    私と夫は出会って、2回のデートで3ケ月で結婚した。
    遠距離だったのもあるが、恋と違って愛と結婚とはそんなもんだと思う。

    他、花の眠る庭・ライオンタンポポ・百合の吐息 4収録

    ■いたいけな瞳:7巻■

    ○ピクニック
    太陽の元では生きていけない病気の彼は、いつも夜の公園で1人でピクニックをする。
    そこで拾った指名手配中のテロリスト(2巻:愛が怖くてテロが出来るかに登場)、
    結婚式場をテロリストにぶっ壊して欲しいと願う女。思わぬ事態に賑わう彼の家。
    そんな状況に一人喜ぶ彼の願いとは?

    ※どんな理由があったとしても、テロ行為は嫌い。
    だって関係のない人を殺したからって、関係ある人の心に、それが響いた例がないもの。
    都会の夜は明るいというけれど、北海道に居た時の方が夜は明るいと思った。
    空が澄んでいて星や月の明かりがあったから。
    都会は一見、明るげに見えて、その実、少し陰に入ると暗さが深い。
    違った方向から見れば、また違ったやり方が見つかるはずなのに。
    思い込んだら、もうそれしか手が無いように思うのは、どうしてだろう?

    他、レンタル家族・夢の格子 3収録

    ■いたいけな瞳:8巻■

    ○死は確かなもの 生は不確かなもの
    ある朝、氷を抱いている夢を見た。
    あんまり冷たくて、手がしびれて、目を覚ますと、妻が隣で死んでいた。
    子供の時から死体を見たことがない夫は、部屋のエアコンを冷房にし
    毎日妻と一緒のベットで眠る。南極へ移住することを夢みて。

    ※ジー様もバー様も死んだが、死体は見たことがなかった。
    夫の母が亡くなった時に、始めて見たが、それからは次々と…見ている。
    私の年齢が年齢だからか? 死に出会うことが増え、最後に会ってやってっと言われる。
    でも、いつも思うが…まったくの別モノと感じてしまう。私の知っている彼や彼女じゃない。
    生前と同じと皆は言うが、まったく別モノだと私は思う。でなきゃ、火葬なんて出来ない。

    他、極めて個人的な病気・薄紅・潤む炎(最終話) 4収録


    久々に長々とレビューを書いた。本当に面白かった。
    作者の絵の確かさが、複雑な人の心をよく表現していると思う。
    それぞれの巻に、私の想いを書いた。読んでくれれば解るように
    少し斜に構え、冷静だが熱く、熱いのかと思えば肩すかしをくらうような文章が付いている。
    そんな雰囲気の漫画だったのだ(笑)

    「いたいげな瞳」とタイトルは銘打っているが、同名作品はない。
    「いたいけ」とは、幼気と書く字のごとく、幼げで可愛いらしいの意味もあるが
    子供っぽい痛々しさとか、いい歳してなど哀れっぽい気持ちも含む

    この作品の中には、いたいけな子供も出ているが、いたいけな大人も多く出ている。
    でも、そのいたいけな大人の気持ちがよく解るんだよな~。
    誰もが一度は経験した他人には隠しておきたい「いたいけ」な部分がよく表現されている。
    だからついつい、2度3度と読み返してしまう。

    しかも1度目よりも2度目、2度目よりも3度目の方がより面白く感じるから不思議だ。

    ぜひ、機会があれば、読んでみてくだされ。
    エエ~作品であった。

  • イチゴジュースをからだにかけてちょっと死んでみる。
    お母さん、おどろいて。どうしたのって、いって。

  • 最高の短編集

  • 短編集のような本。どの物語もいろんな方向から考えることができそうで、できなさそうで。
    何回も読み返しました。

  • 漫画連作短編集その1。毎月読みきりと言う形で連載されたもの。内容はバラエティに富んでいてどれも面白いです。とくに面白かったのはコメディタッチの「少女漫画家の瞳には三等星の星が光る」かな。

  • ずっと文庫化を待っていたので嬉しいー。

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