トオサンの桜 散りゆく台湾の中の日本

著者 :
  • 小学館
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レビュー : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093797467

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  •  「日本にまだサムライはおりますか?」
    皇民化教育で育ったトオサンたちは、日本への忠誠よりも祖国への郷土愛を強く持ち。 古きよき日本の武士道精神を重んじ、それはまるで日本人より日本人らしい人々でした。トオサンたちは、「教育勅語」をそらんじ、数々の日本の歌を流暢に歌い、日本統治下の公学校で教えられたとする、「礼儀」「正直」「勤勉」「人間愛」「清潔」「時間厳守」「約束を守る」「犠牲的精神」を頑なに守り続けています。彼らは、 我々日本人が既になくした「日本精神」を持っています。
    日本語を学び、大和心を胸に秘め、戦後台湾を生き抜いたトオサン(多桑)たちの「苦闘 の60年」に迫るノンフィクション意欲作!台湾でアンケートを実施、日本人へのラスト・ メッセージを一挙掲載。

  • 不思議なタイトルに惹かれて読みました。図書館で借りたので所持していませんが、ぜひほしい本です。なかなか台湾文化に日が当たることの少ない日本ですが、こんなにも日本のことを思い、複雑な思いを抱きながら生きてきた「トオサン」たちがたくさんいらっしゃる台湾のことを、上辺だけではなくもっと知りたいと思いました。台湾と日本について考えさせられるノンフィクションの傑作だと思います。

  • 台湾にいまだ数十万いる「マインドが日本人な日本語族=多桑(トオサン)」の思い出話を集めたノンフィクション。

    「日本が50年間、台湾を支配してその経済運営やインフラ基盤、教育政策をつくったからいまの台湾の発展がある」という、”日本が実はいいコトしてた”的主張が、小林よしのりの『ゴー宣』以降有名になってるけど、そういう“上から目線からの知ったか”を嫌い、ひたすら
    「子供のころ習った言葉が、た~またま日本語だった台湾に住むおじいちゃんたち」
    の思い出話を集めることに執念を燃やしてる、著者の意気込みが感じられる本。


    日本がいいことしたor悪いことしたという「後付の歴史」にまどわされず、ひとりひとりのじいさまたちの、日本語・桜・家族・そして日本という国への我々以上に深い愛情、外省人(中国本土から逃げてきた国民党系中国人)への反抗心や複雑な思い、現代日本に対する失望など、フツーの台湾人の思ってるコトが口語体で書かれていて、非常に読みやすい。


    巻末のじいさん数百人へのアンケート報告は圧巻!
    この人、大学に”いるだけの教授”を完全に凌駕するくらい、フィールドワークしてる。

    この本でいちばん感動したポイントは、中国・日本・台湾の国同士のいさかいとか歴史なんかクソみたいなもので、
    「人生に必要なのは金八先生じゃ!」って実例エピソードの多さ。

    いい先生、尊敬できる先生との出会いがいかに大切かってことが、じいさんたちの実例として書かれていて、20ページに1箇所はうるうるするポイントがある。

    なんのことはない、子供の教育に熱心な先生がたまたま日本人で、たまたま台湾にたくさん派遣されていて、教えを受けた台湾の子供がたくさんいたって、シンプルな事実。
    たまたま日本人だった“いい先生”の教育を受けた子供たちが、70歳とか80歳になっても恩師への感謝を忘れず生きてきて、今になっても先生の名前を覚えていて、教えられた道しるべを心の支えにしてるって話の連続に、涙チョチョリーナ。

    しかも、戦後・北海道に赴任した恩師に「寒いでしょう」って、その体を心配する手紙を、和歌にしたためて送った教え子のおじいさん…みたいなエピソードがいっぱい載っていて、なかば強制的に涙が引きずり出されちゃうんですわ。

    “台湾の日本語族”に興味を持って読み始めたら、歴史より大事なのは先達から教えてもらえる“生き方”“教え”なんだって単純なコトがしみじみ伝わってくる、いい意味で裏切られるノンフィクションの名作。

  • 2009年3月31日

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