ツインズ: 続・世界の終わりという名の雑貨店

著者 :
  • 小学館
3.15
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本棚登録 : 888
感想 : 95
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  • Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093860840

感想・レビュー・書評

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  • 精神疾患、宗教、自傷、前作の罪、人が壊れるのに不必要なほどの要素が詰め込まれている。痛くて辛くて心に響く。それ以上に重すぎる。作品としてはできすぎなくらい良いのだが、2回は読めない。1度読めば強烈なほど印象に残るし、こんな思いは再度味わいたくない。
    医師や編集者との会話には、生きるのに大事な一言があったり、精神疾患や宗教の怖さを嫌というほど体感できるので、そういう意味でも作品として良かったなと。人は簡単に壊れるし、なんでそう考えるのだろうという部分が書けているところも好き。破滅的な愛や人には理解できない関係を表現する著者はこの人が一番だと思う。
    メンタルが強い人や次の日に影響が出ても差し支えない日に読むのをおすすめする。
    鱗姫などは最後が雑になってしまっていたが、この本は野ばら要素が最後まで徹底されていて良かった。しかしある程度この著者に慣れてから読むべき上級者向け作品。

    君が、洋服を買うことで自分を神から取り返すところが好き。洋服を買うことは自分を保つ儀式であり生き方の反映。



    ※ホチキスで傷を留める描写、ジョジョ五部でもありました。個人的メモ。

  • 純愛長編とありますが、これはこれは……どうなのでしょう。だいぶ読者によっては好みが分かれるのではないでしょうか。野ばらさんの小説にしては、それもヒット作の続編と位置づけるにしては、かなり攻めた内容であり、度肝を抜かれることは確かです。ですが、私はものすごく好きでした。狂おしいほど刺さりました。期せずしてこの作品に巡り会えたことを、運命のようにすら感じます。個人的な好みの話かも知れません。私は野ばらさんの、このような、タナトニックな、破滅的でダークなお話を読みたかったのです。

    「私」が教会に赴くきっかけともなった葬儀の話、つまりレクイエムのこと。そこで「私」はフォーレのレクイエムを選びました。その、フォーレのレクイエムこそ、私が初めて『世界の終わりという名の雑貨店』を読んだ時から、嶽本野ばらという作家の描く物語のバックで静かに流れている曲でした。野ばらさんの小説は他にも色々読みましたが、やはり『世界の終わりという名の雑貨店』が私の中では白眉であり、フォーレのレクイエムほどこのお話にぴったりな曲はないだろうと思っていたのです。ですから感動してしまった。この本を最後まで読まなければいけないと思いました。そして実際読み続けていくにつれ、私は『ツインズ』が持つ妖しい魔力に埋没していったように思います。

    先述したように、この小説自体がどこか異質的で、そこはかとない破滅と愛情を孕む小説です。そんな本作の魅力を引き立てているのが、言わずもがな「私」と出逢い、「私」を破滅へと導く存在でもある、あえかなる「彼女」というキャラクターです。「彼女」は野ばらさんの他の著作で登場する女のコ達とは、明らかに異なるタイプの女のコです。陳腐に、端的に言ってしまえば、病んでいるのです。ボロボロになりながらもお洋服を依代にして我を貫く他の女のコ達とは違い、本作における彼女の場合、お洋服のメゾンは瑣末なことでしかないように感じます。そう感じるほど、「彼女」のキャラクターは野ばらさんらしくないようにも感じられ、と同時に私は野ばらさんの作品において、「彼女」のようなコが現れる作品をずっと求めていました。繰り返す自傷行為と黒魔術めいた謎の儀式、挙句洗脳……と、とにかく「彼女」にまつわる事象はどしがたく、読むことをやめてしまった、裏切られたと感じた読者もいたことでしょう。もちろん私もまさかここまで非道くなるとは思いにもよりませんでしたが、それでも何故でしょう、同じくらいひどくしっくりと来ました。ほら、フォーレのレクイエムが聴こえてくるようです…。

