東京輪舞

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 217
レビュー : 43
  • Amazon.co.jp ・本 (521ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093801065

作品紹介・あらすじ

日本裏面史を「貫通」する公安警察小説!

昭和・平成の日本裏面史を「貫通」する公安警察小説!

かつて田中角栄邸を警備していた警察官・砂田修作は、公安へと異動し、時代を賑わす数々の事件と関わっていくことになる。
ロッキード、東芝COCOM、ソ連崩壊、地下鉄サリン、長官狙撃……。
それらの事件には、警察内の様々な思惑、腐敗、外部からの圧力などが複雑に絡み合っていた――。

圧倒的スケールで激動の時代の暗闘を炙り出す、前人未踏の警察大河ミステリー!

感想・レビュー・書評

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  • どの社会でも内部での意見の対立は有るものなんですね。
    警察内でも例外ではないという事が分かります。
    忘れられない事件が多く、この時代を思い出しながら読みました。
    田中角栄、注目され本屋に並んだ本を読んだ事も思い出しました。

  • 昭和に育ち、平成で働いてきた。やがて令和で定年を迎え、老後を過ごす。そんな自分の一回り上で団塊の世代の砂田が、警察官としての職責を通してロッキード事件、東芝COCOM事件、オウムサリン事件、そして各時代の世相をなぞってくれた。田中角栄、瀬島龍三、麻原彰晃、名を並べるのにはためらいもあるが、それぞれの事件におけるキーパーソンであり、いずれも過去の人物になったのだとしみじみ思う。こうした事件、さらには平成に相次いだ災害から教訓を得たようでも、およそ活かしきれず輪舞しながらときは流れていく。クラーラちとしつこい。

  • 平の警官として田中角栄首相邸の立ち番をしていた主人公。やがて公安に配属となり、警察内での様々な波に揉まれながら、国際的な事件に取り組むこととなる。
    美貌のソ連女スパイがイイ感じ。

  • 月村了衛『東京輪踊』、最高だった。ノンキャリアの公安警察員から見た、昭和・平成事件史……というと、NHKスペシャル的な小説をイメージするかもしれない。確かにそういうノリもあるんだけど、どちらかというと自分は山田風太郎の明治物を連想した。

    実在の人物が登場し、主人公と絡む感じ。組織の論理に抵抗するが、決して勝てない個人。その組織の思惑すら、歴史の流れの中にむなしく飲み込まれていくというテーマ性。もう、「警視庁草紙」じゃないか!

    劇中で突発的に起きる「ある事件」は、史実なのでそれが起きるのはわかっているんだけど、それでも衝撃的だった。思わず「うお」と、声が出るレベル。同じ年に起きたもう一つの事件を話の中心にしつつも、この事件に触れたことに、著者の時代認識の正しさを感じる。本当に、底が抜けた年だった。

    また、主人公の妻を通して、女性の社会進出にそれとなく触れているのがすばらしい。主人公の妻は、男女雇用機会均等法の第一世代にあたる。古い価値観をひきずった不器用な男性。家庭に収まるか、いわゆる「バリキャリ」になるかという二択しかモデルケースがなかったころの女性。両者のすれちがいが、悲しい。

    ぼくたちが知っている(なんなら体験している)事件でも、物語というフィルターを通して語り直されることで「こういう事がありえたかもしれない」という別の意味づけがされ、現実の新たな可能性が提示されていく。その新たな可能性が、いま・ここの現実を逆照射する。その感覚を味わえるのが、こういう小説を読む醍醐味なんだな。

    主人公の平成という時代への回顧はしみる。タイトルに関連する「仕掛け」も、ぐっときたな。こういう小説が、現代を舞台に書けるのはすばらしい。ベタな感想だけど、NetflixやAmazonで予算をたっぷりかけて、当時の街並みとか再現した上でドラマ化してほしいな。

    同じ著者の昭和史裏面物である『悪の五輪』(すばらしいタイトル!)も読んでみよう。

  • 読みごたえあり。
    大好きな警察小説なので、ちょっと僕の評価も甘いかも。

  • 1人の警官を通してロッキードから現在までの主要な事件を紐解いていく短編連作集。この時期にはふさわしい作品。角栄以後の現代社会を作者の観点から描写しているのが面白い。クラーラとの関係もうまく締めていて良かった。圭子は最初から離婚することはわかっていたんじゃないかと個人的に思うし、完全にクラーラに対する嫉妬心が原動力となって公安で成り上がっていったのではないかと思う。

  • 日本を揺るがした、さまざまな事件。
    公安は何を知り、どう動いていたのか?
    昭和から平成の事件をえがく、警察小説。
    最初は、歴史上の出来事、という感じだけれど、だんだんとリアルタイムで見聞きした事件に。
    当時を思い出す、生々しい感覚がある。
    フィクションだけど、ノンフィクションのような臨場感。

  • ☆4.5

  • 昭和、平成の大事件を、一警察官(公安)砂田修作を通して、描く作品だが、全てにおいて中途半端な作品だ。ストレス満載で、全ての謎が謎のままで次々に去っていく。KGBの女性スパイのクラーラと砂田を介して。結局この作品で作者は何が言いたかったのか?氏の作品の中で最悪の作品だ。

  • 個人的には大ヒット。とても面白かった。
    昭和から平成、そして令和に変わるまでの間にあった大きな事件を、防諜の視点から公安や警察組織、日本社会や国際情勢まで絡めて見ていくので、1つ1つのエピソードがとても濃い内容になっていて、重厚感があります。

    とにかく主人公が負け続けます。ですが、とてもカッコいいです。
    必死で戦い、あと一歩という所でどうしようもない大きな力に叩きのめされる主人公の姿を通じて、現在の社会の無力感を表現しているのだと思います。

    昭和生まれの人は感じているのではないでしょうか。「令和」に変わるとなった時、「平成」という時代はなかったと。「昭和」のエネルギーをただ消費していくだけで、不燃物だけが溜まり続けた時代だと。この「令和」はその社会の転換期にしなければならないと。

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著者プロフィール

1963年大阪府生まれ。早稲田大学第一文学部文芸学科卒業。2010年、『機龍警察』で小説家デビュー。2012年に『機龍警察 自爆条項』で第33回日本SF大賞、2013年に『機龍警察 暗黒市場』で第34回吉川英治文学新人賞、2015年に『コルトM1851残月』で第17回大藪春彦賞、『土漠の花』で第68回日本推理作家協会賞を受賞。他の著書に『神子上典膳』『機龍警察 狼眼殺手』『コルトM1847羽衣』『東京輪舞』などがある。

「2019年 『悪の五輪』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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