療育なんかいらない!: 発達障害キッズの子育ては、周りがあわせたほうがうまくいく (実用単行本)
- 小学館 (2016年10月20日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784093108539
作品紹介・あらすじ
発達障害の子育ての常識がひっくり返る!
「療育」とは発達障害の子が社会に適応するための「訓練」。
療育に象徴されるように、発達障害の子どもを取り巻く環境は、社会の常識や枠組みに組み込もうとするものばかり。
だから子どもには負荷がかかり、親は子育てがストレスになる。
川崎市で発達障害の子の放課後等デイサービスを運営する著者のもとには、毎月百人ほどの保護者が発達障害の子育て相談にやってくる。
相談にのっていて一番気になるのは、保護者が一様に暗く、疲れていること。
「こうあるべき」という親自身の子どもへの願望や、世間で流布されている子育ての常識の枠にわが子をはめ込もうとしてはまらず、思い詰めているケースがほとんどだという。
本書は、そんな保護者に対して著者がいつも答えるように、マツコデラッックスばりのユーモアたっぷりの一刀両断トークで、縛られがちな発達障害の子育ての常識や固定観念を次々とブチ壊し、読者にポジティブな気づきを与えていく。
著者の息子・自閉症児「がっちゃん」の破天荒な日常エピソードをコミックで織り交ぜながら、
発達障害の子育てをエンジョイするまったく新しい方法を提案します!
感想・レビュー・書評
-
・療育で出来るようになったのではなく、成長によるもの。
・療育は自閉症を前倒しするのではなく、出来ることを先取りする。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ABAは動物を抑制する方法論
療育は不安と思える行動を強制的に訓練するという「抑制」の発想を基本としている。
抑制するから抑圧に変わる。すると子供は?、、、
ありのままで過ごせる居場所。
-
著者の息子さんも自閉症。しかもかなりの重度のよう。初めて体験で四苦八苦しながらもがいて過ごした経験談も含め、そもそもの話も出てくる。
うんたしかに。言われたらそうだ。
不安に感じる事も多々あり考えることも多い。ただ、彼らは普通に生きてるし。彼らからしたら俺は異星人。なんか、不安を払拭してくれる本です。なかなか挑戦的な題名ですが決して否定してるわけじゃないので。読んでみる価値はあると思います。 -
著者のこれまでの人生と、親族の自閉症が発覚してからの人生の転機と、そこで考えたさまざまな施策をしっかりと形にした事業所を築き上げている点、素晴らしい。読んで良かった。
-
おもしろい人がおもしろいこと作ったんだなあという。
すごいなあと思うけど、働きたくはないかも(笑)
いろいろと参考になったし、ヒヤリとしたところもあり。共感するところもたくさんあった。
この日本でなかなかできることではないだろうから、がんばってほしいし、こういうところ増えてほしいなとも思う。
わたしも、やれることはやりたいな。
-
本書は他の発達障害や療育について書かれている本とはまた少し毛色の違った本でした。
筆者は元ヤフーの中の人。お子さんが自閉症だったことをきっかけにロサンゼルスで9年間、療育を経験。その後帰国して日本で放課後デイサービスを開設したという経歴の方です。
一般的な育児書でもそうですが、発達障害児向けの多くの育児本で書かれているのは「テレビ、ゲームは最小限。タブレットやスマホなんてもってのほか」「子どもが小さいころからスマホやタブレットを持たせると、自閉症になる(またはひどくなる)」と言われ、DSもタブレットでYouTube見るのが大好きな子どもがいる私は恐怖感と罪悪感でいっぱいでした。
ところが本書では
「IT機器をさわるから自閉症になるのではなく、自閉症だからIT機器が好きなだけ」
「コンピューターができる前に自閉症になった人はなぜ自閉症になったのか?」
と書かれていました。考えてみれば確かにそう。これ読んで少しホッとしました。
とはいえ、IT機器に触らせる時間が増えると他のことができなくなるから多少は控えたほうがいいかもですね^^;
また本書のテーマである「療育」について。
子供が小さい間は「療育」で発達障害が治ると思っていましたが、おそらく、小さいうちの療育で治る子はほんの少しの発達の遅れがあったので、療育的アプローチで健常児に近づける程度の子だったということだったのかもしれません。「療育」は発達を促す効果はあるけれど、その子のもともとの脳のクセにまで切り込むことはできない。日常生活で困らない程度に近いところまでできることを増やすことはできても、「できないもの」はできない。
でも、子どもが小さいうちは期待してしまいます。
「療育を受けさせていれば、普通の子になれる、近づける」と思って熱心に療育を受けさせます。それこそかかる金額の高い安いにこだわらず。
ところが本書にありました。「子どもが小さいうちは親が療育に熱心だけれども小学4年を過ぎると、とたんに療育を言わなくなる」療育は子どもが小さいうちでないと効果が薄いと言われているので、療育よりもその子の居場所作りのほうが重要になってくるのだということです。
そこで筆者は「居場所として考えるなら、子どもに療育をして周りに合わせさせるよりも、周りが子どもに合わせたほうがうまくいくのではないか?」と言います。この考えが本書のタイトルになっています。
療育につかれた親御さんにぜひ読んでみてほしい本です。
そうそう、本書に「日本の福祉と学校は、なぜダサい?」という章がありますが、これらがあまりに「あるある」で笑ってしまいました。
牛乳パックで作った作品、いくら子どもの作品と言われても、持って帰られたら始末に困ります。(写メ取って処分しますが) -
療育は治療ではない、適応していく訓練である。
自閉症は治る・治らないというものではない。
そこがわかっていることは大事だと思う。
療育に妄信的に取り組むのではなく、その子がありのままいられる居場所をつくるということ。
ほどほどに、きっかけとして。
いいなと思ったのは、著者が当事者で、かつ自分の出来ることをばりばりやっているところ。
改めて、発達障害って新しい分野だし新しいやり方への挑戦が必要なんだなと思った。
たしかに、日本の発達障害周りはダサくて地味だよなぁ。。
幼稚園教諭として、集団生活の中でどのように対応していくべきか考えながら読んだ。 -
痛快な語り口に、最後まで楽しく読みました。
保護者の立場で、子どものためにがっつり療育に携わってこられた著者が、その結果何が見えてきたかを明快に紹介してくださっています。
安心して笑えるのは、根底のところに人権を守る意識があられるからだと感じました。
自閉症は「治す・治さない」という議論にそぐわないこと、
自閉症キッズがありのままでいられる居場所を作る、
というところが印象的でした。
自閉症の方の特性について、著者の方がどのように研究を重ねていかれるのか、その点も興味深く思いました。
今後の展開も楽しみな一冊です。