- Amazon.co.jp ・本 (331ページ)
- / ISBN・EAN: 9784093798297
作品紹介・あらすじ
玉砕の戦場を生き抜いた兵士たちの「遺言」。大反響、戦争ノンフィクションの決定版三部作第二弾。
感想・レビュー・書評
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三部作の第二部。第一部では空の特攻を中心に、この第二部では陸の玉砕を中心にその「戦史ではなく体験」と「記録ではなく証言」を描いた作品。
第二部まで拝見させて戴き、生の証言に圧倒され、戦争の現場の表現しきれない凄惨さを垣間見ています。特に陸の凄惨さは言語に絶します。これら極限の状態で発揮される「愛国心」「ユーモア」「人間の情」「誇りと勇気」「人間のさが」「運命」・・・。
私自身の言葉でこれらの体験・証言の感想を綴るのは難しいです。本書第九章「ソ連軍急襲「占守島」の激闘」で、北海道分割統治を「終戦後に」命をかけて防いだ体験・証言が記されています。その証言の一部をここに紹介させて戴き、感想にかえます。バトンを受け取り、次の世代へつなげる役割の一部を担うことを誓って。
(占守島について)私たちは終戦後に戦ったわけですから、無駄死にだったという人もたくさんいました。しかし、やはりあの戦いには意味があったということが最近わかってきて、ああ、俺たちが頑張った甲斐があったんだ、と思うようになりました。やはり今の平和というのは、あの時代に戦った人たちの犠牲の上にあることは間違いないと思います。今の平和自体が、戦友が無駄死にでなかったことの証明でもあると私は思うんですよ。死んでいった戦友たちに対する最大の慰霊とは、そういう事実を、子や、孫や、そういう世代に知ってもらい、その思いを引き継いでいってもらうことだと思うんですよ。【帝国陸軍少尉 武蔵哲】
---以下、第一部の読了時感想---
現代日本 ・現代に生きる我々の礎となり、あの戦争を自ら戦って頂いた先輩達が、我々後生の日本人に託した想いを正確に知りたい。そういう想いでこれまでも、それなりの数の書物を手に取らせて戴いてきました。本書は、それらの書とは少し違っていました。
本書は著者自ら本書で著しているとおり、「末端の兵士たちの実際の体験や思い」に焦点をあて、「当時主力として戦った元兵士を日本全国に訪ね歩き、その痛烈なそれぞれの体験を忠実に再現したノンフィクション」です。
著者の高い取材能力・事実と知識を区別するジャーナリストとしての誇り・質の高い文章力が「家族と祖国のために自らの命を捧げた若者たちに対する、後生の日本人としての尊敬と感謝を込めた鎮魂歌」とするに相応しい一冊を生み出しています。
諸先輩が後生に託した想いを理解し、それを引き継ぎ、それに少しでも報いることができるように行動し、それを次世代に伝える。一生をかけて取り組むに相応しいテーマだと思います。
本書は、この取り組みを具体的に助けてくれる良書です。 -
陸軍の話は本当に悲惨。…という一言ではとても間に合わないです。証言者の方々は、その死と隣り合わせが普通だった、覚悟して出征してきたから死ぬのはこわくなかった、自分が生き残れたのは運命としか思えない、と口々に語っている。それを普通としなくてもよい今の世の中が本当に有難い。
巻末にある、終戦後のソ連の侵攻というのが大変勉強になった。だから北方領土問題があるのかと納得した。
読みやすいし、わかりやすいしで、小学校高学年程度でも読めるでしょう。辞書片手に読ませてもいいと思う。もっと早く読みたかった。次の「大和沈没編」を早く読みたい。