- Amazon.co.jp ・本 (319ページ)
- / ISBN・EAN: 9784093798693
作品紹介・あらすじ
名優の仕事は、熱い。名優の言葉は、深い。
週刊ポスト連載『役者は言葉でできている』初の書籍化。昨年死去した夏八木勲、蟹江敬三をはじめ、平幹二朗、松方弘樹、千葉真一、中村敦夫、林与一、近藤正臣、前田吟、平泉成、杉良太郎、綿引勝彦、伊吹吾郎、田村亮、風間杜夫、草刈正雄ら16人の名優が登場。名作の秘話、役作りの真髄を語り尽くす珠玉の役者論。
●「演じるほかに、道はなかった」――夏八木勲
●「セリフは、魂の叫びだ」――蟹江敬三
●「斬るときは、手首の力を抜け」――松方弘樹
●「スターはベンツに乗れ、役者は電車に乗れ」――平泉成
●「自己主張を消して、存在する」――平幹二朗
●「演技とは、ホテルの鍵穴から覗かれているようなものだ」――前田吟
●「日本のアクションを、変えてやる」――千葉真一
●「死には、美学がある」――杉良太郎
●「時代の妖怪で、あればいい」――近藤正臣
●「印籠には、持ち方がある」――伊吹吾郎
●「演技の間は、サッカーに似ている」――中村敦夫
●「仕事のないときこそ、芸に差が付く」――林与一
●「感情は、後払い」――綿引勝彦
●「セリフにも、表情がある」――風間杜夫 などなど金言の連続!
【編集担当からのおすすめ情報】
日本が誇る役者たちの「知られざる芸談」を聞き出したいという筆者の熱い思いから生まれた本企画。特に夏八木勲さん、蟹江敬三さんは生涯最後のロングインタビューとなりました。人生を演技にかけた男たちの仕事論は、どんな職業にも通じる「熱さ」が籠もっています。週刊ポスト連載時には収録できなかった未公開エピソード満載です。
感想・レビュー・書評
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春日太一さんの俳優インタビュー集。話し合っている形式ではなく、インタビュアーの語ったことは入れず、対象の方の話したことをまとめる形になっている。
それぞれに経歴と演技に対する考えを述べているが、様々な考えがあり、興味深い。主役でないと面白くないというのもあれば、家族を持ったので、何でもやるという方もいる。
時代的なものもあるかもしれないが、先輩の演技を見て学ぶというなったとが多い。特に時代劇はそれが顕著で、その点は春日さんの「なぜ時代劇は滅ぶか」でも所作が学べていないとされているところだった。この辺は演技メソッドともまた異なるものかもしれない。
演技だけでなく、人生の先達としての言葉としても興味深く読めた。
中村敦夫
「人間というのは誰もが皆、演技者だと僕は思います。社会を形成するためには、誰にでも役割がある。それを果たすために、演技をしているんです」
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『すべての道は役者に通ず』から知る。
朝日新聞201545掲載
日本経済新聞2015329掲載
週刊読書人20151211掲載 評者:松永正訓(小児科医,作家)読売新聞2018114掲載 評者:戌井昭人(作家)
朝日新聞2022917掲載 評者:サンキュータツオ(学者芸人) -
2022年9月8日読了
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『週刊ポスト』の連載「役者は言葉でできている」を書籍化。
本書のインタビュー相手は、いずれも"名優"と称されるようなベテラン俳優ばかり。だがそのような彼らにも新人・若手時代はあり、当時の苦労・苦悩は現代の我々にははかり知れない。
当たり前だが、彼らは最初からスターや名優ではなかった。俳優としてよりよく在ろうとする彼らの話は興味深く、含蓄に富む。「日々鍛錬し、いつ来るともわからぬ機会に備え」(註:朝ドラ『カムカムエヴリバディ』より)てきたからこそ、現在があるのだろう。同時に現在の俳優業界や作品(殊に時代劇)制作現場に対する彼らの憂いや不満は、観客/視聴者の我々以上に痛切なものなのだとうかがえる。
2015年(本書の初版発行)、そして2022年現在、本書に登場する俳優の何名かは亡くなってしまった。惜しいものだ。 -
道を極めた技術者、そして皆花もある。プロとしての心構えが十人十色で興味深い。唯一異なる風合いだったのは杉良太郎。彼はやはり大スターなのだろう。
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他のビジネス書、人生論の類いを圧倒する名著
2015マイベスト -
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なんで女優が一人もいないのか、タイトルを雑誌連載時のものからなぜ変えたのかなど、とりあえず置いとくとしても、まず読んだ率直な感想は、つなかりが切れちゃってるなぁというどうしようもない寂しさに尽きる。そりゃ若くて活きのいい研究者が話を聞きたいと訪ねて行って、無下に断わる大人はいないだろうし、大御所と呼ばれる彼らでさえ、むしろ協力的に何でも答えてくれている。役者になったキッカケから、撮影の現場、他の演者達とのエピソードに、昨今の現状についての感想頂戴...。役者のインタビューはしない旨を守ってても良かったな。
ゴタゴタの末、劇団や所属を抜けて以後フリーに、という役者が案外多い。若手と共演しても、偉ぶらず、一歩距離を置いて付き合う役者も多い。決して冷笑したりバカになどしてないし、請われれば進んでアドバイスもするが、それで本当の意味で若手の身になってるのかはわからない。それゆえ、時に反発しながらも、長谷川の弟子を長年続けた林与一が、70歳を過ぎていま、長谷川一夫のかつての言葉をいきいきと語っていることに、なおさら感慨深いものがあるのだ。
使われている写真がどれも印象的。どの役者も一枚で、蟹江敬三のみ著者らとのインタビュー風景など二枚だが、どれも撮影現場でというよりホテルや喫茶店などでのオフの普段着の格好に見える。千葉真一はらしい鼻のすすり方をしているし、前田吟は指を曲げてお金を表しているように見えるし、蟹江は死期を悟ったかのような横顔だ。文中に半ページを使って、語られた印象的な言葉を太文字で飾っているが、本人も恥ずかしくなるほどいやらしい所業にゲンナリ。