エクソシストとの対話

著者 :
  • 小学館
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感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (267ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093792196

感想・レビュー・書評

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  •  イタリアで取材し、現代のエクソシストに迫ったノンフィクション。

     映画『エクソシスト』のイメージが強いが、バチカンが正式に任命しているエクソシストの姿はちょっと違う。彼らは心理学や精神医学と親和的で、精神疾患の可能性を除外した上で初めてエクソシストを行う。その数は依頼数の2%程度。魔女狩りなどの暗い歴史を持つ協会はエクソシストに極めて慎重で、その扱いは消極的だ。
     さらに、エクソシストの患者(?)の人達も映画とはかなり違う。彼らは長く続く不定愁訴に悩まされ、長期に渡りエクソシストを受ける。その様はある種のカウンセリングである。
     作者はエクソシストとシャーマン、心理学(カウンセリング)は同一線上にあると考えているようだ。

     確かな取材に根づいた極上のオカルト・ノンフィクション。心理関係の人は必読。

  • 「エクソシストって何ですか?」と、並々ならぬ好奇心を抱き、近くの教会に一人聞きに行った中学生の頃。まぁ上手くはぐらかされてしまったけどw
    キリスト教には公式のエクソシストがいて、ヨーロッパでは広く受け入れられているらしい。
    この書は彼らにインタビューをしたノンフィクション。
    エクソシストって何かな?と、ちょっとでも興味あるのなら是非読んで!

  • 長年エクソシストとして奉仕したカンディド神父のエピソードは、感動的かつ不思議。悪魔払いの場には確かに神の実在があると思う。
    心理学と悪魔つきの関わりにも切り込んだ興味深い内容。

  • 良く取材をしている良作
    バチカン•エクソシストを読む必要はなかった

  • 心の癒し。

    悪魔に憑かれた人々から、悪魔を祓う人。エクソシスト。
    私にとってそのイメージはあるホラー映画に出てくる悪魔祓いのシーンだった。
    少しずつ宗教というものを学ぼうとしているのだが、教科書を学ぶような正攻法と並行して興味のある分野から入ることもしている。

    悪魔(を含む存在が証明されていないものたち)の実在は度々論争の的となるようだ。
    個人的には否定する根拠がないこともあり、いるかもしれないと考えている。
    実際に生きている身としてはその存在の有無よりも、それらがもたらす影響の方が実生活において重要だろう。

    現在は悪魔祓いも近代化され、近代医療と連携をとりながら行うことが重要だと主張されている。
    実際に訪ねてきた人々の僅かが悪魔憑きと判断され、精神科医や心理療法を紹介されるらしい。
    手段は色々でも結局は患者が悩みから解放されれば、悪魔祓いでも精神療法でもいいように思う。
    ストレスや思い込みで人は不調になる。それを解消するのが例え思い込みであっても、悪魔祓いが功を奏するならそれでいいだろう。

    人を廃人にするにはたった一つの言葉でいい。
    それなら、回復させるのも一つの言葉で出来るのかもしれない。

    その人の心を癒すことは、病を癒すことより重要だ。

  • 一線で活躍するエクソシストたちへの丹念な取材と対話によって、日本人には馴染みのないエクソシズムという文化に切り込んだ労作。

  • エクソシストについてのノンフィクション。といっても超常現象のような記述はほんの一部で、大部分は一人の著名なエクソシストを軸にして、公式エクソシストについてと、公式エクソシストをめぐる現在とその歴史が明快に描かれている。
    知らなかったことを知るのは楽しい。中世ヨーロッパを覆い尽くした悪名高い魔女狩りが、国によってはまだマシなところもあったとか。キリスト教がずっとイスラム教を弾圧していたとか。昔のキリスト教にとって悪魔というのは異教徒のことだったとか。聖職者になりたい子どものための修道院のこととかも。ヨブ記の解釈も新鮮だった。悪魔は神に愛されている人に惹かれる。苦悩を超えた先にある深淵に触れることで人はより偉大になるのだ、という解釈だ。
    物事には色んな面があって、知れば知るほど目に映る世界は豊かに美しくなる。

    娯楽のつもりで読み始めた本だったのに、信じたいと思っていることが書かれていた。不思議な縁を感じる。人は必要な時に必要な物や人に巡り会うようになっているというのは本当かもしれない。

    『エクソシストは語る』ガブリエーレ・アモルス
    『愛 その他の悪霊について』カルシア・マルケス
    『魔女狩り』ジャン・ミシェル・サルマン
    『肉体と死と悪魔』マリオ・プラーツ
    『悪霊』コッラード・バルドゥッチ
    『天使と悪魔』ハーバード・ハーグ
    『悪魔、悪魔学、魔女』ヘンリ・A・ケリイ
    『魔術都市トリノ』ジュデッタ・デンバッハ
    『魔術への旅』チェチリア・ガッタ・トロツキ
    『心理学者とエクソシスト』アモルス
    『ニュートンの錬金術』
    『今昔物語』
    『胎児の世界』三木成夫
    『きつねつきの科学』高橋紳吾
    『神の国』アウグスエティヌス

  • 映画に合わせた対談でこの本を知りました。
    元々この世界は嫌いじゃないので、ちょっと興味あるなと読んだわけですが
    これが意外に面白い。
    構成がきちんと練ってあるから作者の意図がぶれない。
    一本筋が通っているのでただの興味本位とは全く違うアプローチで
    読んだこちらも意外な事が次々と出て来て、驚きと一種癒しのようなものを感じました。
    ノンフィクション大賞を受賞したということですが、作者の姿勢の良さに安らかな気持ちになった一作です。
    エクソシストという言葉に惑わされず、現代の社会心理学などの一冊としても興味深い本です。

  • ノンフィクション作品でリアルエクソシスト!

  • 五十嵐大介「SARU」の元ネタらしいので
    そりゃ読まなきゃでしょ

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著者プロフィール

島村 菜津:ノンフィクション作家。福岡県出身。東京藝術大学芸術学科卒業。十数年にわたって取材したイタリアの食に関する『スローフードな人生!』(新潮文庫)はスローフード運動の先駆けとなった。著書に『フィレンツェ連続殺人』(新潮社、共著)、『エクソシストとの対話』(小学館、21世紀国際ノンフィクション大賞優秀賞)、『スローフードな日本!』(新潮社)他。最新作は『バール、コーヒー、イタリア人~グローバル化もなんのその~』(光文社新書)。

「2017年 『ジョージアのクヴェヴリワインと食文化』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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