ユーコン川を筏で下る

著者 :
  • 小学館
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感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093665483

作品紹介・あらすじ

75歳、イカダの大冒険!

《ぼくのカヌー人生の中で、ユーコン川は、すべてを放りだして娑婆と縁を切り、漂流し、自由を謳歌する最大最良の場所である》。
1980年代に日清チキンラーメンのCMでカヌーブームを巻き起こした著者が川を旅することになった原点は、1975年『ナショナル・ジオグラフィック』誌に載ったユーコン川イカダ下りの記事だった。ユーコン川は、カナダ北西部からアメリカ・アラスカ州をへてベーリング海へ注ぐ総延長3700キロの大河。75歳を迎えた著者は、2013年8月、仲間とともにイカダを自作し、中流域700キロの川下りに挑戦する。
イカダ上でゴールドラッシュ時代の作家ジャック・ロンドンの伝記を読み、焚き火のまわりでは世界各地の旅人たちと語り合う。初カヌーでユーコンを下る日本人美女。20代の姪の娘に語る昔日の逸話。先住民と仲良くなる方法。ユーコン離婚。シングル・マザーの処世術。若い娘の口説き方。8月のオーロラ…。 2000年前から変わらぬ風景と、120年前のゴールドラッシュの記憶。不思議な歴史感覚の中を散歩しながら、さまざまな人生をユーモラスに語る、野田紀行文学の代表作にして、若き日本人への励ましの書。


【編集担当からのおすすめ情報】
「世界一の川、それは日本の川だ」。
1938年生まれで、高度成長期以前の日本の自然を体験しており、南極以外の世界中のあらゆる川を旅してきた著者の言葉には含蓄があります。
ほかにも胸に深く届く名言が続出する一冊です。

感想・レビュー・書評

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  •  「汽車に乗って1000マイルいっても、バカはいつまでもバカのままだが、カヌーで100マイルもいけば、その人は自然児になる」
     あるカナダの元首相の言葉である。

     カヌーイストの筆者は齢75才にして、アラスカのユーコン川を筏で下る24日間の旅に出た。

    「三〇代の終わりに離婚したとき、ぼくは自分の人生を、こつこつ働いで作り上げることをやめ、放り出した」

     なぜ川下りをするかといえば、楽しいからの一言に尽きる。
     しかし、日本社会ではそれが理解されない。
     だから、アラスカまで来てユーコン川を下る。
     ユーコン川には世界中の川仲間が集まる。

     川で出合った人たちとのふれあい、筆者の経験からの言葉、何もない荒野の自然が語られる。
     死んでいない状態が生きているということではない。
     生きる力とは何かを、雄大に流れる川に問う。

  • ユーコンに行きたくなっちゃう本。

    川遊びの鉄人・野田知佑氏の新刊。ユーコン川の主要部分を、筏を組んで、2匹の犬や仲間のカヤックと共に下っちゃう話である。

    多少の冒険はあるが、基本的にはのんびり・まったり、流れの赴くまま、気の向くままに約3週間を過ごす。釣りをしたり(ところによっては旨い魚が入れ食いらしい)、焚き火を囲んだり、行き合ったカヌーイストや先住民などとダベったりと、滅っ茶苦茶に楽しそう。つい、憧れが募っちゃいますね。

    ところがそこは野田御大、たゆたう大河の上から、遠く日本の現状にも思いを馳せる。川がダムや砂防施設によって壊されていく。先住民がかつて必要な分しか獲らなかった鮭だが、筋子を日本の資本が高値で買うようになって資源を圧迫している。日本の若者がユーコンへ来なくなった。などなど。官憲の狭量や親世代の過保護によって、どんどん「遊び」が萎縮しているともいう。

    「日本人のお節介はとどまるところを知らない。人間が自立してないとこうなる。」(P136)

    実に楽しくて、やがて実に寂しい話である。

  • 先日モンベルに行ったら野田さんのトークが店内に流れていて、その声がなんだかおじいちゃんになったなあと、ちょっと寂しく思っていました。
    が、その後この本を読んで、やっぱり野田さんは野田さんだーと安心しました。

    20代の時に野田さんの本に出会い、大いに影響を受け、自然環境について(特にダム)真剣に考えるきっかけを与えてもらいました。
    と同時に、遊びの楽しさや自由に生きる意味など、人生において大切なことをいろいろ教えてもらった気がします。まあ私より数倍夫が、ですけど。

    自由でいるための孤独や強さなんかも理解できる年齢になり、今は野田さんをあらためて尊敬しています。
    シンプルライフを貫ける人間は本当の強さを持った人だと思います。

