からくりサーカス (16) (小学館文庫 ふD 38)

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 22
レビュー : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784091933584

作品紹介・あらすじ

鳴海に狙われるしろがね。誤解は解けるか?

黒賀村に残り、ギイによる特訓を受けることを選択した勝は、村一番の催しである「人形相撲」に、平馬とともに参加する。他の出場者による妨害にも負けず、勝ち抜く二人には互いに対する信頼が生まれていく。そのころ、仲町サーカスに戻ったしろがねは、彼女の命を狙う加藤鳴海と息苦しい日々を送っていた。

【編集担当からのおすすめ情報】
藤田和日郎の長編第2弾「からくりサーカス」が、待望の文庫化。各巻にポイントを振り返るコラムを掲載し、複雑な物語をわかりやすく解説していきます。また、カバーを外した表紙には、著者の制作ノートからラフイラストや初期設定画などを本邦初公開! サーカス、人形、からくり……3つのキーワードが、時代を超えて絡まり合う冒険活劇を、余すところなく収録する全22巻、人形繰りを学ぶ勝が黒賀村で躍動する第16巻の登場です!!

感想・レビュー・書評

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  • 人形相撲の決勝とともに、勝の戦いも始まる。
    戦闘の見所を描きつつ、平馬の成長もしっかり感じられていいね。
    再会した時の二人の笑顔がグッとくる。
    バスジャック回でバイクに乗ったしろがねと鳴海の関係が昔と逆で印象深い。
    記憶が戻る日は来るのだろうか。

  • ほんと、ストーリーが激しく、魂の奥底から揺さぶられます
    勝サイド、しろがね+鳴海サイド、どちらでも、お互いに負けない変化がストーリーに起きているってのが、これまた、グッと来ます
    これも一種の相乗効果でしょうか

    では、まず、勝サイドから
    雪降る中で催される人形相撲
    多少のトラブルに見舞われながらも、研鑽した実力を如何なく発揮し、ついに、勝は決勝戦に進みます
    まさか、ギィが勝の成長具合を確認するために、相手選手に手を貸すとは思いませんでしたけどね
    やり方は、ちょっと大人げないにしろ、これも彼なりの教え方なんですかね
    もしかすると、鳴海の影響を受け、ちょっとだけ、甘ちゃんになっている可能性もあるかな
    勝が、ここまで、お酒でへべれけになるってのも驚きましたね
    ただ、『うしおととら』の潮も、こんな感じでしたから、藤田先生なりのこだわりなんですかね
    しかし、勝は決勝戦には出れなくなりました
    それは何故か、最悪のタイミングで、フェイスレスが刺客を送ってきたからです
    性格がひん曲がりすぎている奴だから、わざとじゃないか、と疑っちゃうほどのタイミングです
    勝だって、決勝戦に出たかったでしょう
    けど、勝は、しろがねを守る戦いに向かう方を選びました
    平馬との約束を蔑ろにするつもりは、彼にありません
    どちらも守りたいけど守れないからこそ、自分にしか出来ない戦いに自分が出向き、仲間に託せる戦いは頼む、その決断が出来る勝は、本当にすごい、と思います
    しろがねを守る、正二との約束もあるんでしょうが、勝は努力している平馬なら勝てる、と信じていたんでしょうね、きっと
    五郎との決勝戦が始まり、最初こそ、意地を張りすぎて、窮地に陥ってしまった平馬でしたが、自分にとって何が大切か、を思い出し、その大切な人を守るために、自分はどうすべきか、に気付けた平馬は、元からあった才能が開花します
    負けん気の強さに加え、勝から知らず知らずのうちに教わっていた、どんな苦境に追い込まれようと諦めず、足掻き、立ち向かう強さは、平馬を前に進ませます

    勝も、平馬に負けないほどの激闘を、第一の刺客・トルネードラプソディー相手に繰り広げていました
    今更、私がエラそうに言う事でもありませんが、藤田先生の人形のデザインは、本当にセンスがギラついてますよね
    基本的に、あまり、フィギュアなどの立体物には興味がないんですけど、『からくりサーカス』に登場する懸糸傀儡や自動人形のフィギュアなら欲しい、と思えます
    第一の刺客に選ばれるだけあって、トルネードラプソディーの強さは本物でした
    コンクリート片を勢いよく飛ばしてくる「クラッシュンド」は、実に強烈
    勝は、それを、バブルザスカーレットの特性を上手く使い、カウンターし、トルネードラプソディ―へ大ダメージを与えました
    しかし、そこで勝てるほど、甘くないのが、藤田作品の常
    まさか、こんな形態を隠し持っているとは
    再び、追い込まれてしまう勝でしたが、ここでカッコつけて諦めないのも、藤田作品の主人公なんですよね
    大切な人を守りたいから、自分が傷つく作戦を実行できるんでしょう
    頭のネジが飛んでいるんじゃなく、痛みや怖さを受け入れ、乗り越えた上で、こんな無茶をやるから、カッコいんですよねェ
    全部を出し切って勝利し、姉を守れた勝と平馬だからこそ、少年同士の友情が深まったんでしょう
    こんな弟が欲しい、と思った女性の読み手も、きっと、いますね、えぇ
    きっと、私だけかも知れないんですけど、この勝サイドで、個人的に最もグッと来たのは、勝がトルネードラプソディーに、平馬が五郎に勝利するシーンが並べられているページでした
    どこ目線だ、と言われそうですけど、上手いなぁ、と感じました
    あと、「本編~黒賀村へようこそ 第14幕 ふたつの戦いの始まり」、この扉絵にもまた、藤田イズムを感じました

