- Amazon.co.jp ・本 (346ページ)
- / ISBN・EAN: 9784091921611
作品紹介・あらすじ
誰もが秘める後ろ暗い「情念」を、独特のタッチで描いた力作3篇
▼第1話/たけくらべの頃▼第2話/花ごもりの頃▼第3話/にごりえの頃▼第4話/うたまる▼第5話~10話/帯の男 ●登場人物/一葉裏日誌:樋口一葉(「たけくらべ」「にごりえ」などで有名。本作品では、女の情念に突き動かされる小説家として描かれている)。うたまる:歌麿(類稀な才能を持つ絵師)、蔦屋重三郎(江戸時代の大版元。歌麿の才能を認め、彼を養う)帯の男:橘源次郎(凄腕の帯師。人間味溢れる人柄で、絡み合った人間関係をほどいてゆく) ●あらすじ/左官屋の息子正太は、一葉に書道を習っている。彼の父は日々酒に溺れ、全く仕事をしていない。ところがそんなある日、正太が高価な硯を持って一葉の家を訪れる。正太によれば、父が大店の伊勢屋の仕事で得た金で買ってくれたというのだ。一葉が驚いて硯を見ていたそのとき、一葉宅に警官がやってきて、伊勢屋の主人が十日ばかり行方不明になっていることを告げる。不審に思う一葉…(第1話)。▼凄腕の帯師・橘のもとに、近所のレストラン「大正亭」の娘・銀子が訪ねてきた。大正亭はハヤシライスが売り物に繁盛していた洋食屋だったが、彼女の父はバクチに溺れていて、今や店をそのカタに取られてしまいそうだという。それを聞いた橘は、大正亭を訪ね、主人にバクチのいかさまを伝授したのだったが…(第5話)。
感想・レビュー・書評
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情念と洞察力に縁取られた女性樋口一葉を裏がえしてヒョイと覗いた一品。同時収録のうたまる・帯の男もいい味。女性の美しさを描くことだけが上手い人はたくさんいるし、醜さを覗くことだけが上手い人もたくさんいる。でも上村一夫みたいに折って畳んで裏返し、どこから見ても浮いたところが無いのに湿気や匂いを失わない描き方の出来る人は数少ない。やっぱ天才だー。語れば語るほどに読もうよーとしか言えなくなる。
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浮世絵の現代版のような美しい女性達。
消えゆく日本の何かが詰まった、不思議な世界です。
この中には「帯の男」という、芸者の着付けをする帯師の話があります。
こちらも素敵です。