気楽に殺ろうよ: 藤子・F・不二雄[異色短編集] 2 (2) (小学館文庫 ふA 2)
- 小学館 (1995年7月15日発売)
- Amazon.co.jp ・マンガ (278ページ)
- / ISBN・EAN: 9784091920621
作品紹介・あらすじ
SF的手法を駆使して現代世相を痛烈に風刺した異色短編集!
▼第1話/ミラクルマン▼第2話/大予言▼第3話/老雄大いに語る▼第4話/光陰▼第5話/幸運児▼第6話/やすらぎの館▼第7話/定年退食▼第8話/サンプルAとB▼第9話/休日のガンマン▼第10話/分岐点▼第11話/換身▼第12話/気楽に殺ろうよ▼第13話/ウルトラ・スーパー・デラックスマン ●登場人物/男(やり手の会社社長。毎日の激務の中で胃を壊し、ガンではないかと疑っている)。医師(男の友人。男の疲労ぶりを見かねてアドバイスする)。(第6話)句楽兼人(日星商事のサラリーマン。その正体は「正義」の味方、ウルトラ・スーパー・デラックスマン)。片山(日星商事のエリートサラリーマン。句楽の古い友人)。(第13話) ●あらすじ/▼会社ではやり手の社長として、頼りない専務の息子にいらだちつつ乗っ取りの陰謀と戦い、家では学生運動で留置所から帰ってきた息子を叱りとばし、愛人宅では大金をせびられる。男の神経は極度に張りつめて、疲れ切っていた。相談を受けた医師である友人は、男に一度「やすらぎの館」へ行ってみることを勧める……(第6話)。▼みどりとの挙式を来週に控えた平凡なサラリーマン・海野五郎は、ある日、2人組のヤクザに連れ去られてしまう。拉致された五郎は不思議な薬によって、新しい人生を送りたがっていた暴力団組長と身体を交換されてしまう。組長は五郎の身体のまま、みどりとのデートに出かける。一方、暴力団組長と身体を交換された五郎の方は……(第11話)。▼世の中にあふれているドス黒い悪に憤りつつも、成す術もなかった平凡なサラリーマン・句楽兼人は、ある朝、突然手に入れた超能力で「正義の味方」ウルトラ・スーパー・デラックスマンに変身した! 暴走族から政財界の黒幕、公害企業まで、ありあまる「悪」に鉄拳を浴びせ続けた彼だが、いつの間にやら周りの反応は……(第13話)。
感想・レビュー・書評
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藤子不二雄が二人の漫画家の共同ペンネームだと知ったのは、随分と大きくなってからだ。
どの作品も二人で手分けして書いているのかと思っていたが共同作品は『オバケのQ太郎』が最後らしい。
本書の著者である藤子・F・不二雄さんは、『ドラえもん』『パーマン』
もう一人の藤子不二雄Ⓐさんは、『忍者ハットリくん』『怪物くん』『プロゴルファー猿』『笑ゥせぇるすまん』
というように、別々の作品を描いていたということは、今になって藤子不二雄を調べてみて知った。
これらのマンガは単に面白いから読んだりテレビで見たりしていただけで、藤子不二雄だからという意識は全くなかった。
ただ、後から「これも藤子不二雄の作品なのか」と知って、子供向けのマンガを描く人というイメージを持っていた。
こんなSFチックな社会風刺の作品も書いていたんだ!というのが読後感で、子供には読ませたくない内容が含まれている。
心と体が入れ替わるという物語は映画などでよく見かけるが、たいていは(恋人同士の)二人が入れ替わる。
本書の「換身」という作品は、三人が入れ替わるので誰が誰になっているのか混乱した。
二人なら入れ替わった相手は自分であることが明らかだが、三人だと自分なのかもう一人の誰かなのか分かり難い。
入れ替わっていることを知らない家族も出てくるので、余計に混乱し混乱したまま読み終わってしまった。
何かを問題提起して考えさせる物語が13編。
考えたことがある内容が半分以上でしたが、そこそこ楽しめました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
youtubeの漫画紹介のshortが流れてきて気になった一冊。最近は小説は書籍、漫画は電子で買っていたけど、この本は書籍で購入して良かった気がする。ドラえもんの作者のイメージくらいしかなかったけど、大人向けの皮肉が効いていて、星新一に似た(出会った順番の問題だけど)短くてきれいなオチがとても心地よかった。「定年退食」も行き過ぎているけど想像できる未来の感がぞっとさせる。特に印象に残ったのは、「気楽に殺ろうよ」も間違いないけど、個人的には「安らぎの館」。"きみはもうなにもしなくていい。"の頁はぞっとした。何もしなくていいわけないんだなあと改めて思った。
きっといろいろな想像が膨らむ経済成長のなかで期待と未知の不安を基に描かれたSFを、実現できそうな現代に読むからフィクションにしきれないリアリティが出る。当時とは面白さの種類も違うのかなと思う。そうすると、、現代のSFはどこを見据えて、どんな未来をイメージできるんだろうかと気になった。クルマが空を飛んで、ボタン一つでご飯が出てくるようなよくある近未来的な世界の次を(人類退廃のルート以外で)想像している人はいるのだろうか。 -
「分岐点」のなんとも言えない気まずさが大好き。子どもの誕生日を忘れてど深夜に帰る瞬間、浮気を勘違いされる瞬間、など「いたたまれない」シーンの連続。分岐してもハッピーに終わるという驚愕のオチがまたうっすら恐ろしい。
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これが95年に書かれた漫画だとは思えない。ほんとは疑わなきゃ、怖がらなきゃいけないことばかりなのにそれに慣れてしまっている自分がいて、でもやっぱりそれじゃだめなんだって気付かされた。
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■異色短編集2 気楽に殺ろうよ (全13話)
ミラクルマン
大予言
老雄大いに語る
光陰
幸運児
やすらぎの館 ★最怖。
定年退食 ★寂。
サンプルAとB(作画・小森麻美) ★金属片を挿入。
休日のガンマン
分岐点 ★この寂寥は……。
換身
気楽に殺ろうよ
ウルトラ・スーパー・デラックスマン -
!!
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・定年退食
・宇宙人レポート
が面白い