- Amazon.co.jp ・本 (275ページ)
- / ISBN・EAN: 9784091920034
作品紹介・あらすじ
原因不明の奇病「モンモウ病」をめぐる、陰謀と復讐の物語
▼第1話/バザールにて▼第2話/閃光▼第3話/幻のマリア▼第4話/帰郷▼第5話/邂逅(上)▼第6話/邂逅(下)▼第7話/カタストロフィ▼第8話/プログノーシス ●登場人物/小山内桐人(M大医学部付属病院医師・モンモウ病の研究を行っていたが、師である竜ケ浦の企みにより、自らモンモウ病にかかってしまい、世界各地をさまよう運命となる)、竜ケ浦(M大医学部付属病院第一内科医長・医師会の会長を目指し、モンモウ病を利用して業績を上げようと画策する)、占部(M大医学部付属病院医師・桐人とは古くからの仲だが、桐人・いずみと竜ケ浦の板挟みになって苦悩する)、いずみ(桐人の婚約者)。 ●あらすじ/桐人、麗花、村上は砂漠のなかをさまよい、ついに町に辿り着いたのだが、一文無しのため、食事はおろか水を飲むこともできない。そして桐人は、砂漠の中で拾った赤ん坊を死なせたことで深く傷ついていて、金を稼いで生き延びようとする気力もない。そこで麗花は、桐人に禁じられていた「人間テンプラ」を解禁することを決意したのだったが…(第1話)。▼占部に中度の精神病との診断が下された。医師会会長選挙を控えた竜ケ浦は、「精神病患者に診察をさせていた」という事実が明るみに出てはまずいという判断のもとに、彼を医局の名簿から抹消する決断を下す。ところがその時、彼のもとに「占部が病院を抜け出し、いずみを連れ去った」との連絡が入る(第2話)。 ●本巻の特徴/第3巻では桐人の放浪と、錯乱による占部の死、そしてモンモウ病を患った竜ケ浦と桐人の対決を経て、物語の終わりを迎える。 ●その他の登場キャラクター/ヘレン・フリーズ(修道女で、モンモウ病患者。占部にともなって来日する:第2、3、5、7話)、麗花(「人間テンプラ」を得意とする奇術師。異常な性欲の持ち主である:第1、6、8話)、ドクトル・マンハイム(ドイツ人医師で、伝染病の世界的権威。竜ケ浦の説に反対する:第1、7話)
感想・レビュー・書評
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素晴らしい、それに尽きる。手塚作品のお気に入り上位に浮上。
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3巻を読み終わった。
最後のページに本作は1970〜1971年に雑誌に掲載とあった。40年以上も前に描かれたものでも面白く読めるのが、「マンガの神様」手塚治虫の作品だ。
それは人間の業を描いているからに他ならない。
たづはあっけなく殺された。同僚の占部も死んだ。麗花も自分のために死んだ。恨んでいた竜ヶ浦もモンモウ病で死ぬ。
小山内は自分を必要としてくれるところへ、使命の地へ戻った。小山内は生き残ったのだ。
いや、小山内は一度死んで、復活したのだ。
ゆえに、桐人=キリストなのだ。
最後まで読み、第1巻の巻末にある養老孟司氏のあとがきに改めて驚かされる。最後のいずみが桐人を追って旅立つシーン。ここに出てくる飛行機がボーイング社のものだと養老氏は言う。
鳥の目と虫の目。俯瞰的な視点とミクロの視点。賢者は両者を兼ね備えている。
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もよお催し物 人間天麩羅 遠来の 美姫びひめ 原罪感 終末思想 啓示 二十世紀的な魔女思想 ビールス説 懐疑主義者 独断者 カドリン石 人類の叡智など 突然変異ミューテイション ヘレンは占部の子を産んだ 許嫁
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医師でもあった手塚治虫ならではの作品。
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教授との対決が中途半端やな。
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きりひとに関わった女性たちの最期が皆悲しい・・・。でもきりひとは彼女たちによって救われたのだ。きりひとはキリスト。病気を患ったことにより人からの蔑み、差別、憐み、身近な人の死・・・重いものを背負い、人の命を救う。一筋の光が射すラスト。
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医療漫画やけどブラック・ジャックとはまた違うな。
主人公の医者が謎の奇病モウモウ病にかかり、
世界を放浪しながら謎を追究していきます。
医学界の権力闘争や人間関係を織り交ぜながら、
公害病の問題を読者にうったえるのはさすが。 -
神!
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手塚治虫版の『白い巨塔』と評される、医学界の権力闘争を扱った長編。登場人物の誰もが救われることのない、悲しい物語です。テーマの重さもさることながら基本的にどぎつい描写が多く、僕は中学時代に初めて読んだときから怖い印象を強く持っていました。キリスト教の受難の考えなど、深く考えさせられる仕掛けが満載されています。