    ユーコンいいですね~。大自然の雄大さに心が浄化されました。
    筏は、今の年齢ならではかも。いつでも本気で遊ぶ姿が眩しいです!
    写真、もっと載せて欲しかったなあ。

  • 僕の人生の師の一人野田知佑氏が、ユーコン川を筏で下った!正しく最新刊!久しぶりだなあ。もう本出さないんじゃないかと悲しい気持ちでいたのでウキウキでした。何しろまた冒険に出てくれたのがとても嬉しくて、75歳になってまだ攻めているのが励みになります。僕も80歳まで歌いたいなと思っていますので。
    さて、内容ですが今までとは違い仲間たちと筏でのんびり下りながら懐かしい人々との再会や、新たな出会いを書いてくれています。新味ははっきり言ってありませんが、以前の文章の引用やエピソードの紹介が、今まで読み続けてきた身としてはかえってジンとする感じでした。人間いつまでも若くいられるわけではありませんが、限られた時間を精一杯生きたいです。昔は彼のエッセイを憧憬を込めて繰り返し読んでいましたが、今は僕も自分の世界を構築し今でも挑戦しています。いつの間にやら野田学校は卒業して一読者として純粋に楽しめるようになったかもしれません。

  • この人の本は、基本的に孤独だ。
    仲間(や犬)がいても、なぜか川の上に1人浮かんでいるように見える。
    ただし、それこそが、タフでワイルドな川遊びなのかもしれない。

    野田知佑さんの作品を年代別で読んでいくと、基本的に、同じことの繰り返しで成り立っている。(主張は幾分、マイルドになっていくけど)。
    自然を相手に、川で遊ぶ、と言うことは、そう言うことなのかもしれない。

    アウトドアでも、部屋の中でも、1人でしっとりと読みたい本。

  • ちょうど読んでいたら訃報を受けた。なんだか野田さんらしいな。中学の時からずっとファンでした。色々ありがとうございました。

  • 野田さんの最新の長旅活動エッセイ、といっても2013年で今から7年も昔だったりする。
    しかし70過ぎてわんこ2匹つれてユーコンを筏で川下りしちゃうんだから野田さんは大したもんだなあと本当に尊敬してしまう。

    あと80、90年代ののエッセイと読み比べると日本以上にユーコン流域は変わってしまったような印象を受けた。グローバル化の波ですこし寂しいけど、まあそんなもんでしょう。

    ますますユーコンに行きたい気持ちだがコロナが...、仕事も11月後半から忙しくなりそうで、その他にも色々あって、(本の感想では無くなっちゃったけど)自分の状況も刻々と変わってきてるなあと感じる昨今です。

    もっと馬力をあげて遊びつくさないと、自分!!!

  • カヌーイストがユーコン川を丸太で作った筏で下る紀行文。適当な文章でよかった。釣りとカヌーをしたくなる。

  • 約1ヶ月かけて、筏でカナダのユーコン川を下る体験話。
    筏を組み立てるところから始まる。
    筏でユーコン川を下りながら、過去の体験話、出会った人の話、一緒に旅している人たちの話、日本の川に対する想い、カナダ人、アメリカ人、ドイツ人がいかに川下りを楽しんでいるか、エンジン付きのボートがいかにつまらないか、などなど、が書かれている。
    東京に住んでいると、今や川遊びをする人なんて皆無のような気がするが、もちろんいるだろう。
    しかし、1ヶ月休暇を取って、海外の川を下るという気持ちにはなかなかなれないな、と思った。
    まずは1日でも川遊び(カヌーでも筏でも)体験してみないと、野田さんには近づけないだろう。
    川下りは無理だとしても、自転車にテントを積んで旅するくらいはしてみたい。いつか。

  • 私の本棚に毛色の違う本が・・・野田さんの本を読んだのは30年ぶりくらい。相変わらずカヌーイストとして頑張ってというか楽しんでいるんだなぁと羨ましくなりました。現地の日本人ガイド『熊谷芳江さん』の事が書かれていてニマニマしてしまいました。北海道のあの番組のファンならわかるでしょう(^。^)

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著者プロフィール

熊本県生まれ。早稲田大学文学部英文学科卒業。在学中、ボート部で活躍。卒業後ヨーロッパを放浪。帰国後、高校の英語教師、旅行雑誌の記者を経て、エッセイストに。傍ら、カヌーによる川旅に打ち込む。これまでに日本の一、二級河川約200を漕破。さらに北米、ニュージーランド、ヨーロッパにまで活動範囲を広げている。長良川河口堰問題や川辺川ダム建設反対運動、吉野川可動堰問題などにかかわり、講演などを行う。

「2008年 『イギリスを泳ぎまくる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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