- Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
- / ISBN・EAN: 9784093797795
感想・レビュー・書評
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昭和のスーパースター植木等。その実像に触れる。著者の植木等へのリスペクトが諸所に感じられ、読み終わった後はじんわりと温かい気持ちになれる。世代ドンピシャでは無いので全盛期は知らないが非常に充実した内容で興味深く読んだ。おすすめです。
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最晩年の植木等さんの聞き書きを中心に、小松政夫や谷啓らへのインタビューも含めての植木等一代記。
会心の仕事です。そりゃあ植木等という人のものすごさというのがあるからこのページ数を一気に読めるくらいに内容に富むものであったのは違いないけれども、聞き書きをしてまとめた側の愛情に感動する一冊です。ちょっとでも売らんかなの姿勢が見えると、案外読者ってわかってしまうものだけれども、純粋に植木さんの一代記をまとめたかったんだな、という姿勢が伺えるのです。
こういう仕事を見ると、もの作りって「売れるための努力」と「いい芸をする」というのが両極なわけではないと思います。なんかどうしても、「芸術至高主義」vs「商業第一主義」みたいな物の見方をしてしまうけれども、それだけぢゃなくて、「人を喜ばせることが自分の芸の上達になる」式のモノの考え方は、もっと出てきていいんだろうなぁと思った。
が、その辺の自助的な仕事が出来るのも、結局は植木等という大人物が素材であるおかげなんだろうなぁ……ということになるのだけれども。
植木等の両極として、スターを輩出して戦後の芸能界を産み出していったナベプロの社長、渡辺晋との交流も並列で書いているところがなんだか心憎い。なんかその、今現在の芸能界で、なぜビッグネームが生まれないのか? みたいな部分もよく考えさせられる一冊だった。
完成度の高い伝記だと思います。