鱗姫

著者 :
  • 小学館
3.41
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本棚登録 : 1065
感想 : 164
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  • Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093860703

感想・レビュー・書評

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  • 新聞の新刊広告で、何だコレ?って衝撃受けて買ったのを覚えてる。

  • 4/10.
    提示される美意識に関しては深く同感した。後半の方は面白かった。いつも思うが著者さんの性欲の余りが作品に滲んで出て、少し下品にも感じる。

  • “乙女のカリスマ”こと、嶽本野ばらさんの描く美醜観念…それがこの一冊に凝縮されていて、とても充実して、そして実に耽美的な内容。2日程で読み終えました。しばらく読書をしていなくても、嶽本野ばらさんの作品はグイグイと私を読み耽らせる魅力があります。強くて美しい生き方に勇気をもらう…!

    「美」という観念に固執する主人公、龍鳥楼子が受けた龍鳥家の呪われし遺伝病、通称「鱗病」は、やがて自分をとても醜い姿に変えてしまうという、楳図かずおの『おろち』の中の話のような病気。自分の中に現れたこの醜い塊に、彼女は絶望します。なんとなくですが、楼子が言うことも理にかなっているかなぁと思います。「外面を決めるのは内面」「美しいか醜いかで決まる」という彼女の考え方は決して誇張した表現でもなんでもなく、事実としてこの世の中に蔓延した強迫観念のようなもので、実に言い得て妙な表現だと思います。だからこそ、楼子は強い少女で、そこに勇気をもらうのです。人によってはちょっと不遜に感じる彼女の態度ですが、彼女自身も自分は不遜だと自負しているし、なんてったって嶽本野ばらさんの書く乙女ですから、苛烈な思想は持つもの(笑)。ただ、ちょっとイレギュラーなのはやはり「鱗病」という架空の病でしょう。楼子はコンプレックスとして「醜さ」を持つ少女です。ここがやはりほかの小説と比べてみても明らかに変わったところでしょう。「ブス」とかじゃなくて「醜い」ですからね。楼子や黎子叔母さんたちの絶望は凄まじいものだったのでしょうね。ひたすら「醜さ」を否定する楼子が、一番の「醜いもの」を持っている…。しかし、「醜さ」が嫌悪された本作だからこそ、「美」が極まったとも考えられるのです。嶽本野ばらさんの文体だから尚更です。何度も出てくるエリザベートも、楼子の視点から見るとやはり違って見えてきます。本作ではその、「美しさと醜さ」が絶対的なようで実は曖昧なのだと気づかせてくれる、素晴らしい作品になっていました。最後の終わり方はいかにも嶽本野ばらさんらしかったですね。でもやっぱり近親相姦だったり「鱗病」だったり、『鱗姫』では新しい嶽本野ばらさんを見つけたような気がします。(感想久しぶりでまとまらない…)

  • 再読。初めて読んだ時を懐かしく思い出しながら読みました。エリザベート・バートリーの逸話と創作の鱗病を組み合わせたり、血の呪い(遺伝的な病)、病を癒すための贄としての生き血、主人公達の際立った美貌と過剰なまでの美意識、小道具として登場するVivienne Westwoodなどのハイブランド、そして兄と妹の禁断の愛……野ばらさんが「美しい」と感じるもの全てが詰まった小説。特に鱗病とエリザベート・バートリーの取り合わせは野ばらさんの創作だと解っていても妙に説得力があって、面白い。やはりこの方が紡ぐ世界観、一貫した美意識が凄く好きだなと思いました。

  • 主人公の徹底した美意識と、学内外でも一人で構わず友達を作る必要はないという強さ、頑固な性格、だが本心は脆い女の子なところに惹かれる。

    今回は服は控えめな印象。エリザベート・バートリーが出てきた時に、だいたいの内容が想像できた。主人公がエリザベートのように血を求めて壊れていく姿を、兄が助けるのか手を出せずに後悔するのか、そんな感じの終わりだろうと思っていたが、そっちだったかと。ラストへの伏線は何度もあったのでそこまで予想外というわけではなく。

    ただ、本当に語りたかったことは、狂気的な美意識だったのか、最後の純愛?だったのか、ぱっとしなかった。美意識が二人だけの秘密となり、病気のおかげで気持ちに気付き、愛へと変わり、世界を敵に回して孤独になるという流れなのかな。ラストがこれまでの話の流れと違っていて、題材と最後までの内容は良かっただけに残念。まとめ方がどうしようもならなくてこうしましたという印象。

    生きるのに希望なんて必要なくて、そんなものだから深く考えてはいけない。
    理解できないものをしなければいけない時、人は優しさを持ち出す。相手を認めていれば優しくなくていい。差別してくれればそうしてアイデンティティを築ける。
    印象に残った台詞。

  • 2017年10月7日に紹介されました!

  • 好きです。世界観とか。美意識とか。

  • 楼子の口調やお嬢様なところ、ヴィヴィアンウエストウッドが好きなところが好き。
    美学を持っていて自分の肌に熱心なところも素敵。

  • 「おろち」とはまたべつの意味で
    ぞっとしました。
    でもなんだか綺麗で、というかお兄ちゃんすごい。
    ありえないような説明もなんだか
    なるほどー。と思ってしまいます。

  • 読み終わると日傘を買ってしまう。
    美意識を感じずにはいられないのに、仄暗い。
    青白い美意識が好き。

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著者プロフィール

文 嶽本 野ばら
京都府宇治市出身。作家。
1998 年エッセイ集『それいぬ̶ 正しい乙女になるために』(国書刊行会)を上梓。
2000 年『ミシン』(小学館)で小説家デビュー。
2003 年発表の『下妻物語』が翌年、中島哲也監督で映画化され世界的にヒット。
『エミリー』(集英社)『ロリヰタ。』(新潮社)は三島由紀夫賞候補作。
他の作品に『鱗姫』、『ハピネス』(共に小学館)、『十四歳の遠距離恋愛』(集英社)
『純潔』(新潮社)など。『吉屋信子乙女小説コレクション』(国書刊行会)の監修、
高橋真琴と共書絵本『うろこひめ』(主婦と生活社)を出版するなど少女小説、お姫様をテーマとした作品も多数。

「2021年 『お姫様と名建築』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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