- Amazon.co.jp ・本 (287ページ)
- / ISBN・EAN: 9784093798457
作品紹介・あらすじ
なぜいまだ毛沢東を信じて闘い続けるのか
西ネパールの山村で知り合った18歳の女性兵士「ノビナ」。貧困から抜け出すため、共産党毛沢東主義派「マオイスト」に身を投じる彼女は、政府軍との戦いのなかで呆気なく戦死する。
女性兵士のあまりに短い生涯。その死を目の当たりにした著者は、いまだ世界に存在する毛沢東思想を意識し、毛沢東が産み落としたこどもたちを巡る旅に出る。
ネパールに続き、いまも共産党武装勢力「NPA」によるゲリラ戦が続くフィリピン、ポル・ポトによって200万人もの死者を出したカンボジア。また、毛沢東自体、観光地の土産物でしか見つけることが難しくなった中国、そして日本は、山岳アジトで同志を殺害するなどして自壊していった連合赤軍兵士のその後を追う。
自国だけでなく、アジアの国々に多くの悲劇や喜劇をもたらした毛沢東思想とは、何だったのか。死後も世界を彷徨い続けるマオの亡霊を、報道カメラマンの鋭利な目線が切り取っていく。
第19回小学館ノンフィクション大賞、優秀賞作品。
感想・レビュー・書評
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自らの足で趣き物語を紡ぐルポは、ライターの個性が出て面白い。テーマに興味を持てれば、尚一層。自分にとっては、安田峰俊以来の傑作。
イデオロギーが、人を集め、駆り立てる。そのイデオロギーの基礎は、国家の暴力装置への反発や、貧富格差の是正。つまり、安全に人並みの生活をさせやがれ、だ。しかし、先導者は、被先導者とは異なり、しっかりとした教育を受けた人間である。何故なら、イデオロギーの獲得とアジテートには教養が必要だからだ。そのため、イデオロギーを具現化した後には、結局この教養を持つ先導者と、一部の使い易い被先導者による、新たな支配体制が築かれる。
この著書は、スターリン主義を自らのイデオロギーと変え、世界各地にマオイストを生んだ、毛沢東的共産主義の、世界各地での末路を追ったドキュメンタリーだ。やはり、著者も気付く。革命は、新たな支配体制によるリバイス作業でしかないことに。
下記、本著とは無関係ながら、インスピレーションを受け。
新たな支配体制は、主義(哲学)や戒律(宗教)、法律(罰則)により、人間を拘束し、労働力を収奪、搾取する。支配者の原動力は、欲であり、欲の最終形が、神である。人が神になる事を恐れた古来の支配者は、説明の難しい自然現象を利用し、そこに代替物としての神を創造した。シャーマニズムの最高峰としての宗教である。しかし、一部、科学の発達により、説明困難な摂理が減る事で、宗教はその影響力を失い、代わりに台頭して来るのが、軍事力である。民家レベルでは、銃を見せれば金を出さざるを得ないが、国家レベルでは、核を見せつけ、従属を強いる。そうして神を巡っての争いは続く。神を諦める事が平和である。つまり、欲を大成させないことが、未来を気付くのだ。現在は、欲の二次価値である金があり、支配ルールと錯覚により、そちらに神の存在を投影させ、人が動いている。しかし、結局はそこに絶対性を信じてしまうために争いが起きる。この事は、お金に寿命を持たせたりなどの方法など、新たなイデオロギーで退くしかないのかも知れない。 -
元連合赤軍もマオキッズか。
今でも毛沢東を崇拝して、革命を起こそうとしている人、グループが世界にはある。 -
題材が興味をそそられたので読んだ。少し浅い気がしたけど、その浅さが僕には良かった。「革命家たるもの如何に人をおとしめるかということに尽きるのではないかと思うのである。」という文は歴史を知らない僕には衝撃的だった。
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アジア各地における毛沢東の影響について、実際に現地を取材しながら調べた本。観光地ではないアジアの一面が見えてきて、勉強になった。
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毛沢東のアジアへの影響を数カ国を歩いて見る、といういい発想なのに、まったく面白みがない。論文とか報告書にした方がいいのだろう。
1949中国建国 文化大革命 死者4000万
農村から都市を包囲するゲリラ戦の手法→50~60年代 アジアへ伝播。都市労働者による革命のマルクス主義に対し、農村を拠点。
ネパールマオイストに対して、中国は毛主席を汚すもの
1949ネパール共産党結党
1995分派の武装闘争毛派結成・・・マオバディ
1996蜂起 8年間で死者1万人
1967インド西ベンガルでナクサライト運動 -
マルクス、レーニン、スターリン、毛沢東、
社会主義から共産主義へ、
学生時代からどれだけ本を読んできただろうか、 -
文章がやや感傷的に過ぎるきらいはありますが、よいルポだと思います。