らんぷの下 (小学館文庫 いD 1)

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 111
感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (359ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784091924612

作品紹介・あらすじ

▼第1話らんぷの下/▼第2話/だんぶりの家▼第3話/女傑往来▼第4話/すがの幸福▼第5話/ドライフラワー▼第6話/裸のお百▼第7話/寒雷▼第8話/女傑走る
●登場人物/青木繁(明治時代、日本西洋画の黎明期に実在した西洋画家)、柘植(青木繁と美術学校で同期だった若き西洋画家)、すなほ(柘植の恋人で、青木繁の元恋人)〈以上、第1話〉、私(結婚生活が上手くいかず、現実とのギャップに苦しみながらも、女としての自立を目指す女性)、かんな(私の姪で将来を期待される優等生)〈以上、第2話〉。
●あらすじ/明治42年、日本の西洋画の黎明期。天才画家、青木繁は世間に打って出ようとしていた。一方、その彼に闘志を燃やす若き西洋画家の柘植は、青木の才能を超えたい一心で、激しく自らを駆り立てながら絵を描き続ける日々を送っていた。だが、青木に対して異常なまでのコンプレックスを持つ彼は、献身的に尽くしてくれる恋人すなほのことを、愛しながらも信じられない。というのも、彼女が青木の元恋人だったからだ。そんなある日、柘植はすなほが今も青木の絵を隠し持っていることを知る……(第1話)。▼一人の人間としての自立を目指し、「看護婦人」となった“私”だったが、しかし、職場結婚後、わずか3年でぼろぼろに疲れ果てて、父親の生家へ静養のため戻る。その家で共に暮らすことになった姪のかんなは、成績も良く女学校への進学が期待されていた。かんな自身も秘かに医者になることを夢見ていた。“私”は、彼女を応援したいと考えていたが、その家族は女の医者など必要ないと猛反対しており……(第2話)。

感想・レビュー・書評

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  • 2023年3月14日
    第1話 らんぷの下
    第2話 だんぶりの家
    第3話 女傑往来
    第4話 すがの幸福
    第5話 ドライフラワー
    第6話 裸のお百
    第7話 寒雷
    第8話 女傑走る

  • 格別

  • 稀代の劇画家による短編集。なんて絵が上手いんだ! 江戸(は知らんが)から昭和の日本人の「胴の薄さ」描ける人なんてそうそういないよな。
    8編とも女性がテーマで、若い才能や夢をを否定され、男の欲望の対象となり、愛すれど身勝手や野望に振り回され、ひしがれていく…昔の女性は大変だ…って、おい、今でも日本の女ってこんなだよ。救われるねえなあ(苦笑

  • 劇画調の濃い絵で、作者が女性である事を知って意外だった。

    女性の不安定な人生が共通するテーマであり、女性作家ならではの視点があると思う。

    構図とドラマの作り方(名もない人の儚い人生の悲哀)が、昔の日本映画を見ているような気分になる。

  • 全然知らなかったけれど、幻の漫画家として結構知られているそうだ。
    とにかく絵がうまいな、と思った。そして、まあ、ワンパターンではあるけれど、女性の情のようなものを感じさせる話が絶妙だと思う。

  • 絵がうまいというので読む
    芸大の油絵学科

    駒の一つ一つが様になっている。
    あおりとか俯瞰とか、カメラ位置が達者。
    二十代でこの絵が描けるのはやはり凄い

    ストーリーはミステリ仕立ての
    冬雷と女傑が印象に残る
    あと裸モデル。

    黒田清輝「智・感・情」は、どこかで見た記憶がある
    東京国立博物館所蔵の重文、とのこと

    表題作は青木繁を扱う
    唐沢なをきのパロディの元ネタ。

  • 素晴らしい描写、探究心。そして女性への視点。
    初めて読んだ時思わずうなりました。
    もうひとつの文庫漫画、「茶箱広重」も素晴らしい作品です。

  • 作者一ノ関圭は東京芸術大学油絵学科在学中に
    本作品で第14回ビッグコミック賞を受賞した。
    1975年の事である。
    他に類を見ない程の圧倒的なデッサン力と
    ストーリー構成の確かさ。この作品は彼女(女性で
    ある)の生まれて初めて描いた漫画だというのがまた
    度肝を抜く。受賞時は白土三平の漫画のキャラクター
    からとられた夢屋日の市というペンネームを使用していた。
    寡作の作家で現在は断筆状態であるが根強いファンは
    多く『無限の住人』の沙村広明も影響をうけている。

  • \105

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著者プロフィール

一ノ関圭 秋田県生まれ。漫画家。漫画に『らんぷの下』『茶箱広重』『鼻紙写楽』(以上、小学館)、 絵本の挿絵に『夢の江戸歌舞伎』『江戸のあかり?ナタネ油の旅と都市の夜』(ともに岩波書店)『おおふじひっこし大作戦』(福音館書店)がある。

「2020年 『琉球という国があった』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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