不幸は人生の財産

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  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093798419

作品紹介・あらすじ

人間は死ぬ日まで、使える部分を使って、自分で自分を生かすのが当然だ。耳は遠くなっても料理はでき、視力をなくしても洗濯はできる。老人教育でもっとも必要なことは、常に楽しい老人になれ、ということだ-。明るい老人になる方法。慧眼と達観の四十七篇。

感想・レビュー・書評

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  • 昨今の国際事情、政治、経済、巷で話題になった事などを取り上げて、ご自身の幅広い知識と経験から見識を述べられた本。
    目次を見ると、2010年8月~2013年1月まで、週刊ポストに掲載されたものを再編集したものだそうです。
    だから書かれている事を見ると、特に最初の方は東北大震災についての話、民主党が与党だった頃の政治のありようや政治家の姿について語られている事が多い内容となっています。

    これを読むと、曽野綾子さんはパソコンは使うけれどインターネットはしないのだと分かりました。
    インターネットで得る知識は本物の知識ではないからと。
    だったらここに書かれているような世間の動向について、どこから情報を得ているのか、というと、新聞や雑誌だろうと思われます。

    また、国際的な話ではちょっとした事でも知らない事ばかりで、「そうか。そういう事があるのか」とか「外国ではそうなんだ・・・」と改めて勉強にもなりました。
    曽野綾子さんはアフリカなど、貧困国の支援活動をされていますが、そういった活動を記した部分は実際にご自身が経験され、見聞きされた事なので、読んでいてリアルな空気感が伝わってきました。
    そういう国の人々と比べて日本はいかに恵まれているのか、なのに甘えている、精神が貧しい世代が増えた、という事を書いてありますが、一方、日本人はとても優秀な国民だという事も書いてあります。

    曽野綾子さんはホント立派な方なので、読んでいるとこちらが気おくれする部分もあるし、怠け者の私としては「いや、それはどうだろう~」というのもありました。
    例えば、仕事の目的を尋ねると「収入を得るため」が63.4%でトップだったというのに対して、
    『その仕事も好きだからではないのだ。食べるためだという。情けない話だ。』
    と書かれているのには、収入のために仕事するのが第一目的というのは当然だし、それでいいんじゃないかという考えなので「厳しいな~」と思いました。

    今回共感したのはこの文章でした。

    『豊かさしか知らない子供たちは、実はほんとうには幸福ではない。逆境に耐えるすべを知らないからだ。子供たちには、豊かさも貧しさも、幸福も不幸も、共に知って受け取る訓練をさせなければならないのだが、そうした厳しい現実をわからない親が、昨今多くなり過ぎたのである。』

    常日頃から、本当にポジティブな人というのはその反対のネガティブな心を知り、それを認めている人だと思っています。
    同じように、本当の幸福だとか、豊かさというのもその対となるもの、不幸とか貧しさを知ってこそ本当に実感できるものではないか、と思います。
    私が書くとそういう曖昧になってしまう事を理論的かつ、理知的に書かれた本だと思います。

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プロフィール

1931年生まれ。聖心女子大学文学部英文科卒業。大学在学中から同人誌で執筆を始め、23歳の時「遠来の客たち」が芥川賞候補となり文壇デビューを果たす。1979年、ローマ教皇庁より「ヴァチカン有功十字勲章」を授章。1972~2012年まで海外邦人宣教者活動援助後援会代表を、1995~2005年まで日本財団会長を務めた。『誰のために愛するか』『老いの才覚』『人間にとって成熟とは何か』などヒット作多数

曽野綾子の作品

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