こんとんじいちゃんの裏庭 (創作児童読物)

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 69
レビュー : 11
  • Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784092897571

作品紹介・あらすじ

真実を追究する少年の奮闘物語

作者村上しいこさんは、今、最も注目される児童文学作家です。ほのぼのとした幼年童話や絵本が多く、子どもたちにも人気のある作家ですが、初めての長編『ダッシュ!』が大変好評で、その後長編としては、2作目となる『歌うとは小さな命のひろいあげ』で野間児童文芸賞を受賞しました。それぞれ少年少女の抱える問題や社会的テーマをリアルに描き出し、次々と問題作を発表しています。
今回の作品は、昨今の大きな社会問題となっている"認知症老人"と暮らす家族の物語です。
いっしょに暮らす呆けちゃったじいちゃんが、ある日交通事故に遭って意識不明となります。にもかかわらず車を運転していた人に損害賠償請求をされてしまいました。法律のことなどよくわからない両親は、「なぜ?」と憤りつつもどうしていいかわからず、言われるままに支払ってしまいそうになります。横目で見ていた少年は、「絶対におかしい!!!!」と、どうしてこんなことになってしまったのか自分で調べはじめます。社会の仕組みに納得いかない少年の前に、生死をさまようじいちゃんが、ふらふらと現れて、「暮らすってどういう意味だ~?」なんてぼけたことをつぶやいたりします。少年は、納得のいく真実を見つけることができるのでしょうか?
ちょっとユーモラスに、ちょっと少年探偵風に、難しい問題を解き明かします。

【編集担当からのおすすめ情報】
問題作を次々に送り出す児童文学作家村上しいこさんの渾身の書き下ろしです。深刻な問題を、淡々と進撃に追求していきます。そして、問題を掘り下げていくのは、中学生の少年。
多くのテーマが秘められた一冊です。

感想・レビュー・書評

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  • 中学3年の悠斗が、コンビニで女性店員を蹴ったことで警察への同行を求められていたところ、認知症の祖父が行方不明になった。発見された祖父は、交通事故に遭って予断を許さない状況だったが、意識レベルは低いながら安定したので、別の病院に移ることになった。ところが、事故の加害者は、謝罪しないばかりか損害賠償まで請求してきた。納得できない悠斗は、この事故について自力で調査することにした。難渋する彼に、先のコンビニの店長が協力を申し出る。

    自身の傷害事件とその後の周りの大人の対応、祖父の認知症・交通事故と損害賠償、祖父と大切にしてきた庭とそこの木々、コンビニ店長と彼の抱える事情……、いろいろな要素がからまる中生きていく思春期の少年の姿を、軽いタッチで描く物語。

    傷害事件を起こして警察に取り囲まれてもさほど動揺しない少年に驚く。また、彼の母親も、頭のいい彼を信用しているのか、何をしても干渉も心配もしない姿が印象的。
    さらに、加害者である少年のが未だ謝罪もしないのに、調査に協力を申し出るコンビニ店長に疑問。

    警察で調書を調べたり、弁護士さんにお話を聞いたりといった部分の、法的な考え方には興味が持てそう。

    あまりにいろいろなことを盛り込んであるにも拘わらず、さらっと軽く描いてある点に違和感を覚える。

    私にはよくわからない作品。

  • 事故にあい昏睡状態になったおじいちゃんに損害賠償の請求がとどき、真相を追究しはじめる中2の少年の話。

    少年は警察や保険会社など色々な場所に出向き、色々な大人に会う。その中で、世の中の不条理や大人たちの抱える事情にふれ、そのうちに少しずつ、人と関わること、人へ優しくすることに対して前向きにとらえるように変化していく。

    事件の展開が気になり、少年の感情が揺れ動きながらも変わっていく様子にひきこまれ、どんどん読み進めてしまいました。

    小4娘も一気読みしてました。

  •  悠斗(中3)は、コンビニで作業していた女性店員を邪魔だからと蹴ってしまう。家に刑事たちが来て、その隙に認知症のじいちゃんが家から出て交通事故に遭う。じいちゃんは意識はなく、こんとんとした状態。じいちゃんをはねた人は、自分は全く悪くないと主張。後日、保険会社から損害賠償の催告書が届く。悠斗は、事故の真相は知ろうとする。
     学校では、担任や生徒指導の先生からコンビニの事件のことで指導される。その時のことで先生のことを信頼できなくなった悠斗は、学校に行かないことにした。