    ……そんな本作でしたが、野ばらさんの伝えたいことは変わらないのです。野ばらさんが影響を受けたと仰っている作家の中には、吉屋信子や太宰治などに加え、澁澤龍彦やバタイユなどの錚々たる人達が居ることも忘れてはいけません。「愛」の在り方。野ばらさんは私にほんとうに多くの気づきを与えてくれます。まさにダーク嶽本野ばらとも言える『ツインズ』がどんな位置に有ろうが、私はこの作品を読み続けることを誓います。

  • 疲れた。

    僕が再生する手段として、これほどまでの犠牲を払わねばならないのか。


    これは物語であって、現実ではない。
    そう何度言い聞かせて読み進めたことか。


    しかし、現実は、もっと、救いようがないような、生きるための苦しみ、逃れるための本能、そんなものたちの強さはハンパないんだろうな。

  • 痛々しくて読んでられません。
    でもページをめくる手は止まらないものだから読み終わってしまいました。

    1Q84を思い出した。

  • 世界の終わりという名の雑貨店、それはミシンの中に収録されていた短編でしたが、個人的に本編より印象深く残っていた作品でした。今作はその続編ということですが、やはり、カサコ同様違った趣きの話に感じてしまいます。前作での主人公の倒錯感が、今作では、なんだかただのだらしがない、仕方がなくってどうしようもない人間感に変わったように感じたのは嶽本先生の意図なのか…。

  • 逃避行もの続編。こういう終わりも、アリ。

  • とんでもないもんを読んでしまった感がある。
    もうとにかく狂ってる。
    前作の続編ということだけど、これはほとんど前作関係なしに突っ走ってぶっ飛んでる。
    でも、今回の女の子に出会ったのも運命~みたいな感じでいいけど。
    編集者と関係を持ったくだりはいらなかったんじゃないかな。
    今回はJane Marpleが好きな女の子の話です。素敵だと思います。
    病んでる女の子が好きで心臓が強い方は、是非。

  • 一度しか読んでいない、というかもう読みたくないくらい、エグい
    読んでて吐きそうになったのは初めてかもしれない・・・
    そんな経験をさせてくれた、ある意味私にとっては思い出の一冊

  • 正編を無視して読んだ作品
    見事私の心をかっ攫っていった

    野ばらさん作品で一番最初に読んで
    心の深からずっぷり惚れ込んでしまった
    美しいまでの破壊と堕落した作品でした
    破壊=不幸せじゃないきっと

    私もたとえ最後には自分が死んだとしても
    ツインズである彼女と一緒にいたと思う

  • うーん。前作は好きだったのですが…今回はちょっと途中からかなり気持ち悪くなってきました。編集者頑張れって思ったのに…;;「彼女」との破壊されていく暮らしを選んだ主人公は、あわない読者も含めまわりがどう思おうと幸せなんでしょうね。ならそれでいいんじゃないかな。主人公たちのその後は、想像したく…ないです。

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著者プロフィール

文 嶽本 野ばら
京都府宇治市出身。作家。
1998 年エッセイ集『それいぬ̶ 正しい乙女になるために』(国書刊行会)を上梓。
2000 年『ミシン』(小学館)で小説家デビュー。
2003 年発表の『下妻物語』が翌年、中島哲也監督で映画化され世界的にヒット。
『エミリー』(集英社)『ロリヰタ。』(新潮社)は三島由紀夫賞候補作。
他の作品に『鱗姫』、『ハピネス』(共に小学館)、『十四歳の遠距離恋愛』(集英社)
『純潔』(新潮社)など。『吉屋信子乙女小説コレクション』(国書刊行会)の監修、
高橋真琴と共書絵本『うろこひめ』(主婦と生活社)を出版するなど少女小説、お姫様をテーマとした作品も多数。

「2021年 『お姫様と名建築』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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