太平洋戦争 最後の証言 第二部 陸軍玉砕編

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  • Amazon.co.jp ・本 (331ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093798297

作品紹介・あらすじ

玉砕の戦場を生き抜いた兵士たちの「遺言」。大反響、戦争ノンフィクションの決定版三部作第二弾。

感想・レビュー・書評

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  • 戦場では、死のうと思って死ねるもんでもないし
    生きようと思っても生きられるもんでもない
    とのこと

    ウインド・トーカーズを見てサイパン戦のことを
    知りたくなり読む

    戦後に始まった占守島でのソ連軍との戦いも激烈

    英国人の卑劣な行為に驚く
    現地人、塹壕に足を繋いで逃げられないようにして
    闘わせたとか、病院の日本兵たちを焼殺したとか

    機関銃とか、持っている薬とか戦力さにもかかわらず
    日本兵はよく闘った

    18 ガダルカナル、米と豪との線上
    52 グアムでの米兵捕虜第一号、日本との戦争知らない
    59 ポートモレスビー、マッカーサー捕獲を狙う

    69 敵兵の肝をすする
    74 ガダルカナルの兵隊、パラオで栄養とらせて帰国。そのままの姿だと負け戦とすぐ判明するから
    84 米軍のバター、機関銃に塗ったら塩分で錆びる

    104 インド兵への扱い。塹壕に鎖。前線はグルカ兵
    120 悪い靴が当たったら歩兵はだめ。裸足では歩けない、インパール作戦
    133 戦車の差

    146 米軍、逃げる者は女も子供も撃つ。投降には寛容
    174 サル、へびを食べたレイテ
    187 レイテ、死にに行ったようなもの

    248 ピアノ線、触れると蛍光物質が服につき撃たれる

  • 三部作の第二部。第一部では空の特攻を中心に、この第二部では陸の玉砕を中心にその「戦史ではなく体験」と「記録ではなく証言」を描いた作品。

    第二部まで拝見させて戴き、生の証言に圧倒され、戦争の現場の表現しきれない凄惨さを垣間見ています。特に陸の凄惨さは言語に絶します。これら極限の状態で発揮される「愛国心」「ユーモア」「人間の情」「誇りと勇気」「人間のさが」「運命」・・・。

    私自身の言葉でこれらの体験・証言の感想を綴るのは難しいです。本書第九章「ソ連軍急襲「占守島」の激闘」で、北海道分割統治を「終戦後に」命をかけて防いだ体験・証言が記されています。その証言の一部をここに紹介させて戴き、感想にかえます。バトンを受け取り、次の世代へつなげる役割の一部を担うことを誓って。

    (占守島について)私たちは終戦後に戦ったわけですから、無駄死にだったという人もたくさんいました。しかし、やはりあの戦いには意味があったということが最近わかってきて、ああ、俺たちが頑張った甲斐があったんだ、と思うようになりました。やはり今の平和というのは、あの時代に戦った人たちの犠牲の上にあることは間違いないと思います。今の平和自体が、戦友が無駄死にでなかったことの証明でもあると私は思うんですよ。死んでいった戦友たちに対する最大の慰霊とは、そういう事実を、子や、孫や、そういう世代に知ってもらい、その思いを引き継いでいってもらうことだと思うんですよ。【帝国陸軍少尉 武蔵哲】

    ---以下、第一部の読了時感想---
    現代日本 ・現代に生きる我々の礎となり、あの戦争を自ら戦って頂いた先輩達が、我々後生の日本人に託した想いを正確に知りたい。そういう想いでこれまでも、それなりの数の書物を手に取らせて戴いてきました。本書は、それらの書とは少し違っていました。
    本書は著者自ら本書で著しているとおり、「末端の兵士たちの実際の体験や思い」に焦点をあて、「当時主力として戦った元兵士を日本全国に訪ね歩き、その痛烈なそれぞれの体験を忠実に再現したノンフィクション」です。
    著者の高い取材能力・事実と知識を区別するジャーナリストとしての誇り・質の高い文章力が「家族と祖国のために自らの命を捧げた若者たちに対する、後生の日本人としての尊敬と感謝を込めた鎮魂歌」とするに相応しい一冊を生み出しています。
    諸先輩が後生に託した想いを理解し、それを引き継ぎ、それに少しでも報いることができるように行動し、それを次世代に伝える。一生をかけて取り組むに相応しいテーマだと思います。
    本書は、この取り組みを具体的に助けてくれる良書です。

  • 陸軍の話は本当に悲惨。…という一言ではとても間に合わないです。証言者の方々は、その死と隣り合わせが普通だった、覚悟して出征してきたから死ぬのはこわくなかった、自分が生き残れたのは運命としか思えない、と口々に語っている。それを普通としなくてもよい今の世の中が本当に有難い。

    巻末にある、終戦後のソ連の侵攻というのが大変勉強になった。だから北方領土問題があるのかと納得した。

    読みやすいし、わかりやすいしで、小学校高学年程度でも読めるでしょう。辞書片手に読ませてもいいと思う。もっと早く読みたかった。次の「大和沈没編」を早く読みたい。

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著者プロフィール

作家、ジャーナリスト。1958年、高知県生まれ。中央大学法学部卒業後、新潮社入社。『週刊新潮』編集部記者、デスク、次長、副部長を経て2008年独立。『この命、義に捧ぐ─台湾を救った陸軍中将根本博の奇跡』(集英社、後に角川文庫)で第19回山本七平賞受賞。主な著書に『死の淵を見た男─吉田昌郎と福島第一原発』(角川文庫)、『日本、遥かなり─エルトゥールルの「奇跡」と邦人救出の「迷走」』(PHP研究所)、『なぜ君は絶望と闘えたのか─本村洋の3300日』(新潮文庫)、『甲子園への遺言』(講談社文庫)、『汝、ふたつの故国に殉ず』(KADOKAWA)、『疫病2020』『新聞という病』(ともに産経新聞出版)、『新・階級闘争論』(ワック)など。

「2022年 『“安倍後”を襲う日本という病 マスコミと警察の劣化、極まれり!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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