- Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
- / ISBN・EAN: 9784091920584
感想・レビュー・書評
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1981年から5年半に渡って連載された歴史長編。幕末好きの僕にとってはそれだけでも愛すべき作品なのですが、見事すぎる物語の巧みな構成と登場人物それぞれの魅力(義理に生きる伊武谷万次郎と人情に生きる手塚良庵の対比をはじめとして)を通して、最も好きな手塚治虫作品のひとつです。
終盤、おせきさんに最期の別れを告げに行ったあとの万次郎の無言の2ページがいかに雄弁に万次郎の心境を物語っているか。これからも、この作品を読み返すたびに手塚治虫の偉大さを思うことでしょう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
あらゆる意味で手塚氏にしか描けない作品です。
時代劇物はあまり好きではなかったのですが
このマンガを読んで、価値観が変わったように思えます。 -
婚礼直後、綾が万二郎に離縁状渡されたときに初めて声を出した場面。
良仙が万二郎に線香あげにきた西郷に畳み掛ける場面。
この二箇所で号泣。
良仙は最後に素晴らしいことを言ったなぁ。「歴史にも書かれねえで死んでったりっぱな人間がゴマンと居るんだ……そんな人間を土台にした歴史に残る奴など許せねえ。二度とここへ来るなーッ」って。そりゃあ西郷も怯みますよ…。
素晴らしい漫画でした。時代の流れというものの恐ろしさを感じた。万二郎はものすごく真面目だったし、真っ直ぐだった。少しだけ不器用だっただけで、その不器用さだって責められるほどのものとは思えない。しかしただそれだけの要領の悪さが命取りになるんですね。万二郎のような人間が報われないなんて、日本は間違っている…わたしも良仙と同じく、そう思いました。 -
手塚治虫氏の作品にはかなり敬服するものが多いのですが、この、『陽だまりの樹』もその一つです。
ただし、どの歴史作品もそうですが、いろいろな見方があるので、この作品もそういった見方の一つと見ることが重要かと思います。
いずれにせよお奨めの一つです。 -
時勢に翻弄された人々のいきざまが物悲しい。万二郎は男が惚れる男です。おすすめ。