平家物語 (日本の古典をよむ 13)

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 161
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093621830

作品紹介・あらすじ

宿命にあらがえぬ人間を描く、軍記物語の最高傑作!義経や義仲が縦横無尽に駆けめぐる-。あらすじと現代語訳付き原文で、すらすらよめる新編集。

感想・レビュー・書評

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  • 改めて、日本人の基本的な価値観はこれではないか、という気がしてきた。

    「おごれるものは久しからず」「盛者必衰」は厳密には違うことを言っている、が、並べてごく自然なのは、要は盛者は必ず奢る、と思っているからだ。
    それでいて、一旦没落し始めると記述は一気に平家びいきになる。敗れ去るものをめでる、という日本チックな美学はここで完成したのでは、とさえ思わされる。

    また、そもそも平家が成り上がるまでは、朝廷の小役人は頭角を現す平忠盛(清盛の父)をいじめ倒す。やむに已まれず正当防衛すると、今度は「宮中に刀を持ち込んだ、コンプラ違反」と騒ぎ立てる。言い分を聞いた上皇が忠盛は悪くない、と許すと「取り入っている」と妬む。うんざりするほど典型的な日本型組織が描かれる。

    今も全国津々浦々の学校で「紅白」に分かれ、「応援合戦」する、という形で我々は源平の戦いの様式を継承している。現代語訳を読んだ後なら原文も割とすらすら読める。まさに日本語がここでほぼほぼ完成した、と言えるのかもしれない。

    「耳なし芳一」のラフカディオ・ハーンもあるいは平家物語=日本と思っていたのではないか・・・

  • 超ロングセラーは、そうなるだけの面白さがやっぱりある。
    この本は原文・訳文、さらにコラム、巻末に解説等が付いて、学生でも親しめるようにしてあるもの。惜しむらくは、有名な章の抜粋ということ。でも筋が分かるように工夫されている。

    古典でわかりにくいはずなのに、感情移入できたことにビックリ。平家だけでなく、源氏側のゴタゴタについてや、今の一般的人物イメージとはちょっと違う容姿を伝える文章があったり、平家にもいろんな性格の人がいたりと、結末は分かっていても、読ませるだけの力があった。
    そして、初めて一通り『平家物語』を読んだことの満足感!気が向いたら抜粋じゃないのにも挑戦してみたい。

  • 国文学の授業で取り上げられているので。
    平家物語の覚一本から主要な部分を抜粋。日本語訳つき。
    因果応報、正義は勝つという物語性の中、計画的・戦略的に二項対立を行っている。完全な善もなければ悪もない。善は悪が、悪は善が存在するからあるものとでも言うかのように。平清盛も死んだときにはその死を悼む人の訪れは帝以上。父の敵、平家打倒を掲げて挙兵した頼朝も保身のため身内すら手にかける。かの義経も無計画・無謀、明らかに勝てる相手には強気だが、能登殿の勝負からは体よく逃げ出している。背を向けて逃げなければ逃げてもいいのか。あの破竹の勢いはどこへやら。そんな善も悪も持つたくさんの人物たちが拡散しないように諸行無常でさりげなく序文にまとめあげている。
    解説にもあるが、平家物語はたくさんの異本が存在し、結末も違う。ひとの手によってその姿は色々に変わる。それでも全体の骨格としての物語性はどれも同じだ。揺れ動くもののなかでただ一つ変わらない真理、どんな人でも必ず死ぬ。それを秘めている。
    戦闘場面の描写はまるで時代劇を見ているかのように動的だ。実際の戦闘ではありえないことも起きているにもかかわらず、すごくドラマティックで本物みたいに信じ込まされてしまう。そんな祝祭的表象が平家物語にはいくつも登場するが、鎌倉時代の安定期、同時の人々にとって平家物語を読んだり聞いたりすること自体が非日常(祝祭)だったのかもしれない。

  • 初心者向けの古典を楽しむ本。
    現代語訳もついているので、小中学生でも手にとりやすい一冊でした。
    実際、私も小学生のときに読んでいたと思います。

  • 読みやすい本です。
    古典に対するとっつき難さを払拭してくれました。
    (2007.7.10 初版)

  • 平家物語に関する書籍で売上ナンバーワンだとか。諸行無常、盛者必衰など、無常観にあふれた世界に浸りたくなることがときどきある。特に、若い頃信望した団体や人物の限界を思い知らされたときには。そして、それに気づかぬ善人が自分の周囲に多くいることを知ったときにも。

  • 読みやすい!

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