堀文子画文集 命といふもの第3集 名もなきものの力 (サライブックス)

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  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (112ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093434379

作品紹介・あらすじ

「自分との果し合いを続ける事が私の掟」。大正7年生れ現役日本画家の作品集。

感想・レビュー・書評

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  •  雑誌『サライ』に「命といふもの」と題して連載されているエッセイをまとめた画文集。これは、その第3集。
     90歳を越え、2回の大病に見舞われてもなお好奇心も創作意欲も衰えを見せない生き方には驚嘆させられる。大正生まれなのに、明治生まれの人のような気骨が感じられる。「品の良さと芯の勁さ」は、幼き日に関東大震災や2.26事件を間近に体験したことからくるものらしい(『ホルトの木の下で』と題した自叙伝もある)。
     名もなき命に満ちた自然に対する優しさと熱い思いが、女性の手になるものとは思えない剛直な文章と絵から伝わってくる。バブル期の日本に愛想を尽かし、イタリアに移り住んだことに触れている。外敵との攻防を繰り返しながら、負け戦などではびくともしない強靱な民衆の魂がイタリアの風景を作っているのを見て、「思想から風景がつくられる」ということを肌で感じたという述懐が印象的だ。経済優先で国土を破壊し尽くし、原発で国土を失っても、なお原発を再稼働させている日本。「国や破れて山河有り」と謳ったのは杜甫だが、人類の生み出した文明は、いまや山河も破壊する力を持ってしまったことに思い至る。日本は、思想から作り直さないと、新しい風景も生まれないことに気付かされる。

  • 年齢を感じさせない絵。それにかける思いを感じる。こうした年代の方は日本の将来を憂いているんですね。

  • ●日本画家(93)

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著者プロフィール

1918(大正7)年、東京・平河町生まれ。女子美術専門学校(現・女子美術大学)卒業。52年、上村松園賞を受賞。60年より3年間に渡り海外を放浪する。帰国後、神奈川県の大磯に転居、74年、第一回創画会出品、以後創画会を中心に作品を発表する。81年軽井沢に、87年イタリアのアレッツォにアトリエを持つ。同年神奈川県文化賞受賞。著書、画文集に『トスカーナの花野』『時の刻印』『命の軌跡』他多数。

「2021年 『人生の達人・堀文子の生き方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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