- Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
- / ISBN・EAN: 9784093423816
感想・レビュー・書評
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雑誌「Domani」に連載していたエッセイ集で、大人の女性や働く女性に対するお話も多い。
小川さんの人柄が好きになり、その作品に触れたくなった一冊。
小川さんは、道行く様々な人の背後にある暮らしや仕事、人生を想像し、尊敬と愛情の目で世の中を眺めている。小川さんの手にかかれば、どんな人生もどんなに慎ましい暮らしも、掛け替えのない物語に溢れた素晴らしい人生に思える。
小川さんの小説の源泉はこういう愛情溢れる心なんだなと思って尊敬するばかり。
毎日新聞からのエッセイ「とにかく散歩いたしましょう」を読んだ時にも感じたけれど、話中で紹介される本が、今回も自分の好きな本ばかりで嬉しくなる。枕草子や錦繍や思い出トランプや…名作ばかりだから一致して当たり前かも知れないけれど、またしても小川さんと気が合うような気がした。しかもタイガースファンだし。
書き留めておきたい一節は「ただごとではない人生」という話から。
”若い時は大いばりで生きていればいい。少しずつ、(人生が)ただごとでないのが分かってくる。何の前触れもなく、静かに試練はその人の背中に舞い降りてくる。仕事で取り返しのつかない失敗もするだろう。大事な人を失うこともあるだろう。でも慌てる必要などない。必ず救いの道は用意されていて、それを探すことこそが、生きることなのだから。” -
毎日の中でスルリと零れてしまいそうなひとコマを
大切に丁寧に書かれたエッセイたち。
不平不満をこぼさず、たくさんのことを
じっと我慢して超えてこられたお料理の先生の
謙虚な笑顔と誠実な人柄のお話。
大好きな須賀敦子さん、堀江敏幸さん、
柴田元幸さんの話もうれしく、
「枕草子」に対する想いに、そうそう!と
うれしくなったり。
人を結びつける本の話もとても素敵だった。
同じ本を読んでいるだけで、とても話が弾んだり
言葉にできない深い繋がりを感じたりする。
読書ツールでの出会いも然り。
たかが1冊、されど。
人との縁、結びつき、大切にすること、
丁寧に続けていくこと、楽しむこと。
たくさんの優しさに心が柔らかくなる読後でした。 -
作家・小川洋子さんのエッセイ。
著者の人々に注ぐ暖かなまなざしが感じられ、優しい気持ちになれる本です。
中心から少し視線をずらした時、世界の見方が変わることがある。
心に沁みました。 -
エッセイとは知らずに手に取った。
とても、とても素敵だった。小説もすごく好きだけど、小川洋子さんのあたたかな人柄がにじみ出た本当に素敵な1冊でした。
なんだか知らずに抱えていたやるせなさとかかなしみとか、いろんな思いをふっと軽くしてくれるような、そんな本だった。素直に心の奥まで染み込んだ。今の私に絶対に必要だった気がする。出会えてよかったなぁとしみじみ。 -
小川洋子さんがとても好きになった。
温かくて、面白くて、時には考えさせられるとこも。自分をダメダメ人間のように言ってしまうトコも。いつのまにか、一緒にいさせてもらっているような気持ちになる。
中心から少し視線をずらすこと。はっとした。 -
初、小川洋子作品。
エッセイで小川洋子さんの世界が垣間見れたような感じ。
ほのぼのしていて、ところどころ「そうそう!」と共感することができる。
小川さんの小説が読みたくなった。-
お返事遅くなってすいません!
夏場から仕事が多忙で
その後身体壊して
1ヶ月入院してました(汗)(≧∇≦)
小川さんの...
お返事遅くなってすいません!
夏場から仕事が多忙で
その後身体壊して
1ヶ月入院してました(汗)(≧∇≦)
小川さんの作品って、
異国情緒溢れて、
どこかグロテスクだったり、
エロチックだったり、
変なんやけど(笑)
決して品性を失わない文体があるから
当たり前のように
変を受け入れてしまえるんですよね(笑)(^_^)v
エッセイはまだ読んだことないんで
興味津々です!(^O^)
2012/11/29
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未読だった小川さんのエッセイ。とてもよかった。
小川さんの書かれるものを読むといつも、ああこの人は少女なのだなあと思う。「少女」という言葉にはひどく手垢が付いていて、できれば他の言い方をしたいのだが、なんと言ったらいいのだろう。
日頃は一人前の大人として、何気ないふうにやっかいなこともこなしているけれど、そのこと自体にどうしようもない違和感がある。なんだか自分だけ「人生ごっこ」をしているような非現実感がつきまとう。それは自意識過剰以外の何物でもないとはわかっているが、いくつになっても「大人たちが作っている社会」というものをおそるおそる遠巻きにしているような気持ちが抜けない。
うーん、やっぱりうまく言えないが、私は作者のエッセイからこんな感じを受ける。そしてそこがとても好きだ。自分自身は小川さんのように繊細ではなくてガサツでおおざっぱだが、おろおろした子どものままの部分も間違いなくあったりする。そんなものはない方がいいと思ってしまいがちだけれど、小川さんの文章を読んでいると、その途方に暮れた子どもをそっと包んでもらっているような気がするのだ。
これはいわゆる「泣ける本」では全くないだろうが、私は何回も涙を流してしまった。大人になって良いことはたくさんあるが、何遍でも思いだしてそのたびに心を温めてくれる記憶が積み重なっていくこともその大きな一つだと、あらためて教えられた。誰かに大事にしてもらった記憶、誰かを慈しんだ記憶は消えることがない。それを忘れなければなんとかなるよね。 -
前に読んだことがあるのでは?と思いながらも借りてきて、やっぱり私は小川洋子さんの文章が大好きなのだと再確認。どれも好きだけれど特に「当たり前の愛情」。猛暑だった今年は紅葉が遅れているらしいけれど、そろそろ宮本輝さんの『錦繍』を読む季節になりましたね。
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雑誌『Domani』に連載されたエッセイを集めてできた本。小川洋子さんの日常からの様々な所感が主に若い女性に向けて肩肘張らずに綴られている。2009年発行、当時の出来事に思いを馳せるのも面白い。民主党政権誕生、2006年はトリノオリンピックで荒川静香が金メダル。エッセイにも名前が出てくる高橋大輔が2022年現在、まだ現役続行してるとはこのとき誰が想像していただろうか。