西の魔女が死んだ

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  • 小学館
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レビュー : 291
  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784092896109

感想・レビュー・書評

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  • まいは小学校を卒業し1か月程たった頃、中学校にはもう通わないときっぱりと母親に宣言した。母はまいに不登校を続けていた理由をたずねることはせず、田舎の祖母の家でしばらく暮らしてみることを提案する。
    母親が単身赴任の父親と電話で話す内容から、自分は母親をがっかりさせてしまったと感じとる、まい。
    祖母にもそう思われてしまうのではないかと不安な気持ちを抱えつつ、大好きなおばあちゃんの家へと向かう。

    久しぶりに会った祖母は、まいと一緒に暮らせることをうれしいと話し、まいが生まれてきてくれたことを、心の底から感謝しているのだと教えてくれた。

    周りに民家のない田舎の暮らし。野菜を育て、家で飼っているにわとりが生んだ卵を朝食にいただく。昼には掃除や庭仕事をし、夜には縫い物をして過ごす。
    規則正しく、丁寧に毎日を繰り返していく祖母。年齢を重ね、経験による実感のこもった祖母の話は味わい深い。まいは特別な能力を持っているらしい祖母の話から自分も魔女を目指して修行することを決める。
    魔女にとって大切なことは、自分で決めることとそれを最後までやり通すことだと祖母はいう。
    そのために生活を見直し、周りの人に流されたり心を乱されることのないよう、自分と向き合っていこうとまいは努力する。

    とても情緒的で、美しい文を堪能できる喜びでいっぱいになる。情景の描写の鮮やかさも会話の中から滲んでくる温かみも梨木さんらしく、うれしくなってくる。
    まいの少女らしいまっすぐな気持ちや正義感、人を思う気持ち。祖母の丁寧な暮らしぶりと穏やかな言葉の中にある毅然とした力強さ。
    読みながら、時間にただ流されて思考停止している毎日を恥じたり、また自分の弱さを認められる強さもあるのだよと背中に手を当てられたような温もりを感じたりした。

    恐らく読んだ時の自分の状況によって感じ方がずいぶん変わってきそうな本だ。誰の立場で読むか。現在自分が対峙しているものは何なのか。その時々で、気づくことも見えてくる情景も大いに変化するだろう。再読が楽しみである。そのとき、私はどのような感想を持ち、その感想にどのような自分が映し出されるのか。

    1か月ほど祖母と暮らした家から、いよいよ自宅へ戻ることを決めた頃、ようやく、まいの口から不登校になった原因が語られる。

    うーん。ここまで待つのは相当難しいよね。
    人は時間の経過(もちろん、人それぞれの時間が必要ではあるが)とともに、自分が整理され、語る言葉を見つけ出す。それを周囲が急かすことなく、同情のような脅しによって追い詰めることなく、じっと待っていられるか。
    こちらがきっかけを与えたとしても、相手が自らそうしよう、そうしたいと決めるのを待つためには、相手を信じ、その人の力を信じ、必ず人は成長するのだと信じるほかはない。

    最後の最後に守られた祖母の約束。亡くなった後に残るその人のぬくもり。
    別れを経験したすべての人に、失った人を愛情に満ちた気持ちで思い出させる余韻を残している。

    追記
    お仲間さんに、「文庫には、その後のストーリーがあるそうだけど、知ってる?」とたずねたところ、「どうだったかなあ・・。うちにあるから、貸しましょうか?」ということで、それを、読むことができました。
    また、あとがきも素敵で、おまけの楽しみを手に入れることができました。

  • 魔女って特別な存在のようだけど、おばあちゃんの言う魔女には、誰にでもなれる可能性があるんじゃないかな。

    毎日を丁寧に生きること。
    周りに流されすぎないこと。
    固くなりすぎないこと。

    シンプルに丁寧に。
    それはきっととても難しいことだけれど。

    私もいつか、おばあちゃんみたいな魔女になりたい。

  • わぁ、なんて素敵なおばあちゃんなんでしょうヽ(◎´∀`)。

    日本のおばあちゃんって、
    ただただ孫を甘やかして、可愛がるイメージしかないけれど、

    外国の人はちゃんと一人の人間として接している人が
    多いような気がしますねぇ。

    こういう自給自足みたいな生活は、私のおばあちゃんもやってたので
    懐かしく思い出しました(人´エ`*)。

    畑とか、保存食作りとか、今そんな古いの流行んないじゃんっていう
    意見もあるとは思いますけど、知ってて損はないかと。。。
    あと戦争中の話も貴重です

  • 不登校になった中学生の少女、まいは、「西の魔女」と呼ばれる祖母のもとで生活することになる。祖母の家系が魔女の血筋だと聞いたまいは、意志の力を強くし、何事も自分で決めるようになるという「魔女修行」を始める。野いちごを摘んでジャムを作ったり、ラベンダーにシーツをかけて干したり、ハーブで草木についた虫を追い払ったりと、自然を感じながら過ごす日々に、まいの心は癒されていく。
    おばあちゃんの言葉の一つ一つがとても心に響き、思い悩むことの多い人にそっと寄り添ってくれるような本だなと感じます。ラストシーンでは思わず涙が滲んでしまいました。自分の子供に読んでもらいたい一冊です。

  • このおばあちゃんのように、地に足をつけて、しっかりと生活が出来たら素敵だなと思います。早く退院して、家の庭仕事をしたいと思いました。
    そうだよな、生きていくことは後悔の連続だよな、とも思いました。

  • 最後の数行で涙がボロボロでました。

  • おばあちゃん本当に素敵な人でした。
    まいがおばあちゃんと過ごす静かで穏やかな時間がとても美しいものに感じました。それだけに透き通った水面に一滴落ちた墨のような、まいがゲンジさんに抱く嫌悪感も印象深いです。

  • 登校拒否を続けている中学生の女の子が、一時期おばあちゃんと暮らしたときのお話し。
    おばあちゃんは外国人なので、日本語がぎこちなく、少し読みづらかったが、おばあちゃんとはなんて温かく大きな存在なんだろう、ということを改めて教えてもらった作品です。
    おばあちゃんのことを思い出してしまいました。

  • 星は4つですが、、もう少し細かくつけられるなら、4.5です。

    まず本全体の雰囲気がとても好きです。

    考え方、生活、まさに理想とする世界でした。

    主人公の少女と共に、感動し、泣きました。

    誰が正しいと、考え方を押し付けず、一歩引いた視点も好きです。

    ラスト5ページに静かに胸を打たれました。

  • 最後に出てくるシーンがとてもいい。
    亡くなった人への後悔って多かれ少なかれ誰でも持っていると思うが、主人公は最後の一言によって救われた。読後感が良かった。

著者プロフィール

梨木 香歩(なしき かほ)
1959年、鹿児島県生まれの小説家、児童文学作家、絵本作家。
『西の魔女が死んだ』で日本児童文学者協会新人賞を受賞。映画化もされたこの受賞作が最も著名な代表作となる。
ほかに新美南吉児童文学賞、小学館文学賞を、『裏庭』で児童文学ファンタジー大賞、『渡りの足跡』で読売文学賞随筆・紀行部門をそれぞれ受賞。
受賞作以外の代表作として、『家守綺譚』、『沼地のある森を抜けて』、『ぐるりのこと』などがある。

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