カムイユカラと昔話

著者 :
  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (540ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784092643017

作品紹介・あらすじ

囲炉裏端でアイヌの古老が語る、昔話・カムイユカラ・言伝え・子守歌。30年にわたる収集・記録と日本語訳。未発表51作品掲載。

感想・レビュー・書評

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  • アイヌの昔語りの口調そのままに、臨場感に溢れ、生き生きしたアイヌの世界を知ることができる。その物語はどれもおもしろい。
    見目麗しい男女は神と見まごうほど。神はそんな男女に横恋慕して、殺して魂を奪い、神の国へ連れて行こうとする。それは病気の神だったり、下等な獣の神だったりする。そんな神はアイヌに怒られ、体をばらばらにして湿地にばらまくぞと脅かされたりする。すると、神は謝って、自分を神の国へ取りなしてくれ、祭ってくれれば、ずっと守護すると約束する。神とアイヌが対等以上なのがおもしろい。
    男達は熊や鹿を狩り、その頭を祭って祈り、神の国へ、イナウや土産物をたくさん持たせて帰す。すると熊や鹿は、ごちそうになりたくて、ユカラを聞きたくなって、再びアイヌの所へやってくるのだ。物語を途中でやめて続きは次回にと、帰すこともあったという。
    50以上ある物語を毎日少しずつ読み、アイヌの世界に旅する時間はとても楽しかった。

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著者プロフィール

1926─2006年。北海道生まれ。アイヌ文化研究者。学術博士。長年アイヌの民具や伝承を精力的に収集・記録し、1972年には二風谷アイヌ文化資料館を開設、館長を務める。1994年、アイヌ出身者としてはじめて国会議員となり、北海道旧土人保護法撤廃・アイヌ文化振興法制定などに尽力。主な著書に、『ウエペケレ集大成』(アルドオ、菊池寛賞)、『萱野茂のアイヌ神話集成』(ビクターエンタテインメント、毎日出版文化賞)、『萱野茂のアイヌ語辞典』(三省堂)がある。

「2017年 『アイヌ歳時記 二風谷のくらしと心』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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