  • 中学生の尾崎悠斗は、教師とのモヤモヤを抱えて立ち寄ったコンビニで、いらついて店員を蹴って逃げてしまう。店長が警官と共に悠斗の自宅を訪れた時、騒ぎの間にアルツハイマーの祖父が失踪し交通事故に合ってしまう。一命はとりとめたものの意識不明に。老人の自転車と車の事故、それでも祖父が赤信号で横断していたということで、車の運転手は謝りもせず車の修繕費まで要求してくる。絶対におかしい!!
    教師の対応から不登校を決めこんだ悠斗は、物言えぬ祖父の事故の真相を突き止めようと調べ始める。

    中学生らしい正義感から、教師や周囲の大人の態度に違和感を抱く悠斗。ついイラついて感情をむき出しにしてしまいそうになる。しかし事故の真相を追求する過程で、ずるいと思っていた大人達にも、それぞれが抱える悩みや迷いがあり、イラつく気持ちを抑えているのだと気が付いていく。

    悠斗の成長は、大人になってしまっている私から見ると、良かったと思える本だった。現実の中学生は、どう感じて読むのだろうか。

  • 村上しいこってもっと上手い作家だと思ってたけど。
    いらついた主人公がいきなりコンビニで店員に暴力をふるう最初のシーンが(ジュブナイルとしては)衝撃的なんだけど、暴力をふるうほどのイライラの理由がわからない。県展に三年生で一人だけ選ばれなかった。祖父の介護で家庭がギクシャクしていた。それだけで?
    なんだか共感できない主人公なんだよ。
    そんなにいらついてるなら祖父に対しても愛情よりは家庭内トラブルの原因なんだから怒りをぶつけてもおかしくないのに、なぜか祖父には素直な少年なんだ。
    この本のいいところは事故の際の保険や法的対応が書いてあること。中学生には、とてもためになると思う。
    しかし、中学生が一人で保険会社や弁護士を訪ねて、ここまできちんと対応してもらえるのか。こういう場合は普通、大人が、いくら忙しくても保険会社や弁護士に連絡とるはずで、中学生の息子に任せるってことはない。被害者なんだし、車の運転手は無事なのに、自分の親は意識不明なんだから、払えって言われたら、面倒だから払いましょうとはならない。中学生を主人公に持ってくる以上、こうせざるを得なかったとしても、物語として不自然。
    さらに、まだ死んでない祖父の霊(生き霊?)が出てきて、本人は認知症の末事故で意識不明なのに、孫にナイスなアドバイスを与えてくれるのは都合良すぎないか?
    友達や先生も出てくるが影は薄い。

  • 青少年向けの作品ながらほろ苦さの残るラスト。ひどく現実を突きつけられる感じ。

  • むしゃくしゃしている中学3年生の悠が、もたもたしているコンビニの店員をけったところから物語がはじまる

    認知症で徘徊していたじいちゃんが交通事故で意識不明になり入院
    相手方からは逆に損害賠償を請求されてしまう

    部活顧問である担任や生徒指導の教師らとの軋轢から学校へ行かなくなった悠は、祖父の賠償責任に納得がいかず独自の調査にとりかかる

    祖父を入院させた山奥の病院での出会いと介護の現実
    警察や保険会社、弁護士など、大人の欺瞞と妥協に少年の純粋な正義感がくだかれていく

    「少年の成長物語」ではあるが、“さわやか”とは言えない
    できごとすべてがすっきり解決、とはいかず、読後に残るもやもや感

    そこに射すひとすじの光がこんとん=混沌を解きほぐしていく

    青春短歌三部作で新境地を開いた童話作家村上しいこの意欲作

  • 中学生の悠斗はイライラしてコンビニの店員を蹴ってしまった。店長と警察が家までやってきたが、ちょうどそのとき、認知症のじいちゃんがいなくなっていることに気付いたため、家族も警察もじいちゃんを捜すことになった。じいちゃんは、自転車で走っている途中、車にはねられ、病院で意識不明となっていた。ところが、はねた車の運転手が、じいちゃんを訴えるという。悪いのはむこうなのに、何故?
    大人の世界の理不尽さに、どうしても抵抗したい悠斗は、事故の真相を調べ始める。

  •  認知症のじいちゃんが交通事故に遭った。自転車のじいちゃんをはねた男は、じいちゃんが悪いと言って賠償金を請求してきた。何で?
     事故現場を見た悠斗は男が嘘をついていると考え、何とかじいちゃんの名誉を挽回したいと1人で奮闘するが、なにせ中学生なので、大人に相手にされなかった。

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著者プロフィール

村上しいこ(むらかみしいこ)
三重県生まれ。
『うたうとは小さないのちひろいあげ』で第53回野間児童文芸賞受賞。おもな作品に「へんなともだち マンホーくん」シリーズ(たかいよしかず・絵)、「七転びダッシュ!」シリーズなど。
ホームページ
http://shiiko222.web.fc2.com/

「2021年 『用具室の日曜日 カミナリこぞうときえたふくろう』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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