スローな未来へ~「小さな町づくり」が暮らしを変える~

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  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093798082

作品紹介・あらすじ

日本10地域とイタリア現地取材渾身レポート。"ないものねだり"から"あるもの探し"へ。自分たちの町は自分たちで創る。自分たちの暮らしは自分たちで守る。-ここには、日本の地方都市の未来に関わるヒントが込められている。

感想・レビュー・書評

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  • ・行政任せにしない市民力。

    ・日本人が最も取り戻すべきは、(イタリア人のような)
     郷土愛と揺るぎない誇り。

    ・都心から通えるオーガニック先進地
     「食とエネルギーの自給」を目指す小川町。

    ・とうふ工房わたなべの「逆流通革命」

    ・地域を元気にするには、料理人と知識人、生産者という
     三者がタッグを組むこと。

    ・地域活性化とは、住民に活力と気力がみなぎっているかということ。

    ・地産地消も、地域の料理力を上げるのも、普通の主婦からが一番。

    ・森林維持対策としての「企業の森」

    ・楽しそうに暮らしている人、何事にも前向きな人には、引力がある。
     郷土への愛着もいっこう隠そうとしない。そういう大人たちの作る
     磁場に、若者たちは理屈抜きで感応するのかもしれない。

    ・海士町 島前高校に「地域創造コース」という学科を設ける。
     高校生がが商品開発や実地のガイド、町づくりをしていくことで、
     郷土愛が深く、起業家精神に富んだ人材を育てたい。

  • 冒頭の「『何にもねえところだな』...新しい町や村に出かけて行くと、私たち日本人はまるで呪文のようにそう唱える。そばにいた人も必ずと言ってよいほど『ほんと、何にもないね』と共感する...」を読んだ時、自分もしょっちゅうその通りのことをしていたことに、はっとさせられた。

    国内どこに行っても似たような街ばかりになり、都会と同様の均質な便利さを享受できる一方、その土地ならではの、旅人を惹き付けるものは失われてしまい、無理をして一部だけを切りとった形でしか楽しむことができなくなっている。欧州に行けば、長い歴史に耐えて美しく保存された街並みがいくらでもあるが、彼我の違いの原因をいくらあげたところで、一度損なわれたものを元の通りに戻すことは難しい。

    しかし、人間のやることには振り子のように、行き過ぎたものには修正しようとする力が必ず働く。本書は「日本でもっとも美しい村」連合(NPO)に登録された町村の生き生きした活動を紹介する。それぞれの町村にそれぞれの苦労、事情、目指したい姿(未来)があり、興味深い。

    その中で共通項として本書が伝えたいメッセージは「食」と「エネルギー」の大切さであると思われる。この2つを自給できることが自信となり自立した地域組織の運営を可能とする、という考えは説得力がある。

    すべての過疎地が一気に再び活性化する、というような想像は現実的でないにしても、きっと我々の未来は少しずつだが、確実に変わっていくだろうと信じているし、そうならなければならないと思う。東京のような都会で、自分の周囲だけを見ているとなかなか見えづらいものだろうと実感しているが、都会と田舎はつながっているのだ。それがどれだけ大切なことかを教えてくれる良書だと思う。

  • 地産地消。中央集権的な生活基盤を支えている地方を住みやすく意識改革、啓発する一冊。
    食育、住環境、時間的ゆとり、自然、景観…非日常を求めてではなく、あるものを活かしてないものを生み出して、整えていくエネルギーに満ちている。
    日本での場合は福祉、医療、教育、利便性がネックかな。挙げられた例は知名度の高いところが多くまた行ってみたい場所も多く取り上げられていた。
    こういう生き方が出来たらいいと思う。

  • 今、ここで始めよう。
    と、思わせてくれる一冊。

  • Iターンしたくなる本。


    メモ
    埼玉県小川町
    奇数月の土曜日隔週で見学受け入れ
    北海道美瑛町
    日本で最も美しい村(NPO
    美瑛選果(農協
    アスペルジュ(レストラン