    しろがねもまた、鳴海との関係に大きな変化を迎えています
    尋常じゃない憎悪と嚇怒の念を、鳴海から向けられ、戸惑いながらも、しろがねは彼と良好な関係を再び、築こうと努力します
    その健気な頑張りは、鳴海に通じず、彼のしろがねに対する敵意剥き出しの態度は、仲間との関係も最悪にしていきます
    そんな折に起きた、バスジャック騒動
    『うしおととら』を読んでいる人間なら、きっと、こう思ったでしょうね、「キタ、コレ」と
    戦いで、多くの仲間を失い、守れず、その上、自分が本物のフランシーヌ人形を破壊できなかった負い目を隠す鳴海は、復讐者と変じました
    けど、彼は結局のとこ、冷酷かつ冷血な鬼にはなれないんですよ
    例え、大切な記憶が抜け落ち、憎しみに突き動かされようとも、一たび、子供の悲鳴を聞けば、瞳に熱い炎が戻るんです
    そんな彼だからこそ、しろがねは惚れているんです
    アレですかね、母と娘ってのは、男の好みも似るんでしょうか。しろがねの場合、人間・フランシーヌの記憶も受け継いでいるから、誰かの為に戦える男に魅かれるのかも知れませんが
    普通の人間じゃ太刀打ちできない自動人形相手に、命懸けの戦いを繰り広げてきた鳴海にとっちゃ、散弾銃を持っていようが、凶悪犯くらい、簡単に倒せちゃいますね
    同情の余地は微塵もないんですが、鳴海に瞬殺された男どもには、「相手が悪かったな」くらいは言いたくなります
    犯人どもをぶちのめした鳴海でしたが、時限爆弾の起動を許してしまいます
    勝に、本当の強さと男気を教えただけあって、鳴海は子供らを守るべく、爆弾が設置されたバスを走らせ、この場から遠ざかろうとします
    けど、誰かを守りたい鳴海を死なせたくないのが、しろがねです
    自分は「しろがね」だから死なないって自信もあったんでしょうが、無茶をしますね、ほんと
    ここもまた、お母さん譲りなんでしょうかね
    そんなしろがねを爆発から、身を挺して守る鳴海
    ゾナハ病の治し方を話す前に“壊れる”のは許さないってのもあるんでしょうが、覚えていない、自覚していないだけで、愛がある、と思いたいもんです、私としちゃ
    鳴海から、彼に何が起き、何が彼を変えてしまったか、自分に向けられる怨みの根源を、しろがねは聞かされ、今までに感じた事のない無力感と絶望感に苛まれます
    そんな彼女を支え、鳴海の為に生きよう、と決めさせるのは、やっぱり、純粋な彼への愛情です
    しかし、それにしても、フゥは、フェイスレスとは違った意味合いで、場を乱してくれますね
    情報と理解不足ってのがあるにしても、この勘違いは、ちょっとなぁ、と思っちゃいます
    けど、フゥの思い違いがあってこそ、ストーリーが面白い方向に加速しているんですから、やはり、上手いなぁ、と思うのです
    しろがねだけじゃなく、少しずつ、仲町サーカスのメンバーとも関係が良い方に変化していきそうなので、これからが楽しみです

    この台詞を引用に選んだのは、平馬の強さと同時に、勝との友情を、読み手に強く感じさせてくれるものだからです
    月並みな言い方ですが、人は独りじゃ強くなれません
    男には、一人で戦わなきゃいけない時と場がありますが、その時、踏ん張らせる「何か」には、友情がある、と私は思います
    友情を育むことで生まれるモノが、困難に立ち向かう勇気や、逃げたい衝動に抗う根性、そして、勝利への執念を振り絞らせるんです
    二人が難敵に勝てたのは、姉への思いだけじゃなく、友情パワーもあったからですよね、藤田先生
    (そうだ・・・アイツだ・・・・・・
    アイツがオレに、声をかけた時からだ・・・・・・
    『人形相撲に勝とう!』
    『ぼくも手伝わせてよ!』
    アイツの声がいつの間にか・・・
    『あのヒトのタコ、ぼくらのより小さかったよ』
    オレの背中を押してやがった・・・・・・・・・・・・
    『平馬、こんな時・・・おとなしくかっこつけた、あきらめガオはやめようよ』)
    「オラ、平馬! 人形ごと、ぶっ飛ばんかい!」
    (なんだ、こいつ!?
    こんな奴に負けるかよ!!
    だから、だから、マサル・・・てめぇも負けるんじゃねぇ!!)(by阿紫花平馬、才賀勝、衝月五郎)

  • 鳴海に狙われるしろがね。誤解は解けるか?
    黒賀村に残り、ギイによる特訓を受けることを選択した勝は、村一番の催しである「人形相撲」に、平馬とともに参加する。他の出場者による妨害にも負けず、勝ち抜く二人には互いに対する信頼が生まれていく。そのころ、仲町サーカスに戻ったしろがねは、彼女の命を狙う加藤鳴海と息苦しい日々を送っていた。(Amazon紹介より)

  • 良く出来た展開だなー。しかし、いろいろと誤解なんかが入り交じっている。勝側、鳴海側、それぞれが別の方向から情報が開示されるから、いろいろと齟齬が生じているみたい。しかし、勝があんなに側にきていて、しろがねも鳴海も気付かないもんかねえ?

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著者プロフィール

北海道旭川市出身。1964年生まれ。88年、『連絡船奇譚』(少年サンデー増刊号)でデビュー。少年サンデーに連載された『うしおととら』で91年に第37回小学館漫画賞、77年に第28回星雲賞コミック部門賞受賞。ダイナミックかつスピーディー、個性的ながらエンターテインメントに徹したその作風で、幅広い読者を魅了し続けている。他の代表作に『からくりサーカス』(少年サンデー)がある。

「2007年 『黒博物館 スプリンガルド』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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