    フランス、ゴルデス村、家の値段が一億五千万。美しい景観を持つ農村が高い経済価値を手にしている。ヨーロッパとのカルチャーショック。いずれ日本もそうなるのでは。

  • 村力 人力の魅力に圧倒される。
    訪れてみたい 過ごしてみたい、住んでみたい美しい場所が沢山紹介されていました。
    このような場所がどんどん増えていくと 素敵だ…

  • 理想的な姿だと思う。
    そしてこのスローなまちづくりが日本を変える可能性は存分にある。

  • ―ここにしかない「人」と「景観」そして「食」を守る―
    日本の地方都市の活性化・本当に豊かな生活を送るためのヒント。

    ●スローフードの哲学とは、すなわち〝大地とつながっている〟という感覚です。
    ●イタリアでは、経済が低迷し、ヴァカンスに使う予算を人々が削減したといわれた後も、美しい自然が残っている場所では、観光客が減っていないという。
    ●この島でしか見る事ができない美しい景色とこの島でなければ食べられないおいしい料理がある。それだけのことさ。
    ●景観というのは、もてなしの心、そして風景は暮らしのたたずまい。・・・日々の暮らしを大切にする人たちがいて初めて、美しい町は育っていく。
    ●景観はホスピタリティ。・・・住民が衣食住に満足していなければ、遊びに行きたくなる町も村もありえない。
    ●(ドイツのある宿の主人)我々は百年以上の歳月をかけて「静けさ」「自然」「水」を守ってきた。
    ●天栄村では、四、五十年前までは完全に〝エネルギー自給〟と呼べるような暮らしが残っていたんですよ。(福島県天栄村)・・・何よりそこには、自然に寄り添いながらくらしていくすべを知っている、環境時代における人生の師がたくさんいるからである。
    ●豊かな森とよく言うけれど、本当に豊かな森というのは、人の手が入って、鳥が飛んで、木漏れ日が入り、風が吹く森のことです。
    ●中江藤樹の平等思想の背景には、〝植物からわれわれの体がつくられているからには、太陽エネルギーによって生かされている。つまり、われわれはみんな地球の子供だ〟といった壮大で、エコロジカルな宇宙観があったようだ。
    ●小さいことの美しさ。小さければ、より人の顔も見えるし、人と自然も近しい関係にある。

  • ちょっと冗長かつ情緒的すぎる気もしたが・・・田舎の生活もいいなって思った

  • 単なる村おこしと何かが違う。
    いわゆる工業的な産物というか人工的な何かではなく、その土地に古くからあるものを見直して、古くからの知恵とともに生きる。またその生き方を紹介することにより、村の活気を取り戻す。そんな流れが著書のタイトルである「スローな未来」への道ではなかろうか。
    本書はヨーロッパで始まった「美しい村」の制度を日本にも取り入れ、「最も美しい村」としてあげられたいくつかの町・村について、そこでスローな未来を目指しての取り組みとその人々を紹介する本である。
    今の自分は都会に暮らしていて、便利さと快適さを追求するあまり、都会に生かされているという感が否めない。著書に書いてあるような暮らしをチャレンジしてみたいと思っても、思うだけであって現実を変えられない。まいど、そんなもどかしさを考えながら、日々2時間通勤している。

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著者プロフィール

島村 菜津:ノンフィクション作家。福岡県出身。東京藝術大学芸術学科卒業。十数年にわたって取材したイタリアの食に関する『スローフードな人生!』(新潮文庫)はスローフード運動の先駆けとなった。著書に『フィレンツェ連続殺人』(新潮社、共著)、『エクソシストとの対話』(小学館、21世紀国際ノンフィクション大賞優秀賞)、『スローフードな日本!』(新潮社)他。最新作は『バール、コーヒー、イタリア人~グローバル化もなんのその~』(光文社新書)。

「2017年 『ジョージアのクヴェヴリワインと食文化』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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